高度な認定看護師を目指す理由とは?
認定看護師は看護師の高度な資格として知られていて、多くの看護師が目指すようになってきています。
認定看護師とは
認定看護師は特定の分野について専門的な知識や技術を持ち、現場を牽引して働ける教育力や指導力を持つ看護師として公的に認められた人を指します。
手術看護やWOC、緩和ケアなどのように高度な知識や専門性の高い看護スキルが求められる分野が19種類あり、取得した人は現場の最前線で患者のケアに携わるだけでなく、リーダーとして他の看護師を牽引しながら働いていることが多くなっています。
以下、2020年度から教育開始の19分野になります。
感染管理・がん放射線療法看護・がん薬物療法看護・緩和ケア・クリティカルケア・呼吸器疾患看護・在宅ケア・手術看護・小児プライマリケア・新生児集中ケア・心不全看護・腎不全看護・生殖看護・接触嚥下障害看護・糖尿病看護・乳がん看護・認知症看護・脳卒中看護・皮膚排泄ケア
別途特定行為研修を受講することによって技術を習得すれば特定行為を行えるなどのメリットもあり、責任を持って医療に携わっていきたいと考えている看護師がよく目指しています。
5年以上の実務経験が必要
認定看護師になるにはファーストレベルからサードレベルまでの教育を受けることが求められ、受講のためには実務経験が5年以上求められるので新卒の人がすぐに取得することはできません。
高度な医療に携わることができる魅力があるため若い頃から志望する人も多く、計画的に経験を積んだり、キャリアアップ支援をしている病院に就職したりしてスムーズに認定看護師を目指せるようにしている人も少なくありません。
認定看護師の特定行為とは?
認定看護師は特定行為研修を受講することができ、研修を修了するとその分野の特定行為を行えるようになります。
特定行為とは
特定行為とは医師の指示を受けなくとも看護師が自分の判断で行える医療行為のことです。
看護師は医師による指示がなければ患者に対して医療行為を行えないことが法律で定められていて、あくまで看護師の医療行為は医師の診療補助として位置付けられていました。
しかし、現場で患者を目の前で見ている看護師が判断して治療をすべきと考えられるような一刻を争う場面でも医療行為を行えないのが問題点でした。
そのため、手術などの医療行為は除外し、薬剤投与などの基本的な医療行為については特定行為として認める形式ができたのです。
在宅ケアで本領発揮
特に特定行為を行うのに役に立つ場面が患者の自宅におけるケアです。
訪問医療を提供するときには医師が現場にいないこともありますが、患者の容態を見てみるとその日にスケジュールされていなかった薬剤を投与すべきと判断されるようなこともあるでしょう。
その際に医師に確認を取って指示を受けてから投与するといったプロセスを経ずに、看護師が判断して薬剤を投与できます。
このようにスムーズな医療を提供する上で重要な意味を持つのが特定行為です。
ただし、どのような場面でも特定行為ができるわけではなく、あらかじめ医師が患者名や特定行為の内容などを記載した手順書を作成し、その内容をもとに行うかを判断する必要があります。
認定看護師分野はどんなものがあるの?
認定看護師は21分野に分けられていましたが、2020年から19分野に再編されて教育が開始されています。
がん化学療法認定看護師や透析認定看護師のように、がんの薬物治療や糖尿病患者や腎不全患者を主な対象とする透析治療の認定は以前の教育課程では存在していました。
しかし、現行の分類では、がん薬物療法看護認定看護師、腎不全認定看護師に移行しています。
特定のシーンに対した分野
下記のような特定の利用シーンに対して幅広い看護スキルを求められる分野もあります。
- 小児プライマリケア
- 手術看護
- クリティカルケア
- 在宅ケアなど
特定の疾患に対応した分野
下記のように特定の疾患や診療科と対応付けられている分野もあります。
- 感染管理
- 呼吸器疾患看護
- 心不全看護
- 糖尿病看護など
高齢者看護に対する分野
下記は高齢化に伴って大きな問題となってきた高齢者看護で必要とされるスキルを習得できる分野です。
- 摂食嚥下障害看護
- 認知症看護
- 脳卒中看護など
がんに特化した分野
また、がんのケアは現代医療における大きな課題で認定看護師の分野としても数が多くなっています。
- がん薬物療法看護
- がん放射線療法看護
- 乳がん看護
- 緩和ケア(がん疼痛のケアも行うため)
このように医療課題として大きく取り上げられている内容が多くなっています。
認定看護師費用/資格への道とは
認定看護師になるまでに必要なプロセスと、資格取得にかかる費用について確認していきましょう。
かかる費用
認定看護師になるには認定看護師教育課程を修了して認定審査を受け、認定証を受領して登録手続きをすることが必要です。
全体でかかる費用はおよそ100万円程度ですが、通える範囲に教育機関がない場合には引越しや仮住まいの確保などもしなければならないでしょう。
結果として付随費用まで考慮すると200万円以上かかることもあります。
教育機関の受講
教育を受けるには指定の教育機関を受験して合格する必要があります。
教育を受けるには、最低限下記の条件を満たす必要があります。
①看護師、保健師、助産師の免許を取得し実務経験を5年以上であること
②そのうち3年以上は希望する認定看護分野での実務であること
学校倍率は公開されていませんが、競争が激しいことが知られているので試験対策をして高得点を狙うことが必要です。
認定審査
そして、認定看護師教育課程を修了したら、筆記試験による認定審査を受けます。
認定審査の難易度ですが、合格率は9割以上の分野が多く、しっかりと勉強してきた人なら合格できるでしょう。
授業を受けて合格するまでには1年以上かかり、入学試験を受ける段階から認定看護師として働き始めるまでの期間を考えると2年程度というのが一般的です。
認定看護師キャリアアップ研修とは
認定看護師は日本看護協会が実施するキャリアアップ研修を受けることができます。
キャリアアップ研修とは
キャリアアップ研修は以前は看護研修研究センターと呼ばれていた日本看護協会看護研修学校が主体となって実施しているもので、認定看護師の継続的な専門性の獲得をサポートすることが目的です。
不定期に開催が告知されていて、一日研修になっているものが多くなっています。
その内容は主に下記のようなものが挙げられます。
- 特定の分野についての情報提供や著名人による基調講演
- パネルディスカッション
- シンポジウムなど
また、オンデマンドでオンライン受講できる研修も発信するなど、認定看護師のレベルの維持向上に向けた取り組みを日本看護協会が行っています。
認定看護師の更新
このような取り組みが活発に進められているのは、急速に発展している医療分野の最先端のノウハウを認定看護師に持たせることが課題だからです。
数年前に認定看護師になった人が、たった今も最新の医療技術に基づいた対応ができるとは限りません。
そこで、認定看護師は更新制になっていて、5年に1回、審査を受けて更新するシステムになっています。
その要件の一つとして挙げられているのが自己研鑽実績で、キャリアアップ研修などに参加することで点数が付与されていき、50点以上になっていれば良いとされています。
このような形で認定看護師の質を確保するための取り組みが行われているのが現状です。