内視鏡看護師に必要な資格とは
看護のお仕事として、内視鏡看護師という働き方があります。
内視鏡看護師の役割とは、内視鏡での検査や治療に関して患者に説明や前処置、検査中の介助を行うことです。
また、その際に使用したものの準備や片付けも行います。
内視鏡看護師に必要な資格
内視鏡看護師になるために必須となる資格は、基本的には看護師免許のみとなります。
正看護師・准看護師であれば未経験でも歓迎という求人も見受けられます。
このため内視鏡看護師になるための特別な資格はありませんが、おすすめの資格として紹介されているのが消化器内視鏡技師です。
消化器内視鏡技師とは
消化器内視鏡技師とは下記のようなことができる資格を指します。
・内視鏡及び関連器械の管理や補助・整備
・医師の介助をする際に専門的な知識や技術を発揮する
これを取得しておくことで長く内視鏡看護師として働くことができるスペシャリストとして扱われるのはもちろん、転職する際にも有利になりやすいなどのメリットがあります。
資格取得のための勉強方法とは
勉強方法としては主に独学になるのですが、参考になる本として内視鏡検査に関するガイドブックや看護師向けの内視鏡治療に関するものが数多く出ています。
それらを利用して勉強するほか、内視鏡に関する講習会やセミナーに参加することも勉強法として活用できます。
特に講習会やセミナーは受験資格にも関連しているので、できる限り参加しておくことが望ましいです。
資格取得の条件
消化器内視鏡技師試験を受けるための条件は下記のようになってて、すべての条件を満たしている必要があります。
・看護師、放射線臨床技師など、日本消化器内視鏡技師会が定める医療関連の国家資格を取得している
・日本消化器内視鏡技師会の専門医が従事する内視鏡室での2年以上の実務経験がある
・医学講習会、または勤務先の内視鏡学会専門医による医学講義を規定時間以上のを受講している
・日本消化器内視鏡技師会が主催する研究会、または技師学会に2回以上出席している
・日本消化器内視鏡技師会支部部長承認の内視鏡機器取扱講習会に1回以上出席している
試験の受験料は1万円となり、合格者は認定料及び技師会年会費として認定料の1万円の納付が必要です
また、資格取得後は5年ごとに更新が必要となります。
消化器内視鏡技師の試験内容
試験内容としては最初に書類審査が行われ、書類審査を通過した人のみが筆記試験を受けることができます。
以前は面接試験もありましたが廃止されています。
筆記試験の出題科目は消化器に関する基礎的医学と消化器内視鏡に関する基礎の2つです。
消化器に関する基礎的医学
・解剖学
・生理学
・生化学
・病理学
・薬理学
・疫学・衛生学
・内科学
・麻酔学
・外国語(医学用語)
消化器内視鏡に関する基礎
・内視鏡学総論
・内視鏡検査と診断
・内視鏡的治療
試験の合格率
消化器内視鏡技師の試験合格率は正式に発表されていないものの、およそ90%と高確率で合格できるものと言われています。
そのため落ちる人はほとんどないとされていますが、落ちたとしても受験資格を満たしていれば何度でも挑戦できます。
自分で目標を立て、過去問を解くなどしっかり勉強をしておけば、取得する難易度は高くないといえるでしょう。
内視鏡看護師の志望動機
内視鏡看護師に転職したいと考えている人たちの志望動機や志望理由の多くは、スキルアップを目指す内容です。
知識を身につけたい
内視鏡看護師は基本的に夜勤がなく日勤帯のみでの仕事となっていますが、勉強しなければいけないことが多く常に新しいスキルや知識を身につける必要があります。
そのため続けていくことが大変だという意見は少なくありません。
しかし、一度身につけた知識は内視鏡だけではなく幅広い分野で活用することができますし、スキルアップを目指したい人にとってはやりがいにも繋がっています。
そのような点から内視鏡看護師の志望動機としてスキルアップを挙げる人は多く、これまでの内視鏡室やオペ室での経験を活かしたいという意見が多いようです。
未経験者の志望理由
履歴書や面接などでも使われている志望理由の例としては、「オペ室や検査室での経験を〇〇年経験してさらにスキルアップを目指すために内視鏡看護師を希望した」というものがあります。
