作業療法士難易度&偏差値とは
作業療法士は厚生労働大臣の免許を受けて、障害のある人たちが自立した日常生活が送れるように、機能訓練など作業療法のリハビリテーションを行う国家資格です。
作業療法士は下記のような場所で活躍しています。
・病院
・リハビリテーション施設
・介護施設
・福祉施設
国家試験の受験資格
国家試験の受験資格を得るためには、高校を卒業した後に、厚生労働大臣の認可を受けた専門学校や大学などの作業療法士養成校に進学し学ぶ必要があります。
作業療法士養成校の偏差値
国立大学で一番難関の作業療法士養成校は偏差値64が必要ですが、大学の中でも偏差値の差は大きく30台の私大もあります。
専門学校で学ぶこともできるので国家試験の受験資格を得るための第一歩として養成校に入学すること自体は難しくはありません。
国家試験の合格点
毎年2月に行われる試験は一般問題(1問1点)と実地問題(1問3点)の200問が筆記試験のみで実施されます。
実地問題は120点満点中43点以上が必要で、一般問題と実地問題の合計点が280点満点中168点以上であれば合格となります。
国家試験の難易度
作業療法士の国家試験は司法試験など、超難関の国家資格試験を含んだ全体の中では比較的難易度が低い試験だと言われています。
しかし、2020年の作業療法士の合格率は87.3%と6,352人が受験し5,548人が合格となっていますが、合格率が70%台の年もあり全体的な平均合格率は高くはありません。
作業療法士の合格率が低い理由
作業療法士の国家試験の合格率は2020年87.3%、2019年は71.3%と年度によって差はありますが、全体的には理学療法士に比べて合格率が低いと言われています。
合格率が低い理由
作業療法士の合格率が低い背景には過去に国家資格に落ちた既卒者の問題があります。
現役受験者は94.2%と高い合格率を有しているのですが、既卒者も含めた合格率は-6.9%と大きく下がってしまいます。
これは作業療法士養成校を卒業したにもかかわらず国家試験に落ちてしまった人が何度も受験していることが要因となっています。
長時間集中することに慣れていない
根本的な問題は勉強不足だと言えますが、作業療法士の国家試験は筆記試験のみを約5時間もかけて行うことになります。
そのため、普段からの勉強だけでなく試験に慣れていることや、長時間の試験でも最高のパフォーマンスを出すことができる集中力が必要です。
高校の頃から勉強を続けて4年生大学の作業療法士養成校に入学した人の方が、長時間の勉強や試験に慣れているため専門学校の養成校に入学した人よりも合格率が高くなっています。
専門学校によっては現役合格率100%の養成校もあり地道な努力で合格している人もいます。
しかし、作業療法士養成校を卒業しても資格が取得できず、作業療法士になることを諦めた人も少なくありません。
作業療法士の国家試験対策
作業療法士の国家試験に実際に合格した人の多くが、国家試験の過去問題集を何度も繰り返し解いています。
過去問を解く
過去10年分をまとめた問題集を解くことで、1日に200問も解かなくてはならない試験問題に慣れることができます。
問題の傾向や自分の苦手科目を把握することもできるのでおすすめです。
実戦形式で解くことで、時間配分を身につけることもできます。
勉強ノートを作成し、まめに復習する
参考書の重要なポイントに色やマークで印をつけたり余白や付箋に授業内容を書き込んだりして、独自の勉強ノートに作り替えたという人もいます。
作業療法士の勉強に必要な情報を1冊にまとめ、どこに行く場合も必ず持ち歩いて隙間時間を勉強時間として効率よく使った合格者もいるようです。
理解できていない問題は反復練習する
作業療法士の試験内容は専門用語が多く言葉として覚えていても、本当の意味をきちんと理解していないことが多々あります。
理解できていない問題は、言葉を変えて出題されただけで答えられなくなってしまいます。
そのため、自分がよくミスをしてしまう問題の傾向を把握するために、類似問題だけをまとめて解き続けて反復練習をした人も合格していました。
苦手を克服できる工夫をする
その他には、苦手な科目だけ集中して勉強して苦手意識を克服した人もいます。
また、友達と難しい科目だけを問題にして出し合ったり、お互いに宿題を出し合ったりと、いつものルーチンとは違う勉強方法を取り入れた人もいます。
作業療法士と理学療法士の給料どっちが高い?
作業療法士と理学療法士どちらもリハビリテーションを行っていくためのプロフェッショナルです。
しかし、同じような仕事というイメージもあるためどっちがいいのか進路に悩むことがあります。
作業療法士の仕事内容
作業療法士は障害がある人のクオリティライフを高めるための日常生活における作業療法が主な仕事となります。
下記のような場所で、子供から高齢者を対象としてさまざま領域で仕事をすることができます。
・病院
・リハビリテーション施設
・介護施設
理学療法士の仕事内容
一方、理学療法士は歩いたり立ったりといった筋力動作のリハビリテーションを理学療法として行います。
理学療法士は下記のような場所で仕事をしています。
・総合病院
・福祉施設
・スポーツ施設
作業療法士・理学療法士の平均年収
作業療法士の平均的な年収は約420万円、理学療法士の平均年収約406万円となっています。
しかし、勤務する施設や正社員やパートなどの雇用形態によっても差があります。
日本国民の平均年収の中央値は427万円なのでどちらの仕事も全国的な平均値に近い年収があると言えます。
資格取得はどちらが難しいのか
作業療法士・理学療法士どちらも資格を取得するためには養成校で学び国家資格を受験するというプロセスは変わりません。
そのため、どっちが難しいとは言えませんが、平均的な国家試験の合格率は理学療法士の方が高いです。
年収をアップさせるコツ
年収700万や年収1000万を得るためにはスキルアップするだけでなく、雇用条件の良い病院や施設に就職するための就職活動・転職活動も重要になります。
また、自分自身で訪問介護業務を開業したり、管理職や指導者になったりと自分次第でいろいろな可能性があります。
作業療法士の将来性とは
作業療法士の養成を行う専門学校が増えた背景もあり、作業療法士の資格取得者はすでに約6万人を超えています。
理学療法士の資格取得者約16万人に比べると少ない人数にはなりますが、年々新たな資格者も増えてきているため有資格者が飽和状態になると将来的に就職難になる可能性はあります。
作業療法士の活躍の場
仕事の本音としては将来への不安があるかもしれません。
しかし作業療法士は一般病院・総合病院・整形外科病院などの医療機関だけでなく、下記のようにさまざまな活躍の場があります。
・介護老人施設
・老人ホーム
・保健所
・地域包括支援センター
・特別支援学校
高齢化社会により高齢者を対象とした施設やサービスは増えていくため、一概には将来性ないとは言えません。
作業療法士の今後の課題
今後の課題としては、高齢化社会により痴呆などに対応した専門的な支援も必要になります。
そのため、セミナーや研修に参加して作業療法士としての知識や技術を磨き、上位資格である専門作業療法士を取得して自分自身に対する需要が上がるように取り組むことも大切です。
また、AIの導入に対応するためにパソコン操作に慣れたり、最新の機器を把握するための展示会や勉強会に参加したりして新しい情報を収集するためのネットワークを築くのもおすすめです。
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