看護ケアを行うのが看護師
看護師の役割とは、一体なんでしょうか。看護師の役割は、医療チームの一員として患者さんのケアを行うことです。
ここで言うケアは、単に医療的なものにとどまりません。
看護の目的…患者、時にはその家族の精神的な不安や苦しみに寄り添い和らげること。
病気や症状だけではなく、患者さん全体を看ることが看護ケアであり、看護師に求められていると言えるでしょう。
看護師の基本的責任とは
「ICN看護師の倫理綱領」によると、看護師には4つの基本的責任があります。
- 健康を増進する
- 疾病を予防する
- 健康を回復する
- 苦痛を緩和する
看護師はこの4つを軸にして行動していかなければなりません。
それぞれの責任を果たすことで、看護師としての仕事をしっかりと全うすることができるのです。
自立した医療スタッフとして働く
もう一点看護師に求められているのが、「自立した」医療スタッフとして働くことです。
周りの指示に従うだけではなく、自ら自立して必要性を判断し、患者さんにケアを提供する。
それが看護師の役割であると言えるでしょう。
自立した看護師とは?
「自立した」看護師というのは、自分の行ったことに対して責任を取ることができる看護師のことです。
医師の指示に従って補助行為を行うときであっても、看護師に責任が発生することは言うまでもありません。
医者と看護師の違いとは?
医師と看護師の違いは、看護師の面接でもよく聞かれる事柄です。
医師は「キュア」
看護師は「ケア」
よく言われる例として、上記のような違いがあります。それぞれどういった目的を持っているのでしょうか。
医師の「キュア」とは
- 医学的な処置/治療
- 根本原因の解決
- 医療を受ける必要をなくすこと
キュアとは「治療」のことで、怪我や病気に対して医学的な処置を行い、根本の原因を取り除くことを目的とします。
キュアが完了すれば、患者さんはもう病院に関わる必要はありません。
看護師の「ケア」とは
- 患者に寄り添い、不安を取り除く
- 心のケア
- 生活の質の向上
これに対してケアは「癒やし」を意味し、医療における治療以外の分野を担います。
患者さんにとって、病気や怪我を抱えている期間は苦痛ですし、不安も大きい物です。
その苦痛を軽減したり不安に寄り添い取り除くことが、ケアの役割と言えます。
また、治療が続く疾患を持っていても、生活の質が悪くなることなく、人生を楽しんでいけるような生活の質の向上や、社会的、精神的な心の健康を保つことへのサポートも必要なケアとなっています。
看護師の重要な役割とは
看護師は単なる医師のサポート役ではありません。
患者さんと接する時間は必然的に医師よりも長くなりますから、患者さんが治療期間をどんな心持ちで乗り切るかは、看護師の腕にも大きくかかってきます。
また、補助や介助を行う上でちょっとした違いや変化に気付くことも、患者さんと接する時間が長い看護師だからこそできることと言えるでしょう。
近年では、認知症や末期ガンなど、キュアの及ばない段階に入った患者さんに対するケアの重要性が注目されています。
それだけに看護師の仕事内容もより重視されるようになっていくことが予想されます。
医者から見た看護師とは?
これまでの医療は、医師が中心でした。
医師が不動の最上位に位置し、その下で他の医療職がいる、という構図で仕事をしていたのです。
他の医療職は高い専門性を持ちながらも、上下関係を気にして医者に対して意見が言えないということが多かったようです。
チーム医療で大切な事
今までのような、上下関係のある医療の体制は患者さんのためにならない、ということでチーム医療がスタートしました。
しかし、これを円滑に進めるためにはしっかりとした人間関係が不可欠です。
コミュニケーションは個人の考えや能力に依存する他、環境も大きく影響するため、一筋縄ではいかないのが現実のようです。
また、医師がお気に入りの看護師を一人作ってしまい、職場環境が悪くなるというケースもよく聞かれます。
医師にとっての「良い看護師」「悪い看護師」とはどんな人なのでしょうか。
医師にとっての良い看護師
医師にとっての良い看護師とは、看護師としての立場から積極的に看護ケアを提案したり、医師と患者さんの間に立ってくれる存在です。
単に医師の指示を待つのではなく、看護師が自発的に動くことで医師との間に信頼関係が生まれ、仕事をスムーズに行うことができます。
医師にとっての悪い看護師
逆に悪い看護師は、患者さんの訴えを聞いたまま伝えてくるだけ、こちらが指示するまで動かない。
目の前のことをこなすだけで全体図が見えていないといった特徴が挙げられます。
看護ケアの専門職に医師として頼りたくても、これでは仕事を任せられないと感じてしまうのです。
医者と看護師は連携が重要
チーム医療(他職種医療)とは…医師や看護師、薬剤師やコメディカルスタッフなどが、それぞれの専門性をいかしつつ、連携して患者さんの治療に当たること。
これまでの医師を頂点とするヒエラルキー型の医療ではなく、多職種連携によってより良い医療を提供することが目的です。
チーム医療では当然チームワークが重要になってくるのですが、チームワークを良くするのも悪くするのも、そこに属する人間です。
特にリーダーとなる医師のコミュニケーション能力、リーダーシップ能力は欠かせません。
従来のように医師の指示系統によって医療が行われていては、従来型のままになってしまいます。
リーダーである医師の役割とは
看護師や各職種が、専門の立場から意見を言える環境を作ることは、リーダーである医師の役割です。
リーダーである医師の役割として大切なことはどんなところでしょうか。
- 意見を言える環境を作ること
- 各職種の専門性理解の理解、尊重
- 相互補完の関係を築くこと
- 他の専門職との連携、意見の交換
まずは医師が各職種の専門性を理解して受け入れ、尊重すること。
お互いの専門性を尊重することで、チーム医療の目的である相互補完の関係を築くことができるのです。
看護師が医師と連携することはもちろん不可欠ですが、同時に他の専門職と連携することも忘れてはいけません。
医療計画を進めていくには、リハビリスタッフやソーシャルワーカー、薬剤師と積極的に意見を交わすのも大切なことなのです。
研修医と看護師の関係は?
チーム医療を行うためには、各スタッフの連携が重要になります。
しかしそこは人間同士なので、連携が上手くいくどころか衝突してしまう、ということも当然起こりえます。
医療現場でしばしばトラブルとなるのが、研修医と看護師です。ではなぜ、両者は衝突してしまうのでしょうか。
信頼関係の不足
その原因は信頼関係の不足にあります。
研修医は経験が足りていないので、単独では対応しきれないことが多いです。
そのため看護師から患者さんに関する報告を受けて指示を仰がれても、その場で指示を出すことができません。
指導医に聞きに行ったり、本を調べて該当する症状を探し出そうとします。
しかしそれではどんどん時間が経過してしまいます。
待ちきれず直接指導医に聞きに行き、雰囲気が悪くなってしまうことは少なくありません。
改善策とは
患者の為に頑張る仲間であるという認識
積極的な意見交換
看護師と研修医の衝突を避けるためには、まずお互いが患者さんのために働いている仲間であることをしっかり認識することが大切です。
研修医も患者さんのために頑張っている、と思うようになれば、看護師も「あの研修医は仕事できない」「使えない」と研修医を無視するようなことはなくなるでしょう。
また、信頼関係を築くためには、やはり積極的に意見交換を行うことが重要です。