ただこれはあくまで内視鏡看護師を経験した人の志望理由なので、未経験の場合はまた違った志望動機や志望理由が必要です。
未経験者の志望理由として、下記のような例が挙げられます。
「内視鏡看護師に興味があって専門的な知識や経験を身につけたいと思いました」
「日々勉強して新しい知識や経験を得ることにやりがいを感じます」
このように、未経験だからこそチャレンジしてみたいという気持ちをアピールする志望動機や志望理由が多く見受けられます。
また、クリニックなどでは「地域医療に貢献したい」という志望動機も見受けられます。
しかし、地域医療に貢献とはどのようにするのかという質問が来る可能性があります。
そのため、自分が学びたいことや目標などと、現状の問題点などを例に挙げ、改善するためにどのように取り組んでいきたいかを明確に答えられるようにしておきましょう。
内視鏡看護師のおすすめ勉強法
消化器内視鏡技師試験の勉強をするための方法は様々です。
また、合格したからといって、そこが勉強のゴールではありません。
内視鏡看護師は常に勉強が必要と言われていて、経験者はもちろん未経験者はなおさらスキルや知識を身につけていくための勉強を続けていく必要があります。
講習会やセミナーを活用する
そんな内視鏡看護師向けのおすすめの勉強法として紹介されているのが、講習会やセミナーを活用しながら専門的な本を活用する方法です。
内視鏡看護師向けもしくは消化器内視鏡技師を目指す人向けの講習会やセミナーは定期的に開催されており、実用的な知識に関する情報を得ることができる機会となっています。
情報を交換・共有する
このため講習会やセミナーは積極的に参加し、同じく資格取得を目指している人や勉強している人たちと情報交換を行うようにします。
そうすることで自分だけでは分からない部分を教えてもらうことができるだけではなく、効率的な勉強方法や参考になる本の情報を交換・共有することができるのです。
スケジュールを立てて勉強する
また仕事をしながら勉強をしているとストレスが溜まりやすくなるため、ある程度スケジュールを決めて勉強することも大切です。
その中である程度息抜きができる時間帯を作ると集中して勉強することができますし、ストレスを溜めずに続けやすくなります。
試験に落ちたという人は勉強時間が足りないことが原因となっている場合が多いでしょう。
そのため、自分にとって無理のなく効率の良い勉強のタイミングを見つけていく必要があります。
内視鏡看護師はきつい?
内視鏡看護師の仕事内容は、主に内視鏡検査に関する機械の準備や管理、消毒のほか、患者に対しての説明や検査前の準備、実際の検査中の介助などが挙げられています。
内視鏡看護師の役割
内視鏡看護師が直接検査をするというわけではなく、検査が円滑に行えるように環境や患者を準備・誘導することが役割と考えられているのです。
そんな内視鏡看護師の仕事はきつい、大変だと言われています。
その理由として挙げられているのは常に動き回らなければいけないことや、医師や患者とのコミュニケーションが難しいところなどです。
常に検査に追われる
内視鏡室は夜勤がないところも多いので病棟看護師よりも楽だと思われがちですが、勤務中は常に検査に追われることになります。
検査が多い総合病院の場合は休みなく患者の対応や検査の介助をしなければいけないことから、病棟看護師とは別の意味で非常に忙しい環境だと言われています。
コミュニケーションが難しい
検査を行う医師としっかりコミュニケーションを取らなければ円滑に検査をすることができません。
また、円滑に検査ができないと介助するタイミングがわからないため難しくなります。
患者への説明も口頭だけでは説明できない部分が多く、後からクレームが入ってしまうこともあるようです。
医師や患者とうまくコミュニケーションを取ることができるスキルは必須といえるでしょう。
休みの日にも勉強する
前述しましたが、消化器内視鏡技師の資格を取得しても勉強は続きます。
経験者でも未経験者でも、常に勉強が必要であることから休みの日もセミナーや講習会に参加している内視鏡看護師が多いという実情があります。
このように休みの日も休めない状況がストレスに感じ、辞めたいと考えている内視鏡看護師は少なくないと言われています。
