潜在看護師とは?
看護師の仕事は、医療現場をはじめとして、様々な場所で必要とされている仕事です。
看護師になるためには、国家試験に合格して看護師の資格を取得しなければなりません。
数多くの人々が看護師資格を取得していますが、取得したすべての人が実際に看護師として働いているわけではないことが現状です。
潜在看護師は多い
65歳以下で看護師の資格を持っているにもかかわらず、現職の看護師として臨床の現場で活躍していない看護師のことを潜在看護師といいます。
この潜在看護師の数は非常に多く、2020年の段階で70万人を超えているとされているほどです。
この数は、看護師資格を保有しているものうちおよそ3分の1の人が看護師として活動しているのではなく、資格を保有しているだけという状況を表しています。
潜在看護師が多い理由とは
潜在看護師が多い理由のひとつとして、看護師が女性が多い職種であることが関係しています。
女性は、ライフイベントとして就職のほかに、結婚や妊娠、そして子育てというものが大きな割合を占めています。
これらのライフイベントをこなすため、女性看護師は看護師をやめて、潜在看護師となってしまいます。
潜在看護師が数多くいる理由は、個人だけが原因ではありません。
これだけの数、割合の潜在看護師がいるということは、ひとつの社会問題ということが言えるでしょう。
潜在看護師は辞めた後何してるの?
潜在看護師が辞めた後に何をしているのかは、看護師を辞めた理由に大きく関係しています。
看護師の多くは女性であり、結婚や出産、そして妊娠を理由にして看護師を辞める人は多いです。
家事や子育てに専念している
現代の社会構造、職業構造では男性をメインとして考えられています。
女性の看護師が、結婚したり、出産したりした場合、その後の2人の生活を支えるために生活様式を変えるのは女性が当たり前という社会構造が出来上がっているのが現状です。
このことから、結婚を機に、妊娠と出産を機に、看護師を辞めて潜在看護師となる人は多いです。
つまり、看護師を辞めた後は、夫の社会生活を支えるために家事をこなすほか、子育てに専念して主婦となっていることが多いでしょう。
看護師が辛く辞めてしまう
看護師を辞めた理由のひとつとして、看護師という仕事がつらいというものもあります。
看護師の仕事は、職場によって大きく異なりますが、精神的にも肉体的にも決して楽なものではありません。
激務といっても間違いではない仕事を、毎日繰り返すことがつらいと考え、個人の幸せのために看護師をやめた方がいいと考える人も少なくないです。
このような人は、看護師の仕事をやめた後、別の仕事に転職していることが多いです。
看護師資格を活かすことができる仕事に就く人もいますが、まったく別の仕事に就くことも多く、潜在看護師となっていきます。
潜在看護師が復職しない&できない理由とは?
潜在看護師のすべてが復職したくないと考えているわけではありません。
妊娠や出産を機に潜在看護師となった人々は、子育てがひと段落ついた段階で復帰したいと考える人は多くいます。
復帰したい潜在看護師は多い
労働局や厚生労働省などでは、潜在看護師にアンケートをとって、どれだけの潜在看護師が復職したいのかの統計を取っています。
その結果によると、潜在看護師の8割以上が復帰を希望しているようです。
医療現場でも、コロナの影響もあって、余計に看護師の人数不足が叫ばれているので看護師を募集していないわけではありません。
しかし、実際に看護師に復帰するとなると、様々な理由となって復職しない、あるいはできないという状況が続いています。
夜勤ができない
潜在看護師が復帰しない、できない理由のひとつが、夜勤をすることができないというものです。
子育てにひと段落ついたといっても、夜中に子どもを一人にはできないということもあれば、夜勤までこなす体力がないといったものもあります。
職場の受け入れ環境
また、職場の受け入れ環境が不安だという理由も大きいでしょう。
新しく入ってくるブランクのある看護師を職場が快く受け入れてくれる体制が整っているとは限りません。
せっかく復職しても職場になじむことができないとなると、復職に戸惑ってしまうのでしょう。
ブランクがあるという不安
このほか、現在の医療技術についていけないというものも理由としてあります。
医療技術の進歩は日進月歩で、ブランク期間に新たな技術や知識が生み出されている可能性は高いです。
また、ブランクで技術や知識が衰えてしまったという不安もあり、うまく仕事をこなすことができるか心配だから復帰できないという潜在看護師は多くいます。
潜在看護師復職のポイントとは?
潜在看護師が復職するためにはいくつかのポイントがあります。
無理なく働ける条件を選ぶ
復職するためのポイントのひとつが、無理のない働き方を選ぶということです。
復帰直後から正社員の看護師と同じようにフルタイムで働くことができるという潜在看護師はあまりいません。
体力的にも、仕事の感覚をもとに戻すためにもある程度の期間が必要となるでしょう。
そのため、復帰をすると決めた場合には、まずは派遣看護師として働くほか、短期雇用で働くなど、非正規で働くことを検討することがポイントです。
育児や体力との兼ね合いを見て、どの程度の条件ならば無理なく働けるかを考えて就職先を選ぶとよいでしょう。
受け入れ態勢がしっかりした職場を選ぶ
ブランクのある看護師の受け入れ態勢がしっかりとした職場を選ぶこともポイントです。
研修制度がしっかりしている職場や相談体制がしっかりしている職場ならば、安心して復帰することができるでしょう。
知識を身につける
また、ブランクによる知識不足が怖いという理由で復職を渋っているのならば、様々なツールを活用して勉強をしてみると良いでしょう。
看護師をやめて10年もたっているとブランクが大きくて復職は無理だと感じる人も多いですが、看護師の復職はブランク何年までという考えはありません。
20年たっても勉強して復職し、活躍する人は多くいます。
新たな医療技術や知識を身につけることは、潜在看護師の現場への不安や怖さを克服するためにも役立ちますが、同時に就職活動にも役立ちます。
どのような勉強をしていたのかをしっかりと伝えることができれば、やる気のアピールにつながるでしょう。
潜在看護師復職支援とは
潜在看護師が復職するための様々な支援活動が存在しています。
再就職の情報を受け取る支援
まず、再就職の情報を受け取る支援を受けると便利です。
看護師が退職する際に離職届を出すと、都道府県のナースセンターから再就職情報を受け取ることができるというサービスが存在しています。
あらかじめ復帰を考えて潜在看護師となるならば、活用するとよいでしょう。
復職支援研修
ブランクのある潜在看護師のためには、最新の医療技術や知識を学ぶための復職支援が用意されています。
病院ごとに行われるものもありますが、国や自治体が主導して行う研修もあるので、情報を調べてみると不安なく復帰することが可能です。
都道府県の看護協会が実施している復職支援研修では、最新医療の技術や知識を学ぶセミナーや講習会が開催されます。
模型や実際の機器を使った演習のほか、体験談、相談受付などを受けることができるでしょう。
看護基礎技術研修
看護基礎技術研修では、より実践的な看護技術の講習や研修を行います。
採血や注射、点滴といった基礎技術の演習などを受けることが可能です。
勉強アプリの提供
このほか、勉強アプリの提供といった支援の形もあります。
最新の医療知識や技術を学ぶことができるアプリであり、医療用語を検索することができるものや疾患別のポイントをまとめたアプリなどです。
このアプリを活用して勉強すれば、効率よく技術を学ぶことができるでしょう。