資格取得で給料アップする?
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」及び国税庁「民間給与実態統計調査」によると、女性の労働者の平均年収以下のようになっています。
- 全体平均(25〜60歳):およそ300万円
- 看護師の平均(25歳以降):およそ400〜500万円
女性の労働者の平均年収と比較するとおよそ100〜200万円の違いがありますが、全国大学高専教職員組合「労働状況に関する調査」によると、90%以上の看護師が肉体や精神に疲労を感じているのです。
結婚や子育てのために退職することもあり、給料が上がりにくい傾向にあるようです。
給料を上げるためには
看護師として長く働く間には、転職や退職をすることはありますが、できるだけ収入を高めていくにはどのように準備をすればいいのでしょうか。
さらに今よりも年収アップを希望するなら「専門性を高める」「資格をとる」などのアクションが必要でしょう。
資格を取得する
看護師の仕事は様々な資格種類があり、キャリアプランに応じたキャリアアップ資格を取得していくことが大切です。
適切な年収アップ方法を実践していけば、年収1000万を取得するのも夢ではありません。
しかし、いざキャリアプランを立てようとしても、どのようにキャリアプランを立てていいのかわからない人もいることでしょう。
様々な人のキャリアプランを見て参考にすることで自分のプランも立てやすくなります。
みんなのキャリアアッププランとは?
今よりもさらに仕事を頑張ろうとしている看護師の人なら、スキルアップを考えている人は少なくないでしょう。
それには資格取得をすることでスキルアップにつながります。
みんながとくに目指しているキャリアアップは何か、ここでは人気のキャリアアップを説明します。
スキルアップをするために取りたい資格とはなんでしょう。
認定看護師
特定の看護分野でのスペシャリストである認定看護師は、取得することで働きやすくなったり昇進にもプラスになる資格です。
認定看護師については、あとで詳しく説明していきます。
専門看護師
専門看護師は、やりがいが大きい仕事を担当したり、待遇面もアップするなどメリットがいくつもあります。
専門看護師についても、あとで詳しく説明していきます。
産業看護師
その他に人気があるのは産業看護師です。
産業看護師は、企業などでの看護に携わる仕事です。
面談や相談などに対応したり健診の処理といったデスクワークが中心になります。
直に看病や手当をするといったことはそんなにありません。
国際看護師
特殊な看護師としては国際看護師などがあります。
国際看護師は、外国人患者に対応できる高い看護実践能力と優れた外国語能力を備えた看護師です。
特に外国人労働者や観光客に向けたもので、病院で患者やその家族が安心して医療を受けられるようにするために養成されています。
認定看護師とはどんな仕事?
認定看護師は、看護のエキスパートで日本看護協会の特定認定看護師です。
認定看護師の役割
認定看護師の役割は下記の3つとなります。
- 実践
- 指導
- 相談
この3つの役割を担って看護ケアの質の向上に努めます。
仕事内容は、それぞれの看護分野で異なりますが、主に組織を横断した活動や教育指導する機会が多いでしょう。
病院だけにとどまらず、訪問ステーションや外部の診療所などとも協力し看護分野についてプランニングをするのも認定看護師の務めです。
資格を取得すればとてもやりがいを感じる仕事になり、英語を習得すればさらに仕事の幅を広げることになるでしょう。
受験資格
この資格は、5年以上の看護師の実務経験があれば資格取得を目指すことができます。
実務経験の後には学校に通い必要な授業を受けることが必要なります。
2020年からスタートした新たな「認定看護師」は、認定看護師教育機関で800時間以上受講して審査をクリアしなければいけません。
また、現行では集合研修という形でしたが、一部はeラーニングで受講できるようになっています。
取得するための費用はおよそ100万円以上かかることを考えておきます。
筆記試験である認定審査を受けて合格すれば、認定看護師として登録することができます。
認定看護師の合格率
合格率は90%を越えるので難易度はそれほど高いとはいえません。
しかし5年ごとに書類審査があるため、続けていくには絶えず審査に通るように技術を更新していかなければいけません。
専門看護師とはどんな仕事?
