手術室看護師の役割は?
手術室看護師(オペ看護師)とは手術室で働く看護師を指し、その仕事内容は2つに大きく分けられます。
①機器出し
ひとつ目は、主に手術で必要になる器械を用意するなど、手術へ直接関わる仕事を行うのが器械出し看護師です。
医療ドラマなどで頻繁に見られるシーンに器械出し看護師は登場します。
オペを行う医師の近くに立ち、メスと声をかけられるとメスを手に取り医師へ手渡す看護師です。
実際には、手術の進行度合いや、医師の行動や動作を見ながら状況の先読みを行い、必要な器械を正確に選択して、スピーディーに準備します。
医師が手術へ集中しやすくするための配慮やコミュニケーションを行うなど、スムーズに手術を進行するための大きな役割を担っています。
②外回り
ふたつ目は、外回り看護師です。
器械出し看護師が医師や手術を直接サポートするのに対し、外回り看護師は手術へ間接的に関わります。
手術で必要な患者への処置や、麻酔時の介助、患者がどのような状態か観察するなど仕事内容は幅広いです。
手術に必要な物品を用意したり、コストチェックをしたりもします。
オペ看護師になると、器械出しと外回りの業務を両方学べるので、2つの業務に関する知識を同時に身につけられるのがメリットでしょう。
手術室看護師の給料事情
手術室という外来や病棟看護師とは違った特殊な環境であることから、給料も高給なのでは?と考える方もいるでしょう。
次は手術室看護師の給料について紹介します。
基本給は差がない
オペ室看護師の給料は、外来看護師や病棟看護師と基本給に関してはあまり差がないと言われています。
しかし、夜勤手当を含めないオペ室看護師の給料相場はだいたい22万円から35万円程度です。
年収の平均額がだいたい450万円で、夜勤を含めると480万円以上になるケースもあります。
ただし、病棟看護師で夜勤があるケースであれば、夜勤の回数によって異なりますが、夜勤のあるオペ室看護師と年収の差はほぼありません。
特別手当
仕事内容やスキルを考えて年収が安いと感じるかは個人によって差はありますが、ほかの手当てなどで加算されるケースも多いため、基本的にはオペ室看護師の給料は高額だと言っても良いでしょう。
中でも、危険手当や待機手当などはほかの部署にいる看護師にはない手当です。
危険手当とは、血液感染のほかレントゲン持続照射装置を使用するなど、健康に一定のリスクを伴う可能性を考慮して支払われます。
待機手当とは、夜間などに緊急手術を行うために呼び出される場合に加算されるものです。
新卒で手術室へ配属された場合、オペ室看護師を経験した後に病棟看護師へ移動になる傾向がありますが、その後再び手術室へ戻るケースが少ないのが現状です。
その分、若い時からオペ室看護師として勤務すると、役職者に比較的早い段階でなれると言われます。
役職になれば月収やボーナスが多くなるため、年収が100万円や200万円ほど高額になる場合もあるでしょう。
手術室看護師は辛い?
看護師の仕事は辛いと感じることも多くあります。
その中でも手術室看護師ならではの辛さとは何でしょうか。
人命にかかわるプレッシャー
手術室に勤務する看護師の多くが日々失敗できない業務と向き合っています。
健康や人命にかかわる仕事内容から緊張感が長時間続き、手術が終了するごとに精神的な疲労を感じやすいです。
しかも、1日に数回手術する病院が多く、常にプレッシャーやストレスを感じる傾向にあるでしょう。
必要な知識が多い
加えて、手術室に配属されているので、特定の診療科について学ぶ病棟看護師などとは異なり、さまざまな診療科について幅広い知識を持つ必要があります。
オペで使用する器具についても知識をつけなくてはならず、日々の勉強量が多くなりがちです。
オンコールがある
また、オペ室看護師にはオンコールと呼ばれる勤務体制があり、病院から帰宅しても休日や夜間に緊急手術のために呼び出されます。
待機手当がもらえますが、当番になれば休日であっても常に病院へかけつける準備はしておく必要があり、気持ち的にも体力的にもリラックスして休みにくくなってしまいがちです。
手術中は立ちっぱなしで腰や脚などに疲労を感じやすく、休日にもゆっくりできず、体力的に辛く辞めたいと訴えるオペ室看護師は少なくありません。
その他
看護師あるあるで、性格悪い上司や医師の態度に我慢できないケースも多いです。
手術がスムーズにできないと器械出し看護師に辛くあたる医師もいると言われます。
手術室看護師のやりがいは?
オペ室看護師は体力的にも精神的にも辛い業務だと言われていますが、その分やりがいも多く感じられる仕事です。
達成感を感じる
多くが、難しい手術を終了した時や、手術が終了した患者を病棟へ帰す時に達成感を感じやすいとされています。
手術には手順書がありますが、医師ごとに手順や必要になる器械が異なるほか、患者の体型にもよって手順書に記載されている通りに手術が進行しないケースは多いです。
器械を多く使用する手術や複雑な手術になれば手順書にはない状況も多くなり、臨機応変にミスなく業務をこなす必要があるでしょう。
特に、器械出し看護師は術野を観察して手術の展開を予測し行動しますが、難しい手術であればある程緊張感を感じやすく、手術が無事に成功した時には自分に対して自信が持てますし、やりがいを感じられます。
患者からの感謝
また、オペ室看護師は患者と直接接する機会が少ないですが、患者から感謝の気持ちを伝えられた時には喜びを感じるでしょう。
スキルアップ
オペ室看護師は、幅広い医療知識や手術に関する専門スキルを身につける必要があるため、スキルアップがしやすいのがメリットです。
人材不足の傾向があるので、何年後には役職者になる、何歳までに看護師長になるなどの目標を掲げやすいのもやりがいのひとつと言えます。
手術室看護師に向いている人は?
手術室看護師になるためには、どのような能力を身に着けるとよいのでしょうか。
コミュニケーション能力
オペ看護師は執刀医だけでなく麻酔医やほかの診療科と連携する必要があるので、高いコミュニケーション能力が求められます。
同時にマインドコントロールできる能力が必要で、高い緊張感やストレスを感じる状況でも患者に対して笑顔で接し、スタッフと明るくコミュニケーションがとれる性質は手術室の雰囲気も良くします。
コミュニケーション能力が高ければ周囲へのアンテナを張りやすく、業務内容のチェックやスタッフ同士の意見を聞き出すこともしやすくなり、職場環境の改善にもつなげられるでしょう。
体力・集中力
体力がある人もオペ室看護師に向いています。
プレッシャーを感じる中で手術は数時間かけて行われるケースは多いですが、立ちっぱなしでミスなく業務を行う必要があるため、疲労を感じにくく、集中力が持続することは重要な能力です。
自覚と向上心
また、オペ室看護師1年目の新人でも、ひとりで業務を担うケースは珍しくはありません。
プレッシャーのある状況と言えますが、新人でもしっかりと手術をマネジメントする冷静さを持つには、オペ室看護師としての自覚が必要になるでしょう。
加えて、医療を常に学び続ける向上心もオペ室看護師には必要です。
新人は経験を積んだ看護師を観察しながら業務を身につける勉強方法を積極的に取り入れ、早期にオペ室看護師の業務をスムーズに行えるようになる必要があります。
また、実績ある看護師は日々進化する医療を新たに学び続けなければなりません。