臨床工学技士の受験資格取得方法
臨床工学技士は医療機器のスペシャリストとして医師の指示のもと生命維持管理装置の操作を行う、厚生労働大臣の免許を受けた国家資格です。
臨床工学技士の資格取得方法
国家試験では医学概論・臨床医学総論などの試験科目を受験し、60%以上の正解率により国家資格を取得することができます。
試験は毎年3月に指定試験機関として厚生労働大臣に指定された公益財団法人医療機器センターで行われます。
国家試験の受験資格
臨床工学技士になるには高校から進学し、臨床工学技士の養成を行っている文部科学大臣や都道府県知事が指定した専門学校・大学などの養成校で学び、国家資格の受験資格を取得する必要があります。
養成校は国立大学・私立大学・短期大学・専門学校などが全国にあり3年~4年で受験資格を得ることが可能です。
将来を考えて養成校を選ぶ
専門学校では3年間で集中的に臨床工学技士としての知識を学ぶことができます。
4年生の大学では、ゆとりをもって知識や技術を身に付けることができるだけでなく、医療系企業や大きな病院への就職の際にも有利になるため大学進学を選ぶ人も増えています。
その他に、臨床検査技師または看護師など医療系の養成校を卒業した人も、臨床工学科などの専攻科で1年以上学ぶことで受験資格を取得することができます。
臨床工学技士になるには将来の就職先も視野にいれて、養成校を選択するようにしてください。
臨床工学技士の国家試験合格率とは
2020年の臨床工学技士国家試験の合格率は82.1%と、2,642人が受験し2,168人が合格できています。
大学や専門学校などの養成校で学んだ科目に則した試験問題となっているため、難易度の高い試験ではありません。
しかし、2019年は77.5%、2018年は73.7%と、年度によっては約3割が不合格となる年もあります。
合格率を低下させている要因
新卒者の合格率は約90%以上と臨床工学技士の資格を取得できる人が多い反面、既卒者の合格率は低く全体の合格率を低下させている要因となっているようです。
勉強に集中できる時間をきちんと持つことができる学生に比べ、仕事をしながら資格試験に臨むことになる既卒者は試験合格のためのハードルが高くなってしまいます。
試験は丸一日かけて行われる
臨床工学技士の国家資格は正解率で合格が決まりますが、2020年度の合格基準は60%と求められる基準は高くはありません。
資格を取得するためには、養成校で習得する教科の基本的な知識と理解を深めるための勉強が一番の試験対策です。
しかし、実際の国家試験は午前9時30分〜12時・午後13時30分〜16時と丸一日かけて行われるため、長時間の試験への対策も必要です。
集中力や体力も必要になるため、過去問題集などを解いて180問もの問題に集中して向き合うための練習をしておくと良いでしょう。
また、体調を整えるための食事や運動など健康管理も行い、万全の態勢で臨床工学技士の国家試験に臨めるように準備をしておきましょう。
臨床工学技士に必要な偏差値とは
臨床工学技士になるためには養成校である大学や短期大学・専門学校で学ぶ必要があります。
大学の養成校の偏差値は30台~50台となっていますが、国立大学には専門学科が少ないため多くの人は私立大学を選択することになります。
大学に通うメリット
私立大学は他の学校に比べて学費が高くなるデメリットはあります。
しかし、医療系企業や大手の病院などは4年生大学を卒業した臨床工学技士に需要があるので、将来的なキャリアを考えた時は難易度が高い大学に進学することがおすすめです。
専門学校に通うメリット
また、臨床工学技士として手に職をつけて、社会に貢献しながら安定した仕事を続けたいという気持ちがあれば、専門学校を選択する方法もあります。
専門学校では3年で臨床工学技士の国家試験を受けることができます。
専門学校はAO入試や学校推薦などを受け入れているところが多く、一般入試でも試験内容が作文だけとなっている学校もあるため入学までの難易度は低いと言えます。
将来のビジョンに合わせて選ぶ
できるだけ早く社会人になって臨床工学技士として働きたい人は専門学校を、医療系の企業や総合病院などへの就職を視野に入れている人は大学がおすすめです。
将来のビジョンに合わせて進学する学校を選びましょう。
臨床工学技士の専攻科ではなく看護師の専攻科などで学んでから改めて臨床工学技士の勉強をすることもできるので、養成校に進んだ後からもいろいろな選択ができます。
臨床工学技士と臨床検査技師の難易度比較
臨床工学技士と臨床検査技師どちらも医療機関のスタッフとして働く専門的な仕事です。
臨床工学技士の仕事内容
臨床工学技士は下記のような生命維持装置などの高度医療機器の操作を行います。
・人工呼吸器
・血液透析装置
・人工心肺装置
臨床検査技師の仕事内容
臨床検査技師の仕事内容としては下記のようなことが挙げられます。
・血液・尿・組織・細胞などの検体を調べる検体検査
・超音波検査・心電図検査などの生理機能検査
効率的にダブルライセンスを取得できる
臨床検査技師も養成校を卒業して国家資格を取得しなくてはなりませんが、臨床検査技師国家資格は難易度が高く2020年の合格率は71.5%となっているのが現状です。
臨床検査技師の養成校は偏差値50台~70台の国立大学や私立大学があり、臨床工学技士だけでなく臨床検査技師とのダブルライセンスを取得するための専門学科を専攻することもできます。
それぞれ業務内容が異なる専門的な仕事を行っています。
しかし、同じ履修科目もあるため効率的に勉強を行うことで卒業時には臨床工学技士国家試験と臨床検査技師国家試験の受験資格を取得して、二つの国家資格を取得することも可能です。
ダブルライセンスを取得するメリット
臨床工学技士と臨床検査技師の平均年収は約400万円と大きな差はありません。
しかし、ダブルライセンスを取得することで病院やクリニック、医療機器メーカーなどに就職する際に有利になると言われています。
▼臨床検査技師の資格についての記事はこちら
臨床工学技士の勉強法とは
臨床工学技士国家資格に向けての勉強法として、多くの学生が取り組んでいるのが過去問題の参考書です。
過去問を解く
過去問を解いていくと、数年分の過去問題の傾向が分かるだけでなく、繰り返し問題を解くことで苦手な科目やミスをしやすい問題の傾向などを自分で理解することができます。
また、実際の国家試験を解くことで、試験に向き合うための集中力が身につき落ち着いて試験に臨むことができるようになります。
自分に合った効率の良い勉強方法を探す
過去問題で解けなかった苦手な問題だけのまとめノートを作ったり、勉強アプリを使ったりして通学中などの隙間時間に効率よく勉強しましょう。
国家試験対策サイトなどには同じ臨床工学技士を目指している人や合格した人の勉強内容や、使った参考書、勉強ノートのまとめ方など参考になる情報をたくさん見つけることができます。
その中から自分が取り入れやすい方法や苦手な科目を克服するためのポイントなどを選んで、自分に合っている勉強方法を組み立てていきましょう。
第2種ME技術実力検定試験を受験する
臨床工学技士の養成校に在籍している人の多くが、一般社団法人日本生体医工学会の第2種ME技術実力検定試験の資格を取得しています。
難易度の低い試験ですが、内容は臨床工学技士の国家試験に近いものとなっているので、事前練習として受けてみるのもおすすめです。