専門看護師は、13領域ある専門看護分野のいずれかで高度な技術や知識を身につけている看護師です。
レベルの高い看護ケアを患者やその家族に対して提供しています。
専門看護師の役割
専門看護師は、下記の6つの役割を果たしています。
- 実践
- 相談
- 調整
- 倫理調整
- 教育
- 研究
専門看護師は、看護の分野において専門の知識や技術を発揮するだけではなく、医師と患者などと、病院や療養機関との調整役を行うこともあります。
他に教育や看護学の研究なども進めるので、看護分野全部におけるエキスパートとも言えます。
専門看護師は主に病院に所属し、約半数が病棟に所属しています。
その仕事内容は、院内外で専門分野について教育するために講師をしたり、院内看護師や医療従事者から相談を受けることもあります。
他にも、より良い看護のために院内外で様々なメンバーと活動をしたり、学会発表に向けた研究などをします。
受験資格
専門看護師の資格を取得するには、看護師免許を取り看護系の大学修士課程の修了が必要です。
大学では授業料などが年間最低でも100万円以上かかるので、2年間でおよそ200万円以上の費用がかかると考えておきましょう。
修了した後には看護師の実務経験が5年以上あれば認定審査を受けることができます。
認定看護師の資格は、現行の教育内容が2026年度で廃止になり新たなシステムになりますが、専門看護師の場合では現行のままで変わる予定はないようです。
専門看護師の合格率
専門看護師の認定試験の合格率は2018年で76.2%で、比較的合格しやすいと言えます。
民間の資格を取得する
給料アップのために、認定看護師や専門看護師を目指すのは良いでしょう。
しかし、認定看護師や専門看護師は難易度が高く、取得するためには時間もかかります。
そのため、認定看護師や専門看護師は最終的な目標として、まずは民間資格を取得して、スキルアップしていくことをお勧めします。
民間の資格を取得するメリット
民間の資格を取得しても、すぐに給料が上がることには期待できません。
しかし、民間の資格を取得することで下記のようなメリットがあります。
キャリアアップに繋がる
認定看護師や専門看護師を最終目標としていても、興味のある分野が変わってくるかもしれません。
他職種の資格を取得していれば、活躍の幅が広がり、転職してキャリアアップを目指すということも可能となるでしょう。
また、医療系の資格を取得していることで、該当する分野においては有利になります。
転職の際に有利になる
資格を取得することで、高い知識と経験があるということを証明できます。
職場によっては特定の資格がなければ応募できないところなどもあります。
しかし、資格を持っていることで、転職の範囲を広げたり、転職時に優遇されることもあるでしょう。
また、結婚や出産によって、仕事から離れていた場合にも評価してもらえる可能性が高まります。
看護師の資格を持っていることで、転職先で資格手当が発生する場合もあります。
自信が持てるようになる
民間の資格を取得することで、その資格を取得する過程で得た知識を、日々の看護に活かせることもあります。
経験や知識を活かし、業務に取り組むことで自信を持つことができるでしょう。
また、資格を取得したという成功経験も自信につながります。
勉強する習慣が身につく
認定看護師や専門看護師にも筆記試験があります。
まずは、勉強する習慣をつけておくと良いでしょう。
民間の資格という比較的近い目標を決めることで、勉強するモチベーションを維持しやすくなります。
民間の資格の種類
民間の資格には、下記のように様々なものがあります。
呼吸器系
- 3学会合同呼吸療法認定士
3学会合同呼吸療法認定士の資格を取得することで、呼吸器療法や、使用する機器の管理ができるようになります。
循環器系
- 循環器専門ナース
- 人工心臓管理技術認定士
循環器専門ナース参加資格には、准看護師と看護師合わせて満5年以上の実務経験が必要になります。
