アドバンス助産師とは?
アドバンス助産師とは、2015年頃に生まれたクリニカルラダー認証制度で、一定のレベルに達したと認められた助産師のことを言います。
主に正常な妊娠・分娩・産褥と新生児に関する助産ケアを責任もって自律して実践できる助産師のことをアドバンス助産師と称することになっています。
アドバンス助産師の役割
アドバンス助産師の役割として、下記のようなことが挙げられます。
・管理者として他の助産師の指導に当たるなど、教育面に関すること
・助産院や産婦人科などで、より安全性の高い妊娠分娩産褥をケアする
アドバンス助産師になるには
アドバンス助産師は満5年以上の実践経験があることや、CLoCMiP®レベル3認証新規申請要件を全て満たしていることなどの条件をクリアしなければ申請することができません。
また認証期間は5年とされていて、定期的にオンデマンド研修や書類審査、筆記試験などを通して評価を受け続けなければいけないなど厳しい審査を通過する必要があります。
そして評価をクリアして申請をするためには、アドバンス助産師プラットフォームからの申し込みと申請料を支払うことになります。
CLoCMiP®レベル3認証制度の目的
CLoCMiP®レベル3認証制度の目的は下記のようになっています。
・妊産褥婦や申請時に対して安全かつ質の高いケアを実践すること
・助産師の専門的な能力を高めること
・助産師の能力などを客観的に評価すること
クリニカルラダーの評価表とは?
クリニカルラダー評価表とは、下記の項目を4段階で自己評価・他者評価・上司評価を行うものとなっています。
・倫理的感応力
・マタニティケア能力
・専門的自律能力
課題点・問題点を理解できる
評価表自体はチェックリストの形になっていて、それぞれの評価値と各項目で最も評価の低いものを総合した結果が基準となります。
自己評価と他者評価、そして上司評価が一致していればよい点を褒めながら課題点についてアドバイスをすることができます。
また、自己評価が低いまたは高い場合は、それぞれの理由を確認して自身の強みや問題点をしっかり自覚させることで今後のケアに活かすことが可能です。
評価には様々な種類がある
また、チェックリストだけではなく、状況に合わせて下記のことから適切なものを選択して評価することになります。
・レポートの作成
・業務・行動の振り返り
・参加観察法
・客観的臨床能力試験
チェックリストも色々な種類があり、それによってどのような部分を評価していくのかが異なります。
助産師全体の質を向上させる
様々な種類のチェックリストがあるため、クリニカルラダーの評価表はアドバンス助産師だけではなく、新人の助産師をはじめとした全ての助産師の評価に繋げることができます。
ちなみにチェックリストはある程度自分たちで項目を作成することができるため、過去の事例を参考にしながら項目を自作することができます。
このためアドバンス助産師以外はクリニカルラダーはいらないと思われがちですが、実際には助産師全体の質の向上を目指す上で非常に重要なものと考えられているのです。
アドバンス助産師に必要な分娩件数は?
アドバンス助産師になるため、またはアドバンス助産師を更新するためには、一定の要件を満たす必要があります。
必要な分娩件数
要件の一つが分娩件数であり、アドバンス助産師となるために必要な分娩件数は100件以上と明記されています。
この100件の分娩件数は全て自然分娩でなければいけないというわけではないものの、70件以上は自然分娩であることが必要です。
そのためクリニカルラダーでの評価をクリアしていたとしても、分娩件数がクリアできていなかった場合はアドバンス助産師として申請することができないようになっています。
ただこの件数に関しては一定期間で100件以上こなさなければいけないというわけではなく、助産師の資格を取得してから申請期間までに要件をクリアしていれば問題ないとされています。
分娩件数を証明する方法
分娩件数は申請する時に、勤めている病院や助産院から証明するための書類を出してもらう必要があります。
以前は自己申告でも通過できた場合があるとされていたのですが、勤務している場合はきちんと証明する書類を提出しなければいけません。
その他の必要な要件
分娩件数以外に必要な要件としては、下記のようになっています。
・新生児の健康診査を100件以上
・妊娠期・産褥期の健康診査を200件以上
・プライマリーケースを20件以上
ほかにも、集団指導や母親学級、両親学級、緊急時の対応が実践できることも要件に入っています。
アドバンス助産師のメリット
アドバンス助産師になるメリットとしては、産婦人科や助産院で妊娠分娩産褥に関するケアを主導することができる点や、より専門性の高い助産ケアをすることができる点が挙げられます。
助産師の立場を主張する役割
アドバンス助産師はほかの助産師を指導する役割を持っているため、助産師が妊娠分娩産褥をメインで対応していく時代になってきたからこそ価値のある資格だと言えるのです。
ただ2019年時点ではアドバンス看護師の数が少なく、認知度も低いことからメインで活躍できるところが限定されているため、意味ないと考えている人も少なくありません。
それでも今後助産師の立場を主張していく上で、重要な役割を担っているのがアドバンス看護師なのです。
病院・助産院側のメリット
また助産師側ではなく病院や助産院側のメリットとして、アドバンス助産師の名簿を利用することで周囲からの信用を得やすいという点があります。
登録されているアドバンス助産師は名簿に名前が記載されており、名簿はインターネット上で自由に閲覧することができます。
また病院や助産院のホームページにも掲載することができるので、妊婦や産褥婦に対してより専門性の高い助産師がいるという安心感をアピールすることができるのです。
そのため、アドバンス助産師自身はもちろん、勤めている病院や助産院、そして妊婦や産褥婦にとってもメリットのある資格といえます。
アドバンス助産師の給料
助産師の平均的な給料は、年収でおよそ350万円から450万円と幅が広く、月収に換算するとおよそ25万円から35万円ほどになっています。
これは病院に勤めている場合や助産院に勤めている場合でも同じで、職場によって大きな変動は少ないと考えられています。
ただし病院や助産院の場合はクリニックと違って夜勤があるところが多いため、夜勤手当などを含めるとさらに給料が高くなることもあるようです。
アドバンス助産師の給料
ではアドバンス助産師になった場合は給料が上がるのかというと、実際には大きな変動がないところが多く見受けられます。
病院によっては資格手当が増える可能性はあるものの、ほとんどのところでは助産師と同じ給料で設定されています。
給料を上げるには
助産師は何年目なのかによって給料が異なっており、長く勤めていたり経験年数が増えることで給料も上がっていく傾向がみられます。
病院では、リーダーや管理職になれば年収500万円から600万円になることもあるようです。
このため管理職として活躍できるアドバンス助産師になることで、総合病院などの場合は給料を上げてもらえる可能性はあります。
さらにアドバンス助産師になって何年目なのかによっては昇給してくれるところもあることから、働く職場によってアドバンス助産師の給料も異なっているようです。