フライトナースとはどんな仕事なの?
ドクターヘリに乗ってフライトドクターをサポートするのがフライトナースの仕事内容です。
医師の医療行為をサポートする意味においては一般的な看護師と変わりません。
過酷な職場環境
ドクターヘリに搭載できる医療機器は限りがあること、現場が必ずしも治療に適した状況とは限らないことなど様々な問題に直面するのが大きな違いです。
患者が危険な状態であれば狭い機内で治療を行うことになるので、仕事自体は同じでも職場環境は非常に過酷と言えるでしょう。
また、ドクターヘリが必要になる現場は危険な状況になっているケースが少なくありません。
患者やその親族が混乱していることも多いので、フライトドクターによる治療が妨げられないように落ち着かせるのも重要な仕事の一つです。
フライトナースの出勤時間は不安定
その一方でフライトナースは常にドクターヘリへ乗るわけではありません。
ドクターヘリは救急車での搬送ができないなど特殊な状況で利用されるため、場合によっては何日も出動しないことがあります。
フライトナースはドクターヘリと共に動くので、出動要請が出るまでは待機するのも重要な仕事です。
その反面、一日に何度も出動するケースもあることから、フライトナースの勤務時間は不安定になりやすいと言えます。
フライトナースになるには
フライトナースとして働くためには様々な資格が必要です。
フライトナースに必要な資格とは?
まずは看護師の免許を取得しなければスタート地点にも立つことはできません。
そのうえで救命救急に関する資格のACLSプロバイダーとJPTECプロバイダーの両方を取得します。
資格を持っていなくても同等の知識やスキルがあれば条件を満たすことはできますが、それでも資格を持つのが賢明と言えるでしょう。
資格を持つことにより、必要な知識やスキルがあることを客観的に証明できるためです。
助産師の資格
また、必須ではありませんが助産師の資格があれば妊娠している患者を搬送する際に適切な対応が可能になります。
いずれの資格も取得は容易ではありませんが、それだけにフライトナースは看護師の中でもエリート職と言っても過言ではありません。
プロバイダーの資格の取得方法
ACLSプロバイダーとJPTECプロバイダーはそれぞれの運営協会が管理するトレーニング教室で講習を受け、必要な知識とスキルを得ることで資格を得ることができます。
どちらのプロバイダーも基本的に年齢制限は存在しないので、高校や大学に在学中でも資格を得ることは可能です。
ACLSプロバイダーの受講料(2020年10月時点)は38,980円(税込み)です。
JPTECプロバイダーの受講料(2020年10月時点)は8,000円(昼食・認定料を含む)です。
助産師の資格の取得方法
助産師については看護師免許を取得し、助産師学校などの教育機関で勉強する必要があります。
知識とスキルを得て修了が認定されたら助産師としての資格を取得できますが、教育機関へ入るための倍率が非常に高いので事前の勉強は不可欠と言えるでしょう。
フライトナースの選考基準とは
フライトナースとして働くには必要な資格を得るだけではなく、医療現場での実務経験も欠かせません。
ドクターヘリに乗って大空に舞うフライトナースはかっこいい存在ですが、憧れだけではフライトナースとして働くことはできないと言えるでしょう。
必要な実務経験とは?
まずは看護師として5年以上の経験が求められます。
そのうち3年以上は救急看護師としての経験なので、看護師なら誰でもフライトナースになれるわけではありません。
救急看護師とは?
救急看護師は名前の通り、災害や急病など救命救急の現場で働く看護師です。
限られた時間の中で臨機応変な対応が求められる仕事であり、即断即決の姿勢が重視されます。
様々な病気や怪我に対処する仕事でもあるので、医療の知識も非常に重要です。
フライトナースは看護師のエリート職
フライトナースは看護師のエリート職として憧れの対象になっていますが、非常に高度な知識やスキルが求められる仕事でもあります。
理論的には正看護師となって5年以上の実務経験があれば最年少である25歳からフライトナースになることは可能です。
しかし、決められた資格の取得や必要とされる知識やスキルを得るには経験が非常に不足していると言えるでしょう。
その一方で明確な規定は存在しないものの、過酷な仕事なので体力がある若い人が優先されることもあります。
救急の最前線で求められる人とは
ドクターヘリから颯爽と降り立ち、フライトドクターと共に患者を助けるフライトナースの姿はかっこいいものです。
しかし、救急の最前線においては何よりもまず、緊急事態でも慌てない、冷静沈着な人が求められます。
慌てず判断できる人
どのような過酷な状況でも慌てず、客観的に判断ができる人が向いていると言えるでしょう。
経験が長くてもいざ緊急事態になったらパニックになってしまうのは看護師あるあるの典型的な例です。
しかし、一刻を争う救急の最前線ではあるある系のような悠長なことはできません。
フライトナースに課せられた使命
目を背けたくなるような悲惨な現場でも狼狽せず、落ち着いて対処することがフライトナースに課せられた使命と言っても過言ではありません。
苦しんでいる患者の前で慌ててしまう人は、看護師に不向きといえるでしょう。
コミュニケーション能力
常に冷静沈着であることがフライトナースに求められる姿勢です。
しかし、それ以外にもフライトドクターやヘリのパイロット、救急現場にいる人とコミュニケーションがとれることも重要な条件です。
現場の状況や患者の容態を瞬時に判断し、的確に相手へ伝えることができなければ救急の最前線で働くことはできません。
どのような相手でも正しく意思を伝え、情報のやり取りを簡潔かつ的確に行うことがフライトナースの責務です。
フライトナースの給料は高い?
フライトナースは専門性の高さや仕事の過酷さから高給取りというイメージがあります。
フライトナースはドクターヘリを配備している病院で働くのが普通なので年収が高いイメージがあります。
しかし、基本的な仕事内容は一般的な看護師と同じなので実際はイメージのような高給取りとは断言できません。
フライトナースの給料とは?
看護師の平均年収は新人で約300万円から350万円、ベテランで約500万円ほどとされています。
フライトナースも基本的な年収はほぼ同じで、これに現場へ出動した際に生じる特別手当や資格手当を加算します。
その結果、約400万円から550万円ほどが平均的な年収になりますが、特別手当や資格手当は雇用主が独自に決めるものです。
このため、すべてのフライトナースがこの金額になるわけではありません。
助産師の資格手当
助産師の資格を持つフライトナースはその分の資格手当も支給されることがあります。
一般的な看護師の場合、助産師の資格手当は約3万円ほどとされているので、フライトナースもほぼ同じ金額です。
しかし、資格手当はあくまでも雇用主の判断で支払いの有無が決まることから、助産師の資格があっても必ず年収が増えるとは限りません。
より高額な年収を目指すなら転職するのも一つの方法ですが、ドクターヘリがある医療機関は限られているのでその点は注意する必要があります。