ターミナルケア看護の大切な役割とは?終末期ケア・看護計画まとめ

ターミナルケア看護の大切な役割とは?終末期ケア・看護計画まとめ

ターミナルケア看護師の役割とは

ターミナルケア看護師の役割とは

ターミナルケア看護師は、患者が残された命の時間を心穏やかに過ごせるようケアをする役割をもっています。

終末期の患者へのケア

終末期は強く痛みを感じやすく、なかなか寝付けない、ゆっくりと休めないという患者には、緩和ケアを行って痛みを和らげる処置を施します。

思うように食事が摂れない患者には経管栄養や点滴などをします。

しかし、その際には本人や家族に延命措置の有無と、実施するならどのような方法で行うかを確認しなくてはいけません。

終末期の患者の精神的なケア

また、排泄や入浴の介助など生活する上での身体的ストレスを軽減する役割のほか、精神的なケアも重要です。

終末期を迎えた患者は死に対する不安や恐れを抱え、残された家族のことを心配して精神的に不安定になりやすくなっています。

ターミナル看護師は、患者の辛い精神状態に寄り添い、不安や恐れ心配などを軽くし、安心して最後を迎えられるようサポートする役割があります。

終末期は孤独感・喪失感を感じやすい

また、一人で死に向かう孤独感や寂しさ、家庭での居場所を失くしたような喪失感に襲われる患者もいます。

できるだけ家族や友人との時間を作り、孤独や寂しさを軽減できるよう促すことも大切です。

患者が思い残すことなく人生を全うして旅立てるように、ケアやサポートを通し、充実した終末期を過ごせるように促すのがターミナル看護師の役割だといえるでしょう。

ターミナルケア看護師の資格

ターミナルケア看護師の資格

ここでは終末期ケア専門士について紹介していきましょう。

終末期ケア専門士とは

終末期ケア専門士とは、日本終末期ケア協会が主催している資格です。

終末期ケアについて学び、エビデンスに基づいたケアの実践を通して、臨床ケアのスペシャリストを育てることを目的としています。

基礎研修や倫理観の育成プログラムを通して、ターミナルケアに必要なスキルを磨きます。

また、チームマネジメントなどを行う、終末期ケア上級専門士というものもあります。

終末期ケア専門士の受験資格

受験資格は、看護師であれば2年以上の実務経験、准看護師であれば3年以上の実務経験を持っていれば受験が可能です。

経験年数を満たしていれば常勤・非常勤どちらであっても受験ができ、申し込みの際には実務経験証明書の提出が必要になります。

終末期ケア専門士の受験料

受験料は10,000円で、受験申込フォームから受験申し込みを行い受験料を支払います。

そのあと受験資格該当審査があるのですが、もし受験資格を満たさないと判断された場合には受験料10,000円は返還されるので安心してください。(ただし、事務手数料は除きます)

合格率・難易度

合格率難易度が気になるところですね。新設されたばかりの終末期ケア専門士認定試験の第1回目にあたるこの試験の受験者数は、約2,300人です。日本終末期ケア協会によると、
2020年の合格率は65.6%となっています。

受けてみたいと思った人は次回の受付をぜひチェックしてみてください。

◆終末期ケア専門士の受験資格・受験要項
日本終末期ケア協会 JTCAのホームページ「受験希望者はこちら」に記載されています。

看取りとターミナルの違いとは

看取りとターミナルの違いとは

看取りとターミナルケアは一緒に考えがちですが、実は違いがあります。

看取りとターミナルケアの違い

看取りとは、食事や排せつの介助、褥瘡の防止といった日常生活のケアやサポートが中心で、患者を介護する行為のことをいいます。

一方、ターミナルケアは医療的ケアが中心になるので、そこが大きな違いだといえるでしょう。

ターミナルケアの先に看取りがあることから、密接に関係していると言ってもいいかもしれません。

病院での看取り

看取りには、病院在宅介護施設の3種類があります。

病院での看取りはターミナルケアを受け、最終的にそのまま看取りに入ることが多いでしょう。

在宅での看取り

在宅での看取りは、ケアマネジャーと連携を取りながら訪問看護士や訪問介護士在宅医を探しチームを組んで一緒に取り組むイメージです。

介護施設での看取り

一方で、最近では看取りができる介護施設が増えてきました。

厚生労働省によると、「平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成27年度査)」の結果から、看取りを行っていると回答した施設は下記のようになっています。

・特別養護老人ホーム … 76.1%

・老人保健施設 … 64.0%

介護療養型医療施設 … 81.9%

在宅での看取りを希望する人は多いですが、介護不安を感じる家族からすれば「施設で安心して余生を過ごしてほしい」と思うのかもしれません。

終末期のケア・看護とは

終末期のケア・看護とは

終末期のケアをするうえで、家族への声かけはとても重要です。

患者の家族に症状をしっかりと伝える

患者の家族は『患者の状態を知りたい』『患者のそばにいたい』『患者の役に立ちたい』といった10のニーズを持っています。

このことから、患者の症状をしっかり家族に話し、家族は何ができるのかを伝えることが大切であるとわかります。

患者と家族の時間が求められる

ほかにも、10のニーズには『夫婦間(患者一家族間)で対話の時間を持ちたい』といった声が含まれており、家族の時間を強く求めていることが浮き彫りになりました。

終末期のケアでは患者へのターミナルケアだけでなく、こうした家族に対する配慮が必要なのです。

患者の家族とコミュニケーションを取る

在宅での終末期ケアでは家族は患者の症状に加えて、自分たちの行う介護やケアに対しても不安を感じます。

訪問看護の際にはしっかり症状を伝えるのはもちろんですが、家族とコミュニケーションを取りケアや介護に関するアドバイスをして不安を取り除くことも忘れてはいけません。

看取りへの心構えを促すサポート

また、在宅の場合は看取りへの心構えを促すサポートが求められます。

ケアをしているときにさりげなく患者の死期を伝えるだけでもいいのです。

患者との残された時間を悔いが残らないように過ごすことができ、自然と看取りへの心構えができていくといえるでしょう。

終末期の看護計画

終末期の看護計画

看護計画とは、患者の状態に合わせて実施する看護内容を計画立案したものです。

看護問題に対する長期と短期の目標を設定し、計画を立てていきます。

患者や家族から情報を集める

看護計画を作るにあたり、重要になるのはアセスメントです。

患者や家族から詳しく話を聞き、情報を集めて問題点を明確にします。

患者の状態・医療の希望を確認する

えば、どんな医療を希望しているのか、患者の意思、家族間における合意を確認します。

また、食事や入浴、排せつといった生活を送るうえでの基本的な行動の状態や、精神状態の変化などを把握します。

そのほかにも、身体的・精神的・社会的・スピリチュアル的苦痛の有無についてもヒアリングします。

集めた情報を基にnanda-Iを使って看護診断をしましょう。

nanda-Iとは

nanda-Iとは、nanda-Internationalのことで、定義や関連因子、診断レベル、診断指標、成果目標などの項目で看護診断ごとに医学分類し、定義の統一化を図ったものです。

看護計画を立てる

看護診断と目標が終わったらop(観察計画)・TP(ケア計画)・EP(教育・指導計画)を書きましょう。

がん患者の疼痛緩和

がん患者はがん性疼痛を経験することが多いので、疼痛緩和を行い、がん性疼痛をコントロール必要があります。

また、がん性疼痛は全人的苦痛であるため、薬を使った治療に加えて精神的苦痛や社会的苦痛、スピリチュアル的な苦痛のケアも求められます。

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