訪問介護は1日何件くらい訪問する?
訪問介護の仕事は、デイサービスや有料老人施設などの介護施設で行われるのではなく、サービス利用者の自宅で行われるものです。
1日中一人の利用者に付くわけではない
サービス利用者ではなく、介護スタッフが移動することでサービスを提供するという仕事形態をとっていますが、1日中一人のサービス利用者に付きっ切りというわけではありません。
複数のサービス利用者の自宅へと訪問してサービスをすることになります。
訪問介護のスタッフが1日で訪問すべきサービス利用者の件数は、特別規定があるわけではありません。
件数を変動することによって働き方を調整することができる点が訪問介護の利点ですが、訪問するおおよその平均件数というものは存在しています。
午前中の流れ
訪問介護スタッフの1日の流れをみていきましょう。
訪問介護スタッフは、朝一番で患者の自宅へ行くわけではありません。
▼9時~9時半頃:訪問介護ステーションでミーティング
出勤時間に訪問介護ステーションへと集まり、ほかの訪問介護スタッフたちとミーティングを行います。
1日のスケジュールの確認とともに、前日までの申し送りを行うことになるでしょう。
▼9時半~12時頃:訪問
9時半ごろにはそれぞれのサービス利用者のもとへ訪問します。
午前中の訪問件数は、およそ1、2件程度が一般的です。
サービス利用者のもとへの移動方法は、車や自転車を利用する人がほとんどでしょう。
午後の流れ
▼12時~13時頃:事務作業・休憩
午前中の訪問を終えると一旦ステーションに戻ります。
記録の作成と情報交換、そして医療関係者へと連絡を行った後、昼休憩を取ります。
▼13時~16時半:訪問
13時ごろから午後の訪問介護をはじめることになり、16時半ごろまでに2、3件程度の患者のもとへ伺います。
▼16時半~18時頃:事務作業・ミーティング
ステーションへと戻った後は、記録業務や情報伝達、ミーティングを行い、17時から18時頃に終業です。
この1日の流れから、1日で行う訪問は、およそ4、5件程度といえるでしょう。
1件当たりの訪問時間は、人によって異なりますが、およそ60分ほどです。
▼訪問介護の仕事内容についての記事はこちら
訪問介護は稼げない?
訪問介護で働く介護スタッフのことを、特に登録ヘルパーと呼ぶことが多いです。
施設によって雇用形態で呼び方を変えることもあるので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
登録ヘルパーの仕事は、決して稼げない仕事ではありません。
経験や働き方によっては、介護施設に勤務している介護スタッフよりも稼げることも多いです。
登録ヘルパーの平均年収
訪問介護の正社員スタッフの平均の給料は、月収がおよそ18万円から24万円程度とされています。
正社員の場合は、年金や健康保険などの社会保険料が天引きされることになるので、ひと月の手取り額はおよそ16万円から18万円程度となるでしょう。
これらのことから、登録ヘルパーの年収は252万円から336万円ということが可能です。
平均年収でいえば、およそ342万円となります。
登録ヘルパーの実働時間
また、登録ヘルパーは常に仕事をしているわけではありません。
サービス利用者の自宅から自宅へと移動する時間もあり、仕事がない時間帯もあります。
これを含めると実働時間はおよそ6時間程度となるでしょう。
登録ヘルパーが稼げる理由
介護スタッフ全体の平均年収は約312万円なので、介護スタッフ全体からみると、訪問介護の仕事は約342万と30万円ほど高く、稼げる仕事のひとつと数えてもよいでしょう。
これは、訪問介護の仕事が基本的に一人で行うことが関係しています。
施設で働く場合、ほかの介護スタッフと連携して仕事をすることができます。
しかし、登録ヘルパーの場合、すべて一人で行わなければなりません。
そのため、高度な技術が必要となり、結果として高い給料へとつながります。
訪問介護パートの給料
訪問介護ステーションで働く登録ヘルパーのすべてが正社員というわけではありません。
パートやアルバイトとして働く登録ヘルパーや派遣社員として働く登録ヘルパーも数多くいます。
一般的には、正社員よりも、パートやアルバイトの給料の方が手取りが低くなることが通常です。
パートの平均時給
訪問介護パートは時給で働くことになり、平均時給はおよそ1,349円となっています。
すべての訪問介護パートの平均時給がこの価格というわけではなく、地域差もあります。
東京都をはじめとする首都圏での平均時給は高くなり、全体としては1,000円から1,500円程度の間となるでしょう。
歩合制のステーションも多い
訪問介護ステーションによってパートの給料の支払い方が異なることもあります。
時給とともに訪問件数によって給料を加算する歩合給の制度を設けているステーションも多いです。
訪問介護では、施設勤務とは異なり、長い移動時間や予約キャンセルなどといったものもあります。
これらを含めて働きに見合った給料を支払うために、歩合給の制度が取り入れられているようです。
そのため、パートの場合、どれだけの給料がもらえるのかの給料計算をしなければ、正確な手取り額を把握することが難しくなることもあるでしょう。
仕事内容で時給は変わる
訪問介護と一口に言っても仕事内容は多岐にわたります。
訪問介護で行われるサービスは、大きく生活援助と身体介助に分けることが可能です。
▼生活援助…
掃除や洗濯、買い物、食事の準備の代行をすることです。
こちらの時給は1,200円から1,400円程度です。
▼身体介助…
サービス利用者の身体に直接触れて、入浴や着替えの補助を行うことです。
身体介助の時給は1,300円から2,000円程度と高めに設定されています。
実務者研修で給料は上がる?
