看護師長とは
看護師長とは、看護師が所属している部署の管理職、いわゆるリーダーのことをいいます。
一般企業でいうろところの課長クラスといってよいでしょう。
今回は看護師が目指すべき目標の一つである看護師長について、その仕事内容や給料、看護師長の資質等について紹介します。
看護師長になれる年齢とは?
看護師を管理する立場の看護師長になるためには、どの程度の経験年数を積む必要があるのでしょうか。
経験年数
看護師長は外来や病棟だけでなく手術室といった看護師が所属している部署ごとの管理職という役割を担うので、看護師としての勤務歴が15年以上ある看護師から役職を任命されることが多いです。
人事院による調査では看護師長の平均年齢は47歳程度となっていますが、必ずしも何歳以上でなければ看護師長になれないという決まりはありません。
そして、多くの病院では年齢による区分けではなく、看護主任として数年間以上の実務経験を経た上で部署ごとに1人選出される形です。
看護師として10年以上の勤務歴がある人材の中から看護主任が任命され、看護主任を数年経てから看護師長へ昇進することになります。
また、看護師長はあくまでも部署ごとに所属する看護師を束ねて、看護目標を定めた上で看護業務にあたります。
看護部長・総看護師長
そして、看護師長は基本的に部署に1人管理職としての責任者という役割で任命されるので、看護師数が1,000人以上いるような大病院や大学病院に関しては、看護師長をさらに束ねる「看護部長」または「総看護師長」という役割を設定している所があります。
総看護師長については平均年齢が55歳程度となるので、大きな病院であっても1人だけ任命される看護師を束ねる責任者としてトップです。
看護師長の給料とは?
看護師長の給料は、下記が一般的です。
- 基本給37万円台
- 管理当直費用8,600円
- 管理職手当が46,000円程度
合計42万円台
基本給部分は勤続年数や年齢だけでなく病院ごとの差があるので、必ずしも全ての看護師長が同じ条件で雇用されているわけではありません。
看護師長だからといって年収1000万円へ届くことは少なく、大半の病院では900万円以下に看護師長の給料は収まります。
なぜなら、看護師長としての役職手当は管理職手当の5万円前後の金額のみであって、基本給は他の看護師と同じ計算方法で算出されているからです。
看護主任の役職手当が1万円以下という状態から分かるように、看護師長と看護主任の間には役職手当による差は4万円程度しかありません。
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年収1000万円以上の看護師長は?
一方、年収1000万円を看護師長で稼いでいる人がいることは、主に大都市の美容外科で看護師長を行っている場合が多いです。
なぜなら、美容外科では看護師自らが患者と積極的にコミュニケーションを取ることにより、営業成績に応じた歩合給が別途発生するからです。
そして、豊富な経験と営業努力により看護師長の役職手当と合わせて年収1000万円以上となるケースがあります。
誰もが確実に年収1000万円に届くわけではなく、あくまでも本人の努力と営業成績次第となるわけです。
看護師長の役割とは?
看護師長の役割は、病棟内における包括的な看護業務の運営・一般看護師への指導・職場環境の改善といった看護主任と共通の業務が大前提としてあります。
さらに、看護師長だけに追加されている管理職としての業務として、下記が挙げられます。
- 病棟内看護について目標設定と管理
- 各看護師が果たす役割を推進
- 看護研究の支援
病棟内全体の管理
看護主任は主にスタッフに対する指導や看護状況を改善するといった役割が中心です。
しかし、看護師長となると看護副師長と共に病棟内全体の管理まで行わなければなりません。
看護主任は主に患者に対しての看護目標や看護そのものを改善することに集中しますが、看護師長は病院経営管理会議への参加が業務内容に加わります。
そして、目の前の患者に対する看護のみを目標とするだけでなく、病棟内の看護師以外の医師や検査技師といった職種の人達を含めた病棟全体の管理に携わるわけです。
このため、看護基準だけでなく看護評価や個人情報管理の徹底状況把握といった、看護師や看護主任が働きやすくなるために必要な事務作業までを管理しなければなりません。
病院という組織の中で看護師長が果たす役割は、看護師のトップというだけでなく病棟の管理者としての立場を併せ持つことになります。
師長と婦長の違いとは?
看護師長と婦長という呼び名の違いは、2002年3月に施行された保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律により看護師長へと統一されました。
かつては女性看護師を看護婦と呼び、男性看護師を看護士という呼び方をしていましたが、男女平等という観点から正式に法改正を経て全て看護師という呼び名に統一されたわけです。
そして、かつては婦長という呼び名だった役職名を看護師長と改めたわけですが、今でも一部の病院では男性看護師がいない所で婦長という呼び名が通称として残ってしまっている病院があります。
しかし、公の場では看護師長に役職名が統一されているので注意しなければなりません。
看護師長になるには?
看護師長は病棟管理を行う責任者という立場として病院の経営者との折衝を行うことになり、病院経営管理会議への参加まで求められます。
看護師長になるためには、一般的に下記のルートで通ることになります。
- 看護師の中から勤続年数10年以上の看護師から看護主任を任命
- スタッフの指導を行いつつ、看護主任の中から将来の看護師長となるために副師長として病棟管理業務を学びながら看護師長の後任を育成
- 最終的に副師長としての実務経験を経て看護師長が退任するか看護部長へと昇進するタイミングで、副師長から看護師長へと昇進
看護主任から副師長へ昇進するタイミングで、病棟管理職としての業務が追加されることになります。
看護師長に求められる資質とは?
看護師長のあるべき姿は、看護師だけでなく看護主任も自らが持つ能力を最大限に発揮できる病棟を作り上げることに力を注いでいる様子にあります。
リーダーシップ
一般の看護師から尊敬される知識と経験を併せ持ち、常に冷静沈着でトラブルに対してもリーダーシップを発揮してすぐに改善方法を示します。
人事を掌握する
そして、看護師が持つ能力や適性を見極めて各自の能力を発揮できる場所へ配置することも重要です。
看護主任までは看護知識と経験があればこなすことができますが、理想の看護師長となるためには人事を掌握する能力が求められます。
職場環境を作る
看護師として各病棟へ配属されても、誰もがスムーズに看護ステーションへ溶け込めるとは限りません。
看護師と医師の間で意思疎通や情報共有が不十分なまま看護を続けると、医療過誤の原因となりやすいです。
そこで、看護師長が病棟内で医師や検査技師との間に入り、コミュニケーション能力をフル活用して一般の看護師が働きやすい職場環境を作り上げます。
看護環境を整える
看護師には得意不得意があるので、各看護師が持つ長所を活かせるように配置転換を行い看護師が働きやすい看護環境を整えることも看護師長の力量次第です。
看護師それぞれにやりがいを見出してあげることができれば、理想の看護師長へ近づけます。
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