クリニックで働く看護師はつらい?
クリニックは医療機関の1つです。
病院と同じように考えられることもありますが、その特徴は少し異なります。
クリニックの特徴
クリニックは比較的軽い症状のケガや病気を診療します。
対して、病院は軽微なものから重度のものまで、さらに幅広い症状の患者に対応します。
こう見ると、病院に比べてクリニックは楽なのではないかと思うかもしれません。
しかし、クリニックにはクリニックの大変さがあります。
待遇に不満を感じる
例えば、クリニックは個人経営の場合が多く、病院などと比べて待遇面に関し不満を感じる看護師も少なくありません。
休暇が取りづらい、残業代が出ないなど、仕事のモチベーションが下がってしまうような職場環境に、辞めたいと考える人もいます。
人間関係で悩む
人間関係に悩み辞める人もいます。
クリニックは病院と異なり、スタッフの採用や退職は頻繁ではありません。
また、部署異動などもありません。
つまり、一旦人間関係がこじれると、逃げ場がなくなってしまいやすいということです。
院長とそりが合わない
人間関係での悩みは看護師同士だけでなく、院長が絡む場合もあります。
個人経営クリニックの業務は、院長の裁量によるところが多い点も特徴です。
そのため、院長とそりが合わずに悩まされることもあり得ます。
ただし、全てのクリニックがこのような問題を抱えているわけではなく、非常に良好な環境で働いている看護師も多くいます。
新卒でもクリニックで働くことはできる?
クリニックはある程度経験を積んだ看護師が採用されやすい傾向にあります。
新卒でクリニックに勤めるのは難しい
未経験の新人看護師や第二新卒の看護師が絶対に採用されないわけではありませんが、難しいことは事実です。
クリニックに絞って求人を探していると、なかなか就職決まらない状態になる可能性があります。
採用された場合に留意しておくべき点
採用された場合も、クリニック勤務では留意しておくべきことがあります。
それは、教育制度があまり整備されていない場合があるということです。
前述したとおり、クリニックは既に看護師としてそれなりに知識や技術、経験を積んできた人が多い職場です。
そのため、未経験の新人を教育することなどはあまり意識していないのです。
自ら学ぶ姿勢が必要になる
経験豊富な看護師であれば、職場を移っても、周りに始めから教えてもらうことなく、すぐに戦力として働けるでしょう。
そのような人ばかりなので新人教育に馴染みがないと言えます。
しかし、まだまだ指導が必要な経験の少ない看護師にとっては、いささか心もとない職場だと感じられるでしょう。
新卒で採用された場合は、わからないことがあれば積極的に先輩に教えてもらうようにしましょう。
また、自主的に勉強をするなど、教育制度の有無にかかわらず、さまざまなことを吸収しながら自ら学ぶ姿勢が必要です。
クリニックの看護師の人数は少ない?
クリニックの看護師は病院などと比較するとかなり少人数です。
平均するとおおよそ2~3人ほどです。
クリニック内のスタッフの割合
クリニック内のスタッフの割合としては、受付などを行う事務スタッフが1、2名いるかいないかというほどで、そのほかはほとんどが看護師という体制が多いでしょう。
シフトによっては看護師1人体制の時間帯が発生することも珍しくありません。
クリニックの看護師の業務内容
看護師の主な業務内容としては、器具の準備や片付け、診察の補助・検査といった医師のサポートなどです。
なお、受付を専門に担当するスタッフがおらず、看護師が受付や会計業務を兼務する場合もあります。
また、クリニック内の整理・清掃など環境整備も行います。
クリニックはこのように、1人の看護師が担当する業務の種類と量が多いことも大きな特徴です。
クリニックの看護師のメリット
病院であれば看護師の人数が多いので、それぞれの業務に人を振り分けることが可能です。
また、受付や環境整備などの事務・管理的な業務は別なスタッフに任せることができます。
クリニックはスタッフの人数が少ないため、1人でいろいろなことができなければなりません。
ただし、忙しさはありますが、医療機関の基本的な流れや全体の動きを勉強できる点はメリットとも言えるでしょう。
クリニックで働くデメリットとは
クリニックは個人経営である場合が多いので、病院と比較するとデメリットと言える不満や悩みがあります。
デメリット1 休みが取り辛い
クリニックで働くデメリットの1つは、人数が少ないゆえ、休みが取り辛いということです。
スタッフが限られているため、1人休むだけでそのほかの人の業務量が増え、負担が大きくなりやすいのです。
そのような状況ではなかなか休みが欲しいと申し出辛いでしょう。
1日丸々の休みはもちろん、中抜けすら難しい場合もあります。
デメリット2 院長に振り回される
院長のワンマン的な行動に振り回される可能性があることもデメリットと言えます。
院長は直属の上司であり、雇用主でもあります。
「もし院長の不評を買えば辞めさせられてしまうのでは?」
そんな不安から、つらい状況にも関わらずじっと我慢をしてしまうこともあり得ます。
デメリット3 医療的スキルが身に付き辛い
軽症の患者の来院がほとんどなので、高度な医療的スキルが身に付き辛いことも人によってはデメリットになるでしょう。
看護師としての腕をドンドン上げていきたい人にとっては、歯がゆい部分もあるかもしれません。
このようなデメリットにより働きにくいと考え、「つらい」「辞めたい」と思い詰める看護師もいます。
クリニックで働き続けるためには
クリニックで働き続けるためには、求人の段階でできる限り働きやすそうな優良クリニックを見極めることが大切です。
採用後はスタッフ同士の連携を深め、お互いにある程度休みを取り合える体制をつくっていく必要があります。
また、困ったことがあったら先輩スタッフなど誰かに相談して1人で背負い込まないことなども意識しましょう。
クリニックの給料とは
クリニック勤務の看護師の平均的な年収は大体400万円ほどです。
病院勤務の看護師の年収相場がおおよそ470万円ほどなので、70万円程度の差があることになります。
月の給与は30万円ほどで、手取りは20万円くらい。
ボーナスはある場合が多いでしょう。
なお、クリニックの看護師としての最高年収は大体600~700万円ほどです。
夜勤手当が発生しない
クリニックの看護師の給与が病院勤務の看護師に比べて低めである大きな理由は、夜勤がない点にあります。
クリニックには基本的に入院設備はありません。
日中の診療のみなので、夜勤が発生しないのです。
入院設備のある病院の場合は、夜勤の回数も多くなるため、必然的に夜勤手当が多くつくことになります。
残業・休日出勤が少ない
クリニックの場合は難しい症例などが少なく、残業もそこまで頻繁ではありません。
休日出勤もほとんどなしです。
つまり、勤務の時間がシンプルであるため、その分給与にも手当などがプラスされにくいということなのです。
ライフスタイルに合わせた働き方ができる
給与は低いものの、勤務時間が規則的であることや、夜勤がないことなどはクリニックのメリットでもあります。
この点を活かし、パートタイムで勤務するなど、より自分のライフスタイルに合わせた多様な働き方をすることも可能でしょう。