訪問介護の仕事で給料アップを目指す方法はいくつかありますが、最もメジャーな方法が資格を取るというものです。
資格手当で給料は上がる
訪問介護の仕事をはじめとして、介護や医療にかかわる仕事には、資格手当があることが多いです。
▼資格手当…
医療や介護にかかわる資格を取得し、より高度な技術と知識を持ち、提供できるサービスの幅が広がっているスタッフに対して支払われるものです。
訪問介護の仕事は、生活援助を行うだけならば無資格でもできます。
しかし、無資格の場合の給料は介護スタッフの中でも最も低い部類になるでしょう。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修とは、介護の基本となる知識や技術を取得できる研修です。
介護職の中では最も取得しやすく基礎も学ぶことができるため、1番最初に取るべき資格と言えます。
介護職員初任者研修は、130時間のカリキュラムを修了し、修了試験に合格することが取得条件となります。
スクールに通う必要がありますが、1か月ほど集中して取得することや、週1で通うなど働きながら無理なく取得を目指すことができ、自分のライフスタイルに合わせて取得することができます。
▼介護職員初任者研修についての記事はこちら
介護職員初任者研修の資格手当
無資格の状況から介護職員初任者研修を受けて資格を有するだけで、給料は大幅にアップします。
給料がどれだけアップするのかは施設によって異なりますが、5,000円程度月収が変わることもあります。
介護職員初任者研修の資格を取得したならば、次は実務者研修の取得を目指すとよいでしょう。
実務者研修の資格手当
実務者研修とは、かつてのヘルパー1級と介護職員基礎研修を一本化した資格です。
基本的な介護の技術を有しているとともに、医療的なケアの知識と技術を習得する資格といえます。
この実務者研修の資格手当は、月1万円から1万5,000円程度と大きいです。
介護現場においては大きな評価のポイントといえるでしょう。
施設によっては、経験や年齢も加味して2~3万円の資格手当を当てているケースもあります。
支援制度がある施設がよい
介護スタッフとして長く働き続けたい場合には、これらの資格を取得するための支援制度のある施設へと就職するとよいでしょう。
将来的に給料アップと役職アップにつながります。
訪問介護の経営者の年収
訪問介護の仕事は、高齢者がますます増えると考えられている現代においては需要が高まっています。
そのため、訪問介護の経営者は今後増えると考えられます。
そのような訪問介護の経営者は儲かることができるのか?と気になる方も多いでしょう。
経営者の平均年収
訪問介護の経営者の年収は、400万円から1,300万円といわれています。
平均年収でいえば、およそ720万円といわれています。
ビジネスとして注目を集めていることは確かですが、訪問介護の経営は決して簡単なものではなく、年収400万円を切る経営者も珍しくありません。
施設の規模による
おおよその利益率は、4%程度であり、どの程度儲かるかは施設規模によって大きく変わるようです。
基本的には、規模が大きく回転率の高い施設を運営することができれば、儲かるチャンスがあります。
儲かる施設にするには、経営スタイルの工夫が重要となるでしょう。
開業するための条件
訪問介護の経営をするためには、訪問介護施設を新たに開業するか、既存の訪問介護施設から独立するかしなければなりません。
開業資金は、人件費や求人、運営費などを含めて500万から1,500万円ほど必要となります。
なお、訪問介護施設は、一人で開業することはできません。
三人以上の有資格者がそろっていなければ、開業の許可が下りないので、開業の条件についても詳しく調べておくことが重要といえるでしょう。