臨床検査技師の合格率とは
2020年に開催された、第66回の臨床検査技師国家試験については、合格率は71.5%となりました。
これだけ見ると、極めて難易度が高い試験だとは言えませんが、ここ数年で合格率は低下しているため注意が欠かせません。
合格率の推移
合格率の推移を見てみますと、2015年の82.1%をピークに、以降は低下する結果となっています。
2020年はピーク時から10%以上も合格率が下がった計算ですが、以後も難しくなり続けるかどうかは未知数です。
合格率から考えると2020年は難しくなったように感じるものの、合格者数は大きく減っているわけではないので、このままの方針を維持するかもしれません。
学校別の合格率
次に、学校別の合格率を見ていきましょう。
2020年は山口大や東海学院大で100%を達成している他、多数の大学で90%以上が達成されています。
逆に、低い学校では50%を切るケースも散見され、25%や0%のケースも見当たりました。
このことから、試験対策をキチンとしている大学に入れば、合格率は90%以上を目指せると考えられます。
特に国公立の大学は全体的に合格率が高めです。
対して、私立の場合は学校によって差が大きいため、慎重に選んでいくことが重要でしょう。
90%以上の学校も多数ありますが、70%を切っている学校も散見されます。
臨床検査技師に必要な偏差値
臨床検査技師を取得する上で、大学に通う場合に必要な偏差値は35以上と考えて良いでしょう。
このために、特別に頭いい方でなくても合格は目指せます。
ただし、偏差値が低い大学では充分な対策ができない可能性が高いです。
逆に偏差値が高い大学なら有利かと言えば、実はそうでもありません。
合格するための学校の選び方
名門校の方が合格率は高い傾向にあるものの、中には偏差値が60を越えていても、合格率が低いケースも見当たります。
逆に、偏差値が40ほどでも、合格率が8割後半の学校もありました。
結論としては、合格率の高い学校の中から、入学できるレベルの偏差値のものを選んでいくと良いでしょう。
学校を選べる偏差値の目安
まず、合格率100%の山口大・保健部の偏差値は50です。
合格率98.4%の群馬パース大・保健科学部(検査技術科)では偏差値は47.5となっています。
東京の杏林大・保健部(臨床検査技術)なら合格率は90.2%で、偏差値は47.5です。
このことから偏差値45から50程度であれば、合格率の高い大学を選びやすいでしょう。
学校選びが重要となる
臨床検査技師の試験は学校選びがそのまま、合格の難易度に関わってきます。
通いやすさなど総合的に考えて、自分にあった大学を選んでいくのがおすすめです。
特に私大の場合は学費が嵩みますから、学費免除の仕組みや奨学金制度を上手に活用することも大切です。
臨床検査技師&看護師難易度
看護師からステップアップして、臨床検査技師の資格も持っている方もしばしば見られます。
法的には臨床検査技師にできる業務は、すべて看護師にも許可されているのですが、だからと言ってダブルライセンスの意味がないわけではありません。
臨床検査技師の資格を取得するメリット
看護師もある程度の検査を行えるのですが、専門性は高くはないために、基本的には尿・血液検査などの比較的簡単な業務が中心となります。
この点、臨床検査技師の資格を持っておくと、より専門性が高い検査を行う技術があると証明されるため、業務の幅が広がるのです。
もちろん、就職・転職も有利でしょうし、年収や待遇にも関わります。
ダブルライセンスの取得方法
ダブルライセンスの取得方法ですが、今回リサーチした結果では、看護師と臨床検査技師の資格を同時取得できる学校は見当たりませんでした。
このために、方法としてはまず看護師の資格を取ってから、ステップアップするのが一般的でしょう。
看護師の国家試験合格率
看護師の国家試験は合格率が90%ほどで推移しているので、一般的な学力の方が本気で勉強すれば、充分に合格を狙えます。
看護師は専門学校なら3年で取得可能です。
臨床検査技師の国家試験合格率
臨床検査技師の国家試験の合格率は、だいたい65%から80%程度となっています。
臨床検査技師も専門学校を利用しての取得もできますが、大卒資格がある方が収入も良いですから、大学進学も検討してみましょう。
臨床検査技師の国家試験勉強方法
臨床検査技師の国家試験についての勉強は、いつから始めるか悩んでいる方もいるでしょう。
入学時点から継続して勉強する
勉強を始めるタイミングは人によって違うでしょうが、できるだけ合格率を高めるなら、入学時点からコツコツと始めていくことが大切です。
大学に入った場合は4年間にわたって学ぶわけですから、最初の方に習ったことは、試験直前には忘れてしまっている可能性が高くなります。
このため、入学してからすぐに、学んだことを忘れないようにトレーニングを継続することが大切です。
国家試験の勉強方法
臨床検査技師の国家試験は一部で計算も必要ですが、90%以上は暗記問題となっています。
しかも、問題は毎年、同じような内容が多いです。
したがって、勉強内容はテキストと過去問の暗記が中心となるでしょう。
効率よく知識を記憶して、試験本番で正確に思い出せるかがカギとなります。
暗記するためのコツ
暗記の方法は、テキストを読んでから過去問を解き、間違えた部分を復習することが基本です。
このようにインプットとアウトプットを繰り返すと、記憶の定着が進みます。
同時に「なぜ、そうなるのか」や「なぜ、間違えたのか」を考えると、理解が深まるため効果的です。
学習が進むと、次第に自分の苦手分野や間違いやすい箇所が判ってきますから、対策ノートを活用していくことも大切です。
絶対に覚えておきたい箇所や、頻出する事柄もノートにまとめていきましょう。
臨床検査技師の需要と将来性
従来の医療体制は、医師・看護師が中心でした。
しかし、近年は臨床検査技師のような専門性の高いスタッフが積極的に医療に関わり、チーム体制を採用する病院が増えつつあります。
役割の専門性が高まっている
大規模な病院を中心に分業化が進み、各種検査は臨床検査技師に一任するケースが一般化しているのです。
これは逆に考えれば、看護師だけしか資格がないと、生き残りが難しくなる可能性を示しています。
臨床検査技師は需要を増やす反面、看護師の役割は縮小される職場も現れるでしょう。
このままでは、看護師だけでは仕事ない、転職しようにも需要も少ないと言う結果になりかねません。
現在は、人口減少や医療費の増大などの問題から、病院の統廃合や病床数の削減も視野に入っているため、今の仕事がなくなる可能性も否定できないのです。
臨床検査技師の需要は増していく
早めに臨床検査技師の資格を取得しておけば、いつか後悔する可能性は低くなるでしょう。
近年は健康志向が高まりを見せ、定期健診などを利用する方も多くなってきました。
更に、女性の場合ですと、乳がん検査などの業務では男性より需要が見込めます。
他にも、産婦人科など女性ならではの活躍の場は少なくはありません。
今後も臨床検査技師への需要は更に増す可能性があります。
そのため、看護師としての将来に不安を感じた時は、臨床検査技師の資格を取得することも前向きに検討してみましょう。