退職金は定年しかもらえないの?
退職金に一般的な事情として、定年退職をしたときにしかもらえないのではないかというのが気になっている人もいるでしょう。
実際はどのような制度になっているのでしょうか。
退職金をもらえるかは職場によって違う?
退職金制度は労基によって定められている雇用主の義務ではなく、基本的には各々の企業が福利厚生として提供しているものです。
そのため、職場によっては定年退職したときにももらえないこともあります。
退職金を支給する制度が整っている場合にももらえる条件には違いがあるため、勤め先の社内制度を確認することが必要です。
一般的な傾向としては3年以上の勤続年数があることが支給条件になっていて、10年以上の勤務になると金額が増える措置を取っている企業が多いのが実態です。
自主退職した人はどうなるの?
自主退職の場合には支給しないというケースもないわけではありませんが、退職金制度があるなら通常は支給してもらうことができます。
ただ、定年退職の場合によりは自主退職の方が金額が少なくなるのが一般的です。
もともと退職金制度は定年退職まで長く働いてもらいてもらえるようにする目的で導入された制度なので、途中で退職してしまう人にはメリットが少ない仕組みになっています。
同様の理由で支給条件として勤続年数が3年以上といった規定が設けられているのです。
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看護師退職金の相場&計算方法とは?
退職金制度が整えられている場合にはどのくらいの退職金が出るのが相場なのでしょうか。
退職金の計算方法とは
私立病院では独自の計算方法を用いていることも多いですが、日赤などでは公務員の退職金の計算方法に準じたやり方で算出しています。
計算方法退職金=退職時の基本給 × 支給率
※支給率(勤続年数と退職理由による)
多くの職場では退職日における基本給に退職理由に応じた係数をかけて勤続年数の長さなどによって決まる調整率をかける方法を採用しているのが実情です。
具体例として、自主退職をするケースを考えて勤続年数によってどのくらいが退職金の相場なのかを確認してみましょう。
看護師退職金相場
3年目 … 30万円~50万円
5年目 … 50万円~100万円
10年目 … 250万円~300万円
20年目 … 500万円~650万円
定年退職 … 1,800万~2500万
3年目に退職する看護師が増えてきている状況がありますが、この場合には30万円~50万円が相場です。
5年間働いた時点で退職した場合には50万円~100万円程度ということが多くなっています。
10年目に自主退職をすると典型的な退職金の金額は250万円~300万円で、20年目に退職した看護師の場合には500万円~650万円になります。
定年退職をした場合や、看護師長など役職がついた場合は、1800万円~2500円ほどにもなるようです。
退職金はいつもらえるの?
退職金の支給時期がいつなのかはやはりどのように制度が整えられているかによって異なります。
退職する日にはもらえない?
退職一時金や退職手当などとしてまとめて支払われる仕組みが主流ですが、早く欲しいと思っても退職する日にもらえるわけではありません。
通常の支払いは退職してから一ヶ月後か二ヶ月後くらいで、最短でも二週間後くらいとなっています。
いつもらえるかは個々に就業規則で確認する必要がありますが、遅い場合には三か月以上もかかることがあるので注意しましょう。
退職金支払い方法の種類とは
退職金の支払い方法にはいくつかの種類があります。
勤務先によっては退職金を一時金としてまとめて支払わずに年金や前払いという形にしていることもあるので注意しましょう。
退職一時金制度
退職金を一括で受け取ることが出来る制度のことを言います。
退職年金制度
年金制度の場合には定年退職後になってから年金を受給する際に上乗せされる形で受け取ることができます。
前払い制
前払い制度の場合には退職一時金として想定される金額を毎月の給与またはボーナスに上乗せして支払うのが特徴です。
見た目の年収が高くなる魅力がありますが、退職一時金はない場合がほとんどなので老後の資金についてよく考えて準備をしていくことが必要になるでしょう。
退職金制度のあり方として企業年金制度や前払い制度は典型的なもので、特に年金制度は一時金制度と併用していることも少なくありません。
退職金にかかる所得税はどれくらい?
退職金を一時金としてまとめて受給したときには退職所得として認められるため、手に入れた金額に応じた所得税と住民税を支払わなければなりません。
退職金の税金控除とは
退職時に手続きをしておけば源泉徴収をしてもらえるので自分で手続きをしなくても問題はありませんが、税金対策をするなら計算方法や控除などについて理解しておくことが大切です。
給与所得の住民税は翌年の税金になりますが、退職金の住民税はその年に納めることになるので注意しましょう。
計算方法は課税退職所得に税率をかけた金額から控除額を引き去るという単純なものです。
累進課税になっているので課税退職所得が大きいほど税率が高くなります。
課税退職所得は退職所得から勤続年数に応じた控除額を引くことで計算できます。
税金控除のポイント
勤続年数 退職所得控除額
20年以下… 勤続年数×40万円(最低保証80万円)
20年以上… (勤続年数-20年)×70万円-800万円
20年以下の場合には勤続年数に40万円をかけたもの、20年を超えている場合には勤続年数から20年を引いたものに70万円をかけて800万円を差し引いたものになります。
早期退職の方が控除額がかなり少なくなるのに注意が必要で、数年追加で働いているだけで税金かからないようになる場合もあります。
例えば、20年働いて850万円を受け取ると課税退職所得は50万円で、税率が5%なので2万5千円の所得税を納めなければなりません。
しかし、もう1年働いて退職金が870万円になったとすると全て控除されるので税金を納めなくて良くなります。
退職金制度のある病院・クリニックとは?
退職金制度のある現場で働きたいという看護師はどのようにして病院やクリニックを選んだら良いのでしょうか。
退職金制度のある病院・クリニック
退職金制度は大手の医療法人や一般社団法人などが運営しているクリニックや病院であれば整えられていることが多いですが、個人クリニックの場合には導入されていない場合がほとんどです。
法人のクリニックでも規模が小さい場合には退職金制度がない場合が多いので注意しましょう。
また、国公立の病院や大学病院などでは公務員または準公務員として取り扱われているので公務員と同じ形の退職金制度があるのが一般的です。
退職金の前払い制度には注意を!
ただし、退職金の相場は現場ごとに大きく異なるので、気になる場合には問い合わせをして就業規則について開示してもらうと良いでしょう。
また、退職金などが手厚い代わりに給与が低めになっていることもあり、逆に前払い制度を導入していて月収が高めになるようにしている病院やクリニックもあるので注意しましょう。
前払い制度などによって給与が高めになっているから、自分で積み立てをして退職金代わりにしてしまうことも可能です。
退職金制度にこだわらずに給与が高いところを選ぶ方法もあるということは職場選びのときには念頭に置いておきましょう。