看護師への苦情で多い内容とは?
患者から見て、看護師は医療従事者の中でもっとも接する機会が多い人です。
そのため、不安や悩みを抱えている患者にとって、看護師は真っ先に頼りたい存在と言えるでしょう。
しかし、患者への対応がひどい看護師も稀に存在するのは否定できない事実です。
看護師の態度があまりにもひどいため、患者が病院に苦情を言うこともあります。
入院中のクレーム
看護師への苦情で多いのが入院中における態度の悪さです。
入院している患者は程度の違いはあるものの、病気や怪我で苦しんでいるのは紛れもない事実です。
そのような患者に対して侮蔑するような物言いだったり、高圧的な態度を取る看護師が稀に存在します。
中には患者に暴力を振るう悪質なケースもあります。
病気やケガに対する物言い
看護師の態度の悪さにムカつくのは患者の捉え方次第という見方もあります。
しかし、病気や怪我を馬鹿にしたり仮病を疑うような物言いをする看護師はクレームの対象になりやすいと言えるでしょう。
私物の扱い方
また、患者の私物を雑に扱う、個人情報を周囲に漏らすなど患者への配慮に欠けた言動を取る看護師も嫌われる可能性が高くなります。
患者を劣った存在と見下す、患者への対応がいい加減など仕事の質が低い看護師は苦情が多くなりやすいと言っても過言ではありません。
患者家族からのクレームとは?
患者本人ではなく、患者家族からのクレームも病院関係者を悩ませる問題の一つです。
患者を移動させる際の扱いが乱暴だったり、患者の私物を紛失したなど入院中の患者への接し方に関するクレームが多数を占めますが、中には理不尽なクレームも存在します。
モンスター患者家族の存在
看護師の立ち振る舞いにいちいち注文をつけるめんどくさい患者もうざい存在と言えますが、患者だけならある程度は無視することも可能です。
しかし、患者家族も一緒になってクレームを入れるようになると事態は深刻になってしまいます。
そのようなモンスター患者家族に絡まれるのはうざいと感じても仕方がないと言えるでしょう。
モンスター患者家族の事例として下記が挙げられます。
- 看護師の職務の範疇を超えた過剰なサービスを要求する
- 使用する薬物を多く寄越すように求める
- 体の具合が悪いことを理由にマンツーマンレベルの看護を要求する
- 看護師の私生活にまで干渉しようとする
このようにモンスター患者家族は非常に迷惑な存在です。
クレームで辞めたくなる
あまりにも理不尽なクレームのせいで仕事を辞めたいと悩む看護師も少なくありません。
すべてのクレームが理不尽なものとは限りませんが、明らかに言いがかりと同様なうざいクレームがあるのも事実です。
看護師一人に対応を押し付けるのではなく、病院全体がクレームの問題に向き合うことが重要と言えるでしょう。
理不尽な患者からのクレームとは?
医療の世界にはモンスターペイシェントという言葉があります。
モンスターペイシェントとは
医師や看護師などの医療従事者に迷惑をかける困った患者を意味する言葉です。
困った患者の定義は人によって異なりますが、怒鳴る患者や他の人への診察を邪魔する患者など、医療業務に支障をきたす言動を取る点は共通しています。
モンスターペイシェントには下記のような行動が挙げられます。
- 診察内容に対して素人判断をする
- 些細なミスに過剰なクレームをつける
- 待ち時間の長さに対して文句を言う
素人判断
患者クレーム事例で多いのが素人判断による思い込みです。
聞きかじりの情報を根拠に、医師や看護師の対応を非難する患者は少なくありません。
中には迷信や噂を根拠に医療行為を否定し、診療費を踏み倒そうとする悪質なケースもあります。
また、お客様意識が強く、他の人に怒鳴る患者もモンスターペイシェントの典型的な例と言えるでしょう。
過剰なクレーム
人命を預かる医療従事者とはいえ、ささいなミスや失敗をしてしまうことがあります。
そのような看護師のミスに対して、過剰なクレームをする患者もモンスターペイシェントと言えます。
モンスターペイシェントの実例
モンスターペイシェントの実例として2014年に起きた東海大病院放火事件があります。
同病院の入院患者だった犯人は医師や看護師の態度が悪い、シャワーの順番が遅いなどのクレームを繰り返し、自作の意見書を周囲に見せびらかすこともありました。
クレームを聞き入れないことに腹を立て、遂には放火事件を引き起こしたのです。
モンスターペイシェントはそのすべてが最初から理不尽で暴力的な態度とは限りません。
何度か接するうちに要求がエスカレートし、遂には困った患者に変貌するケースが多いと言えます。
看護師への暴力とは?
看護師が患者から暴力を振るわれるトラブルは少なくありません。
中でも認知症患者からのハラスメントや精神科の患者による暴力事件は看護師が被害者になるケースが多数を占めているため、病院にとっては大きな問題です。
認知症患者のハラスメント
認知症患者の場合、感情を理性で抑制することが困難なことから些細なきっかけでハラスメントを起こす傾向にあります。
力任せに叩いたり、物を投げつけるなど危険な行為に至るおそれもありますが、認知症を患っていることを理由に患者本人が咎められるのは稀です。
精神科患者のハラスメント
精神科の患者が起こすハラスメントも同様の理由で被害を受けた看護師が我慢を強いられることが多く、問題の解決は難しいのが実状と言えます。
2003年には東京にある大井小川クリニックで、看護師が患者に包丁で切りつけられる事件が起きました。
看護師は医療従事者の中で患者に接する機会がもっとも多く、それだけ患者からのハラスメントの被害に遭いやすいとも言えます。
暴力行為や悪口など、患者からのハラスメントは労災として認定されることもあるので、被害に遭った看護師は泣き寝入りせず速やかに厚生労働省の労災認定に関する窓口へ相談するのが最適な対処法です。
ハラスメントの被害に遭った証拠が必要になるので、音声を記録するなどの工夫が求められます。
クレームで落ち込むときは?
自分は真摯な姿勢で働いているつもりでも、患者からの理不尽なクレームを受ける可能性は否定できません。
自分の存在そのものを否定されたように思えてしまい、ショックで看護師の仕事を辞めたいと考えてしまうこともあります。
明らかに自分の側に非があるならともかく、言いがかりのようなクレームについては気にしないことが重要と言えるでしょう。
強いメンタルを持つ
クレームを受けること自体にショックを受けるのは仕方がありませんが、いつまでも落ち込む必要はありません。
クレームを受けた事実は事実として受け止めつつ、気持ちを切り替え仕事に取り組む強いメンタルを持つことが重要になります。
看護師の仕事は多くの患者を相手にするものなので、場合によってはいくつものクレームを受けることがあります。
クレームのすべてに気を取られていると仕事にならないので、何を言われても気にしない程度にはメンタルを強くするのが看護師として長く働くための秘訣と言えるでしょう。
もちろん、クレームのすべてを無視するのも良くありませんが、身に覚えのない事柄や単なる言いがかりと同様なクレームについてはただの雑音と軽く聞き流すのが正しい対処法です。
理不尽なクレームは看護師を辞める理由にはならないと認識することも重要な心得になります。