移植コーディネーターとは?
移植コーディネーターとはどんな仕事なのでしょうか。
移植コーディネーターの仕事
移植コーディネーターというのは、臓器の提供者(ドナー)と移植者(レシピエント)の間に立って、調整や管理を行ったりする職業です。
移植コーディネーターは主に2種類に分かれており「公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク」に所属して仕事を行う人と、公益社団法人 日本臓器移植ネットワークから委託されて仕事を行う「都道府県コーディネーター」がいます。
この職業の仕事内容としては、ドナーの家族に手術の説明を行うことや臓器の運搬・移植への立ち会いなどがあり、その役割は非常に大きいです。
移植コーディネーターの特徴
また、この職業の特徴として、スケジュールが予想できないという点が挙げられます。
臓器移植が必要となる明確なタイミングは分からないため、突然仕事が発生することが多いのです。
ドナーが脳死状態になったら連絡が入り、その後病院に行ってドナーの状態を確認したり手術の準備を進めたりします。
そして、臓器の摘出手術が始まると立ち会って、記録を取ったり報告したりします。
なお、日本はアメリカなどの諸外国と比べて臓器移植があまり頻繁に行われていないため、コーディネーターの人数も少ないです。
ですが「CO 移植コーディネーター」という臓器移植コーディネーターをテーマにしたドラマが放送されたこともあり、徐々に知名度は高まっていますよ。
移植コーディネーターになるには?
移植コーディネーターになるためにはどうしたらいいのでしょうか。
移植コーディネーターになる方法
実は、移植コーディネーターという国家資格などは存在しません。
しかし、医療専門職であるため医療や福祉の分野での実務経験や医療国家資格を求められることがほとんどです。
さらに、公益社団法人日本臓器移植ネットワークに所属するためには、四年制大学を卒業する必要があります。
従って、移植コーディネーターになるにはまず、医療や福祉系の分野について学べる四年制大に入学しなければいけません。
大学に入学したら試験などを突破しながら、医療系の国家資格の取得を目指しましょう。
例えば、医師や看護師、臨床検査技師や社会福祉士などが挙げられます。
日本臓器移植ネットワークの採用試験に合格する
さらに、日本臓器移植ネットワークの採用試験を受けて合格する必要があります。
書類選考や小論文、適性検査や面接があるので、しっかりとした対策が必要でしょう。
移植コーディネーターの難易度
また、移植コーディネーターの求人はそれほど多くありませんし、常に募集しているとも限りません。
よって倍率は高いと言えます。
無事に日本臓器移植ネットワークに採用されたとしてもすぐに仕事ができるわけではなく、研修やセミナーなどに参加しなければいけません。
このように、移植コーディネーターになるのは簡単ではないため、まずは医師や看護師として経験を積むこともおすすめします。
移植コーディネーターのやりがいとは?
移植コーディネーターのやりがいはさまざまです。
やりがい1 移植者の命が助かる瞬間を見ること
しかし、第一に挙げられるのは、やはり移植者の命が助かる瞬間を見ることでしょう。
移植手術において移植コーディネーターの役割は非常に大きいので、その分責任も重いです。
急に手術が決まると短時間で準備を完了させなければいけないため、家に帰れないケースもあります。
大変だと感じることも多いですが、それでも仕事を続けられるのは、手術が無事に完了した時の喜びを味わうことができるからではないでしょうか。
仲間との連携も重要であり、大きな達成感を分かち合うことができますよ。
やりがい2 臓器移植によって希望を与えることができる
さらに、移植コーディネーターは、提供者の家族とコミュニケーションを取る仕事でもあります。
提供者の家族の中には、家族が亡くなったことをなかなか受け入れられなくて深い悲しみを感じている方もいます。
しかし、そのような方々にも真摯に向き合って、納得してもらえる説明をしなければいけません。
ですが、無事に手術が終わって家族の臓器が誰かの命を救うために使われたということが分かると、嬉しさを感じる方もいます。
残された家族の悲しみは消えませんが、臓器移植によって少し希望を与えることはできるでしょう。
そんな時、移植コーディネーターとしての使命や喜び、責任感を感じることができるのです。
移植コーディネーターの年収とは?
移植コーディネーターの年収はどれくらいなのでしょうか。
移植コーディネーターの平均年収
下記は移植コーディネーターの平均年収になります。
平均年収 … 約350~450万円
移植コーディネーターの平均年収は、350~450万円ほどです。
基本給に役職手当や住宅手当などの手当が付くことも多いので、給料面での待遇は悪くないと言えます。
しかし、医師や看護師よりは年収が低いので、医療職の中で飛び抜けて給料が良いわけでもありません。
医師や看護師の仕事と移植コーディネーターの仕事を掛け持ちする人も?
中には、医師や看護師として病院に勤務しながら移植コーディネーターの仕事をしている方もたくさんいます。
その場合の給料は、働いている病院によっても変化するでしょう。
また、役職が上がると給料も上がり、平均年収より高い収入を得られる可能性も十分に考えられます。
さらに、休暇などの福利厚生や昇給は手厚いため、一度採用されると長く働くことができるでしょう。
移植コーディネーターの種類によって年収は変動する?
なお、移植コーディネーターといっても「小児移植コーディネーター」や「細胞移植コーディネーター」などの種類があり、その種類によっても年収は変動する可能性があります。
特に、皮膚や角膜などの細胞を移植する際に活躍する細胞移植コーディネーターは非常勤職員やアルバイトであることが多いので、どうしても正社員より給料が低くなります。
ちなみに、非常勤職員の平均時給は1000~1500円ほどで、正社員と同等の福利厚生を受けることはできません。
移植コーディネーターは不足している?
移植コーディネーターは不足していると言われており、採用人数も1年間に数人ほどと非常に少ないです。
その理由としてはさまざまなことが考えられます。
理由1 知名度が低い
1つ目は、移植コーディネーターの知名度がそれほど高くないこと。
どのような仕事をしているのか分からないため、目指す人も少ないのです。
理由2 業務が忙しい
2つ目は、業務の忙しさ。移植コーディネーターは、臓器移植の手術が行われるとすぐに準備にとりかかります。
よって、1つの手術をするのに3日間ほど病院などで待機する必要があるのです。
しかし、いつ忙しくなるか分からないためスケジュール管理が難しくて、定着しにくいという現状があります。
加えて、移植コーディネーターは、移植者の待機リストを作成するなどのデスクワークも多いため、手術がない時期でも多忙です。
理由3 人材不足で負担が大きくなる
そして、3つ目の理由は、移植手術が増えていること。
アメリカなどに比べるとまだ少ないものの臓器提供数は増加しているため、手術数も増えているのです。
従って、必要な移植コーディネーターの人数も増えていますが、現実的にはなかなか増加していません。
その結果、今いる移植コーディネーターがさらに忙しくなって、定着しにくくなるという悪循環が発生するのです。
今後ますます臓器提供が増加することも考えられるため、多くの方を救うためにも移植コーディネーターを目指してみてはいかがでしょうか。