また、人工心臓管理技術認定士には、心臓血管外科専門医認定機構が認定する認定修練施設で、3年以上の経験が必要になります。
このほかにも様々な条件があるため、しっかりと把握しておきましょう。
消化器系
- 消化器内視鏡技師
消化器内視鏡技師の資格を取得すると、下記のことができるようになります。
- 内視鏡及び関連器械の管理や補助・整備
- 医師の介助をする際に専門的な知識や技術を発揮する
▼消化器内視鏡技師についての記事はこちら
泌尿器系
- 排尿機能検査士
排尿機能試験紙の資格には試験はなく、排尿機能検査士としての条件を満たしていて、排尿機能検査士認定委員会の審査を受け、基準を満たしていると判断された場合に認定してもらえます。
不妊治療系
- 不妊カウンセラー
- 体外受精コーディネーター
不妊カウンセラー・体外受精コーディネーターは、日本不妊カウンセリング学会の認定資格です。
学会・講習会の参加 不妊カウンセラー・体外受精コーディネーター養成講座を3回受講することが条件で、臨床経験は必要ありません。
不妊カウンセラーと体外受精コーディネーターの両方の資格を取得したい場合、一つ目の認定を受けてから2年以上経過していないと、二つ目を取得することができません。
▼不妊カウンセラーについての記事はこちら
介護系
- 認知症ケア専門士
- 高齢者ケアストレスカウンセラー
- ケアマネジャー
認知症ケア専門士の資格を取得するには、3年以上の認知症ケアの実務経験が必要になります。
高齢者ケアストレスカウンセラーの資格を取得するには、18歳以上で「ケアストレスカウンセラー」の資格を持っていることが条件になりますが、ケアストレスカウンセラーとの併願受験が可能です。
認知症ケア専門士や高齢者ケアストレスカウンセラーの資格は、病院や介護施設などで働いている看護師にとっては役に立つ資格でしょう。
ケアマネジャーになるには、「指定された業務を5年以上の期間900日以上行った人のみ受験可能」などの条件もあるため確認しておきましょう。
▼ケアマネジャーについての記事はこちら
医療系以外の資格
- 英会話
- 手話
英会話や手話は、医療系の資格ではありません。
しかし、取得しておくことで外国人患者の対応や、耳に障害がある患者とスムーズなコミュニケーションを取ることができるようになります。
また、転職をする際にも有利になることがあるためおすすめの資格です。
看護師キャリアアップ研修とは?
看護師のキャリアアップ研修とは、看護師が質の高い看護を提供するために教育や支援を受けることです。
院内だけでなく、院外の看護職員も一緒に研修を行うこともあります。
キャリアアップ研修を行うことで、良質な看護がどこでも受けられるようになり、地域に住む患者が安心して暮らせるような街づくりも目指せます。
キャリアアップ研修は大学をはじめ様々な場所でセミナーを実施していることもあり、その様子を通信で見ることもできます。看護師の人にも資格取得するために参考になる内容となっています。
基本コース
看護師キャリアアップ研修は、クリニカルラダーと言われる看護実践能力を高めるために支援するシステムを活用してキャリアに合った研修を行う施設もあります。
看護師の経験年数に応じたクリニカルラダーをベースとして、様々な研修を行う病院では、看護実践で必要になる基本的な知識や技術を習得する基本コースを最初に受け、その後に応用を学びます。
基本を修了したら知識や技術を広範囲に勉強できるコースへ進みます。
応用コース
そこではリーダーシップ研修や看護実践などを学びます。
その他には、個人の専門性を伸ばすために、看護管理者研修や認定看護師教育などが受けられるシステムを実施している機関もあります。
ここでは資格を取得する支援もしています。
キャリア開発
キャリア開発とは、個人が能力を伸ばしていくための中長期的なプランを明確にし、実現させることです。
キャリア開発は、看護師でなくとも働く人が自分のキャリアを築くために必要なことです。
また、キャリア開発のためのキャリアデザイン論文を募集しているところもあります。