感染性廃棄物バイオハザードマークの使用方法とは?
感染性廃棄物とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第2条で明示されている特別産業廃棄物のことを指します。
通常の医療廃棄物とは違い、その廃棄物の扱い方によっては、人が感染しうる病原体が含まれているというのが特徴です。
これら感染性廃棄物に関しては、厚生労働省や環境省がそれぞれガイドラインを策定し、識別方法などを医療従事者に紹介しています。
バイオハザードマークとは
廃棄物処理法の特別産業廃棄物の処分では、通常の廃棄物としっかりと区別して処分することが求められています。
その一環となるのが容器へのバイオハザードマークの表記です。
日本産業廃棄物処理振興センター
公益財団法人である日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)がそれぞれの種類に応じた色のバイオハザードマークを認定しています。
こうして認定されたバイオハザードマークを、医療機関側と処理業者が協議をして容器に表示させます。
バイオハザードマークを表示させることによって、感染の危険性もある廃棄物であることを医療従事者、処理業者にしっかりと認識させられ、一般人でも危険性を理解しやすくなります。
また、それぞれの色の意味と使用方法には、どういった種類の特別産業廃棄物が保管されているのかを伝えるという重要な意味が存在しています。
バイオハザードマーク 色の違いと分別方法
感染性廃棄物容器評価制度によって、バイオハザードマークの表示が決定したら、その容器に合ったカラーのバイオハザードマークを選びます。
液状・泥上の場合は赤色
液状や泥状になっている感染性廃棄物を保管する容器ならば、そのカラーはもっとも危険であることを示す赤になります。
固形状の場合は橙色
固形状ならば、橙色など内容物に応じて色別することで、それぞれの容器の違いを見た目から、従事者に伝えることができるというわけです。
鋭利物の場合は黄色
赤や橙色の場合では、鋭利物の保管ができません。
鋭利物を保管するのであれば、黄色であると定められています。
また、黄色では、その他の判別が難しい感染性廃棄物もその対象になります。
それぞれのカラーのバイオハザードマークの表示は義務ですが、そのバイオハザードマークが何を意味するか記載する必要はありません。
しかしながら、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターでは更に細かく記載することも推奨しています。
この場合は、同センターの認定を受けていることをまず明示して、そこから条件として、対応保管物の種類や使用上の注意点などを記載するのが一般的です。
また、病院における感染性廃棄物の保管場所や対応部署についても記載しておくと、作業がスムーズになります。
感染性産業廃棄物と感染性一般廃棄物の違いとは?
昭和45年制定の廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、それぞれの感染性廃棄物の違いと扱い方も細かくまとめられています。
感染性一般廃棄物とは
まず、感染性一般廃棄物ですが、これは名前の通りに一般廃棄物における感染性廃棄物になります。
一般廃棄物とは、産業廃棄物以外のすべてが基本的には対象になっており、その対象はクズゴミから動物の死体まで多岐に渡っています。
医療現場では、血液が付着していない包帯やガーゼ、あるいは医薬品が入っていた箱などがこれに該当しており、非感染性事業系一般廃棄物に分類されるのが実情です。
また、爆発の危険性がある一般廃棄物は特別管理一般廃棄物と呼びます。
感染性産業廃棄物とは
感染性産業廃棄物では、そのままゴミとして出すのではなく、専門の処理業者などを挟まなければいけない産業廃棄物がその対象です。
感染性廃棄物の判断基準として、それぞれの医療機関、看護師団体、環境省や厚生労働省がガイドラインを策定しています。
基本的には病原菌となり得る血が付着しているか否かが判断基準になります。
そうした危険性はないものの、産業廃棄物として処分しなければならない場合は、非感染性産業廃棄物として処理業者と協議をした上で、内容物を処分することになります。
医療廃棄物の針捨てボックスとは?
医療廃棄物である感染性廃棄物の中でも特に危険なのが、ウイルスを媒介する可能性がある注射針です。
そうした注射針を安全に処分するために、医療業界向けの業務用資材販売店や大手通販サイトのアマゾンなどで購入できるのが針捨てボックスです。
安全に注射針を処分することができる
耐貫通性があるので、注射針が突き出てしまって危ないといったことが起こらず、仮ロックや完全ロックもできるので、危険性を大きく排除しています。
また、ルアースリップ、ルアーロック、ペン型などさまざまなタイプの注射針に対応しており、多くの医療現場で活躍できます。
針捨てボックスにもバイオハザードマークがある
針捨てボックスにも、感染性廃棄物の保管をおこなう容器としてバイオハザードマークの表示があります。
鋭利物なので感染性廃棄物黄色になっており、関係者にしっかりと情報を伝えています。
このように、デスクに置いていてもおかしくない針捨てボックスにまで、バイオハザードマークの表示は徹底しており、その危険性を多くの人に伝えるのに貢献しています。
針捨てボックスは黄色
また、針捨てボックスそのものも、色としては黄色のモノがもっとも多く、バイオハザードマークのカラーとリンクしています。
医療従事者ならば、保管容器の黄色は鋭利物であると分かるので、容器そのものが黄色というのはとても理にかなった方法です。
針捨てボックスの注意点
針捨てボックスを使用することで安全に注射針を処分することができるとはいえ、針捨てボックスの置き場所や容器の交換時など、注意しなければならないことがあります。
針捨てボックスは倒れにくく、中身が出ない構造になっているものが多いですが、万が一のために安定した場所に置く必要があります。
また、交換時の注意点として、注射針を入れすぎると溢れてしまう恐れがあるので、容器の中身が8割ほど溜まったら交換しましょう。
感染性廃棄物取り扱いでよくある質問
次では感染性廃棄物についてよくある質問を紹介します。
正しいルールを理解していないと、意図しない重大事故を引き起こす可能性があるため、しっかりと勉強しましょう。
廃棄物の分類区分について
感染性廃棄物において、よくある質問になりやすいのがその正式な区分です。
これは感染性産業廃棄物なのか、感染性一般廃棄物なのか一体どちらの方法で保管、処分をすればいいのだろうかという問題です。
こうした区分をおこなう際には、まず産業廃棄物であるかを病院側などに確認することがおすすめです。
産業廃棄物ならば、病院側が処理業者に委託しているので、取り扱い方法を知っていますし、仮に違うのであれば一般廃棄物に分類することができます。
血液の付着したガーゼなど明らかに危険であると、医療従事者なら誰でも判断できるクラスのモノはもれなく感染性産業廃棄物になります。
容器の用途・容量について
専用の容器の用途・容量はどうなっているのかというのもよくある質問です。
例えば、前述した針捨てボックスの場合は、その容量が1Lから5Lまで複数のタイプによって販売されています。
個人個人で所持しておくのならば小型のモノを、医療チームやナースステーション単位で管理しておくのであれば大型のモノがセレクトされます。
結局どれを選ぶのかは人それぞれであり、これに関して厳しい規定などは用意されていません。
また、容器の用途は、説明書も付属していますし、同僚や先輩の看護師に質問するのも手です。