看護師はいつまで働ける?
かつては多くの企業と同様に病院も60歳が定年と決められていました。
しかし、現在では具体的に何歳までと、定年までの年齢を明確に決めている病院は多くありません。
経験豊富な看護師は重宝される
看護師は技能職であり、知識や経験が重視される仕事です。
そのため、高齢であっても経験豊富なベテランの看護師は現場で重宝されると言えます。
年齢の制限はない
病院によっては70歳まで勤務可能としつつ、実際はそれ以上に高齢の人を看護師として雇用している所もあります。
正社員としての扱いは定年までですが、退職後はパート勤務として再雇用するケースは少なくありません。
具体的な年齢制限を設けていない所なら、本人の体が動くまで勤務可能と言えるでしょう。
高齢の看護師に夜勤はさせない
その一方で高齢の看護師を長時間勤務に従事させるのは健康上、決して良い選択ではないのも事実です。
看護師の仕事に夜勤はつきものですが、高齢の看護師は日勤のみと決めている病院は少なくありません。
法律でも夜勤については年齢の上限は決まっていませんが、生活サイクルが不規則になるのでどうしても体への負担が大きくなります。
そのため、本人が希望しても高齢の看護師は夜勤に従事できない病院が多いと言えます。
人手不足の病院は必要な人数を確保するために高齢の看護師を多く雇用する傾向にありますが、それでも日勤がほとんどです。
看護師の退職金は?
看護師の退職金は基本的に勤続年数が長いほど高額になります。
退職金の計算方法とは
退職金の計算方法は雇用主ごとに異なるので一概に言い切ることはできません。
しかし、大抵の場合は基本給または固定給に勤続年数を掛けた数値を退職金として扱います。
勤続40年の看護師を例に取ると、基本給が23万円だった場合はその金額に40年を掛けた数値である、920万円が退職金です。
そこに保健師や助産師など、看護師が持っている資格に対する手当が加算されることもありますが、資格手当や退職金は法律で決まっているものではありません。
あくまでも雇用主の判断に委ねられるお金なので、必ずしも退職金が貰えるとは限らないことに注意する必要があります。
税金が発生する
退職金にも税金が発生することを忘れてはいけません。
退職金には所得税と住民税がかかりますが、どちらも1年間の所得額の合計から金額を算出するので、同じ金額でも受け取り方によって課税額が変わることがあります。
場合によっては余計に税金を支払うことになるので、退職金を受け取る際は十分に注意しなければいけません。
確定申告については退職金の受け取り方に関係なく、所定の手続きを行えば不要です。
税金に関する手続きは手間がかかるうえに専門知識が必要なので、税務署の窓口で相談するのが賢明と言えるでしょう。
▼退職金についての詳細の記事はこちら
定年後の給料はどうする?
定年後も看護師として働き続ける人は少なくありませんが、その場合は雇用形態が変わるので平均年収が下がるのが普通です。
定年後の雇用形態は「再雇用」か「定年延長」のどちらかになるでしょう。
再雇用になる場合
大抵は一度退職手続きを行い、その後でパートとして再雇用する形になります。
非正規雇用なので給与減額されることが多く、ボーナスが支給されないのも珍しいことではありません。
平均年収も2割から3割ほど下がるので、働いて得られるお金は多くありません。
しかし、再雇用される看護師は退職時に退職金を貰っていることが多いため、給与減額でも直ちに生活が困窮するとは言い切れないのも事実です。
また、保健師や助産師などの資格を持つ看護師なら資格手当が貰えることがあります。
定年延長になる場合
定年延長の場合も実質的には退職後の再雇用と扱いは変わりません。
雇用主によってはボーナスを支給するなど正社員とほぼ同じ待遇で受け入れることもありますが、それでも給与減額になるのが普通と言えるでしょう。
経験豊富でも即戦力になりにくい
知識や経験が豊富でも加齢によって体力が低下している高齢の看護師は夜勤や長時間勤務が難しいため、医療の現場では即戦力になりにくい問題があります。
高齢の再雇用看護師は人手不足の解消になる一方で多忙な仕事には従事できないことから、どうしても給与減額となってしまうのです。
看護師の定年退職後の仕事は?
看護師の職場は病院ばかりではありません。
病院以外で働く人も多い
医療の知識を持ち、介助作業に慣れている看護師は様々な所で需要があると言えます。
退職後の看護師が病院とは無関係な仕事に就くケースも少なくありません。
病院以外の看護師の働く場として、産業看護師や保育園看護師が人気です。
産業看護師とは
企業に雇われる産業看護師は退職後の再就職先として高い人気があります。
産業看護師は治療のサポートや患者への介助作業ではなく、従業員の健康管理や職場の衛生管理を指導するのが主な仕事です。
ほとんどの場合、夜勤や休日出勤が存在せず、拘束時間も短いので働きやすいと言えます。
高待遇な所も多いのが魅力ですが、求人数が少ないので産業看護師になるのは容易ではありません。
また、ある程度の経験が求められるのも注意点の一つです。
保育園看護師とは
保育園で子供の体調管理について指導する保育園看護師も退職後の仕事として高い人気があります。
医療の知識を子供の健やかな成長に役立てることができるので、看護師としてのやりがいが実感できる仕事です。
公立保育園の場合は公務員扱いになるので安定した収入が得られるのもメリットと言えるでしょう。
クリニックや健康センター
医療に関わる仕事としてはクリニックや健康センターでの勤務があります。
医療の知識が求められる仕事ですが、長時間勤務や夜勤は稀なので働きやすいのは間違いありません。
また、求人数も多いので再就職しやすいと言えるでしょう。
定年後の過ごし方ランキング
定年退職した看護師の過ごし方ランキングは、調査した時期や地域によって結果に違いがありますが、それでも趣味を重視した生き方が上位を占める点は共通しています。
ひとりの時間を楽しむ
定年後に再就職しない看護師を対象にした過去10年間の過ごし方ランキングにおいて、ひとりで楽しめる趣味に没頭するという答えは常に5位以内です。
看護師の仕事は非常に多忙なため、休日は遊ぶよりも体を休めることが優先される傾向にあります。
そのため、定年後になってようやく自由に使える時間が増えたと実感する看護師は少なくありません。
その結果、今までできなかったことを満喫しようという考えに至り、趣味に没頭するようになります。
また、看護師として病院で医師や患者と接し、常に他人に気を使う仕事をしていたため、退職後は、あまり人と関わらずに一人で過ごしたいという人もいるでしょう。
そのため、手芸やカラオケ、ビデオ鑑賞など、ひとりで楽しめる趣味が人気です。
友人と過ごす
ひとりの時間を自由に使いたいと考える人も多いですが、その一方で多くの友人と触れ合う生き方という答えも過ごし方ランキングでは上位をキープしています。
看護師として働いていた頃は医師や患者がもっとも身近にいる他人でした。
友人と遊びたくても忙しいので会うことすらできないのも珍しくありません。
その反動から、定年後は毎日のように多くの友人と一緒に遊び歩く人も少なくないと言えます。
いずれの答えにも、看護師として働いている頃にはできなかったことをようやくできるようになったことへの喜びが込められています。