内視鏡介助のコツとは
内視鏡看護師の介助の上手い下手は検査をスムーズに進める上で大きな要素となっているため、内視鏡介助のコツを覚えたいと考えている内視鏡看護師は少なくありません。
指示を予想し準備する
まず基本的なコツとしては、検査内容や検査部位ごとにどのような手順で医師が動くのか、患者を動かしていかなければいけないのか理解しておくことです。
そのため検査中の医師や患者の動きをしっかり観察するのはもちろん、内視鏡のスコープの挿入具合に合わせてどのように動くのか覚えていくことが必要になります。
特に医師が内視鏡挿入時に一定の場所を注視していたら、生検の指示があるかもしれないと予想して準備するなど、医師の指示を先取りできるようになることも大切です。
患者に合わせたスコープを選ぶ
大腸の内視鏡検査を介助する際のコツとしては、患者の身長や体重、腹部の手術歴を踏まえて適切なスコープの太さを選ぶことが挙げられます。
スコープの太さが合っていないと患者に痛みを与えてしまうだけではなく、途中でスコープの変更をしてしまうと手順が狂ってしまうため円滑に検査が行えなくなってしまうためです。
そして挿入時の長さに合わせていつ頃圧迫介助が必要なのかという点も先読みできるようになることが、重要なコツとなっています。
勉強し知識をつけておく
前述したように、スムーズに介助するためには内視鏡介助手順を把握していなければなりません。
また、クリップや生検鉗子など様々な道具や機器を使用するため、使い方などの基礎知識はしっかりと勉強しておく必要があります。
自信をもって介助していくためには、勉強し知識をつけておくことが大切といえるでしょう。
内視鏡看護師のメリット・デメリット
内視鏡室で働く内視鏡看護師の業務は、病棟や外来とは違います。
その違いをメリットと感じるか、デメリットと感じるかは人によっても違うでしょう。
スキルアップできる
内視鏡室で働くメリットとして、スキルアップできることが挙げられます。
内視鏡での検査や治療に関わることで、内視鏡に関する看護技術や習得し、自信をつけていくことができます。
また、資格を取得できるため、勉強が好きだったり、専門分野の技術や知識をつけたいという人にはメリットとなります。
経験者を条件とする求人も多くあるため、資格を取得していれば転職や結婚・出産によるブランクがある場合にも歓迎され、復帰しやすくなります。
逆に、勉強が多いことやが負担と感じてしまう人や、幅広く看護技術を身に着けたいという人には向いていないと言えます。
残業は少ない
職場にもよりますが、内視鏡室はで働く看護師は残業が少ない傾向があります。
内視鏡室での検査・治療は基本的に平日の昼間に予約で行われます。
そのため、家事・育児などを重視したい人には働きやすい環境も多くあるでしょう。
しかし、オンコール勤務や交代制勤務もある可能性があるので事前に確認しておく必要があります。
患者と接する時間
内視鏡室では、患者と接する時間が短いという特徴があります。
病棟で働く看護師と違い、患者の経過を観察し、一人ひとりに合わせた看護をじっくりできる機会が少なく、物足りないと感じてしまう人も少なくありません。
また、慣れてくると仕事が同じ作業に感じ、看護師としてやりがいを感じられなくなる場合があります。
このような点から、自分の理想の看護師像と違うなどと思ってしまうと続けていくのが難しくなるかもしれません。
看護師と給料があまり変わらない
内視鏡看護師の給与は一般的なナースとあまり変わりません。
月収・年収を増やしたいのであれば、クリニックではなく総合病院などで基本給が高い施設の求人を探すと良いでしょう。
内視鏡看護師になるだけなら資格は必要ありません。
しかし、職場にもよりますが、資格を取得することで手当が発生する可能性はあります。
また、資格があれば、仕事の面で役に立つのはもちろん、就職・転職の際にも有利となります。
クリニックで働くことにもメリットはありますし、医療機関によって残業やオンコール勤務の有無など様々な違いがあります。
自分にとって優先したいポイントがなにか決め、求人に記載されていることをしっかりと確認しておくことが大切です。