循環器専門ナースとは
日本では、がんをはじめ、心疾患や脳疾患といった生活習慣病にかかる人が多く、これらの病気の死亡率が多いことでも有名です。
ストレスや暴飲暴食、不規則な生活は、心筋梗塞や脳梗塞といった循環器疾患を引き起こす原因ともいわれています。
このような循環器疾患の患者を専門にケアを行うのが「循環器専門ナース」です。
循環器内科の看護師に役立つ資格
循環器専門ナースは「公益社団法人臨床心臓病学教育研究会(JECCS)」の認定看護師の資格として認められており、循環器のエキスパートを目指すこともできます。
循環器内科で働いている看護師がスキルアップをするのに役立つ資格になっています。
循環器専門ナースの役割
循環器専門ナースは、心電図の波形を見て患者の状態を把握し、治療計画を立てます。
心臓の状態を理解していくことができ、退院後の指導などにも役立ちます。
また、心疾患が中心となりますので、病状が急変することも多く、緊急時の対応を行うこともあります。
退院後の指導をする
循環器内科に入院をしている患者の多くは、退院後は生活習慣の改善が求められます。
入院中から食事や服薬の指導といったケアもします。
患者だけでなく家族への対応も循環器専門ナースや看護師の仕事になります。
再発のリスクを避けるためには、家族の協力が必要です。
退院後の生活指導なども患者と家族を交えて行います。
専門知識や技術を持っている循環器専門ナースは、患者と家族のサポートも仕事といえます。
循環器専門ナース資格取得方法&費用とは
循環器専門ナースとして認定看護師の資格を取得するには、専門の機関で勉強をしなければなりません。
認定看護師は、一定の期間以上経験を積んだ看護師を対象にした資格です。
循環器専門ナースは、心臓や循環器の病気で治療している患者の治療やケアをサポートをするための知識や技術を身に付けます。
資格を取得する条件
資格取得に必要な条件は、准看護師と正看護師で合わせて満5年以上の経験を有する看護師(看護師として1年以上の実務経験が必要)です。
循環器内科や心臓血管外科、ICUに勤務する看護師のキャリアアップに繋がるプラスの資格ともいわれます。
資格の取得方法
循環器専門ナースの資格を取るには、大阪のJECCS本部で開催される2ヶ月の研修の受講が必要です。
その後、WEB上で認定試験に受けることで資格を取得することができます。
資格の有効期限は5年間で、継続するためには5年ごとの更新が必要になります。
資格取得にかかる費用
認定看護師の資格取得というと費用が気になる人もいるでしょう。
循環器専門ナースの受講にかかる費用は、研修費と教材費、大阪の会場までの交通費と宿泊滞在費が別途必要です。
2020年度の研修費と教材費はJECCSの会員が16万円、会員外は17万円となっています。
研修費と教材費のみであれば、比較的安い価格で、資格取得を目指すことができます。
JECCSは、年会費を振り込むことで会員になることができますが、研修終了後にWEB上で認定試験を受けて合格をしてもJECCSの会員として認められます。
会員になると、研修会などに会員料金で参加することができます。
循環器専門ナースの倍率とは
循環器の認定看護師である循環器専門ナースは、約2ヶ月間の研修の受講と試験に合格をすると資格取得ができます。
試験の難易度
試験に関してはWEB上で行うので、自宅での受験が可能です。
テスト範囲は研修で習ったことで、試験はテキストを見ながら受けられます。
循環器専門ナースの資格試験の難易度は決して高いとはいえません。
落とすためというよりは、学んだことがどのくらい身についているか確認するための試験といえます。
循環器専門ナースは、認定看護師のなかでも合格がしやすくなっています。
研修の受講は抽選が行われる
循環器専門ナースの認定試験に関しては、研修の受講定員が決まっています。
受付期間内に申し込み者の中から抽選を行い、当選をした人のみが研修を受けられます。
抽選は第三者機関も交えて行われており、公正で中立的なものになっています。
抽選の倍率
倍率は申込人数によっても異なり、多い時と少ない時でバラつきがあります。
倍率が3倍以下の時もあるので、受付時の人数でも大分違います。
循環器専門ナースは研修を受けなければ資格取得ができないので、抽選云々ではなく受付期間内に申込をすることが大切です。
その結果次第にはなりますが、当選をした時には研修でしっかりと学び知識を身に付けて、合格を目指しましょう。
循環器専門ナース研修
循環器専門ナースの研修は、夏と冬の年2回募集があり、受付期間内に申し込みをします。
研修の申し込み方法
申し込みはJECCSのホームページの受講申込フォームから行います。
研修受講者の選考は抽選で決定します。
申込者全員に抽選の結果の連絡メールが届きます。
費用の支払い方法
当選者は、参加に必要な費用を払込み期限までに支払います。
支払い方法は、先に前金を入金する分割と一括払いの2種類です。
分割と一括払いで払込み期限が違うので、期日を間違えないようにしましょう。
また、期限までに支払いが行われないとキャンセル扱いになります。
循環器専門ナース研修の内容
循環器専門ナースの研修は、大阪のJECCSの本部で行われ、夏期、冬期のどちらも約2ヶ月間、隔週の土日に開催されます。
研修カリキュラムは、心臓や循環器疾患の症例や治療法、緩和ケアについて学びます。
心臓病患者シミュレータの「イチロー」を使った実技も行います。
講義は、心臓や循環器の専門家が行い、実際に看護の現場で活かせる実践的な内容です。
グループワークも行い、同じ目標を持つ仲間たちと意見を交わしながら、知識や技術を身に付けられます。
循環器専門ナースの資格取得の研修は、スケジュール的にはハードに感じられるかもしれませんが、短期間で濃い内容のカリキュラムを学ぶことができます。
循環器専門ナース資格更新方法
循環器専門ナースは、他の認定看護師の資格と同様に5年ごとに更新が必要です。
更新試験の受験方法
循環器専門ナースの研修後5年間継続してJECCSの会員を続けることで、認定更新試験の受験資格が得られます。
認定更新試験は、受験料を支払うと問題用紙と解答用紙が郵送されます。
自宅で受けることができる
更新試験も、認定試験と同様に自宅での受験ができるので、看護師として忙しく働いている人でも仕事のスケジュールに合わせて試験が受けられます。
公式サイトから最新版のテキストをダウンロードでき、見ながら回答することが可能です。
身に付けた知識や技術を再度確認する機会になっています。
更新期間内に試験を受けられなかった場合
できれば、更新期間に試験を受けるのがベストですが、様々な理由で受験できないということもあるでしょう。
その場合、1度だけですが認定更新試験を受けるチャンスがあります。
更新期間に試験が受けられなかった人も、JECCSのB会員を継続すると次の試験が受けられます。
循環器専門ナースのキャリアの継続という観点からの救済策ともいえます。
更新期間中に更新検定試験の受験ができなくても、普段からしっかりと勉強をしていれば、次の機会に試験が受けられます。
循環器専門ナースとして働けないとあきらめるのではなく、キャリアを継続するためのチャンスを活かすことも大切です。