理学療法士とは?
理学療法士とは、病気やけが、障害や高齢により運動機能が低下した人に対して、運動機能の回復を図る仕事です。
日常生活の動作の改善
「寝返る・起き上がる・立ち上がる・歩く」といった基本的活動能力は、日常生活を送る上で基本となります。
日常生活の動作の改善を図り、最終的に生活の質(QOL)の向上を目指します。
たとえ障害があったとしても、自分らしく暮らせるよう、ひとりひとりに寄り添った働きかけをします。
理学療法士及び作業療法士法第2条で、下記のように定められています。
身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操などの運動を行わせ、電気刺激、マッサージ、温熱などの物理的手法を加えることをいう
理学療法士と作業療法士の違いとは?
理学療法士と混同される仕事に作業療法士があげられます。
理学療法士が日常動作の運動機能回復にあたるのに対して、作業療法士は手芸や工作などを行い、応用的動作能力や社会的適応能力の回復にあたります。
両者とも、基本的動作の回復を図るという点では共通しており、お互いに専門職が協力しあいながら、患者や利用者に対して、必要なリハビリテーションを行っています。
理学療法士は国家資格
理学療法士とは簡単に誰でもなれるものではありません。
理学療法士は国家資格です。
文部科学大臣に指定されている養成校において、定められたカリキュラムを修めて卒業する必要があります。
さらに、毎年2月に行われる国家試験に合格して、資格を取得することで理学療法士になることができるのです。
理学療法士の仕事内容とは?
理学療法士の仕事内容は、1人1人の状況に応じたリハビリテーション計画を提案し、指導していくことです。
理学療法士に必要なスキルとは
そのためにも、人体の構造について熟知し、計画を進めていくスキルは必須事項です。
身体機能の改善には、身体を実際に動かして関節や筋肉の回復を目指す運動療法と、温熱療法や電気刺激などの方法で治療を行う方法があります。
患者や利用者との円滑なコミュニケーションを取りながら進めていくことが大切になるでしょう。
スポーツ関連でも活躍
理学療法士は、医療や福祉の分野を始め、健康増進・スポーツ医学・スポーツトレーナーなどの分野まで多岐に渡ります。
スポーツチームに帯同したり、個人の選手と専属契約をしてサポートすることもあります。
怪我を防いで、パフォーマンスを向上させるための指導も大切な仕事です。
健康の維持・悪化の予防
また病院やリハビリテーション、老人ホームなどでも需要があります。
超高齢化社会の昨今、機能の回復を図るだけではありません。
身体機能の衰えから「立てなくなる、歩けなくなる」といったことを防ぐための予防医学の観点から、理学療法士の必要性が高まっています。
今後は運動機能の回復にとどまらず、「健康を維持する」「悪化を予防する」ことなどを目的とした活躍が、求められることでしょう。
理学療法士のやりがいとは?
理学療法士の仕事は、大変なことや苦労することが多く、やりがいないと感じることもあります。
人から必要とされる仕事
やりがいないと感じてしまったときは初心に戻ってみましょう。
初めに理学療法士を志した動機、志望理由を思い出してみるのです。
理学療法士のいいところは、「人の役に立つ、人から必要とされる」ことではないでしょうか。
ゆっくり時間をかけて向き合う仕事
まず、患者や利用者の1人1人とゆっくり時間をかけて向き合い、じっくり信頼関係を築いていきます。
すぐに結果が出にくいリハビリは、長期的なスパンで見ていき、回復具合を見ながら、支え続けていくことが必要になります。
だからこそ、効果が現れたときや喜んでもらえたときには、やりがいが大きいのではないでしょうか。
こうしたやりがいを実感できるのが理学療法士の魅力でしょう。
医療の分野での活躍
理学療法士の活躍の場として、医療分野と介護の分野があります。
病院などの医療分野では、対応力と十分な体力が求められます。
珍しい症例に関わる機会もあるので、良い経験になることがあります。
介護の分野での活躍
対象が高齢者である介護の分野では、リハビリの効果が出にくいのが実状です。
そのため、個々に合わせたメニューの提案が必要になり、幅広い知識や経験が問われるでしょう。
日々のリハビリの積み重ねが、結果として現れてきます。
理学療法士として働いていくコツ
患者や利用者の小さな変化を逃さずキャッチしていくことで、効果的に働きかけることができるでしょう。
患者や利用者の笑顔や感謝を励みに、困難や苦労も前向きに捉えて続けることが大切です。
自身の成長に繋がり、仕事が楽しいと感じてくることでしょう。
理学療法士の給料とは?
医療系の仕事の給料は良いというイメージが先行しますよね。
実際の理学療法士の給料は、どのくらいなのでしょうか。
理学療法士の20代の年収
平成30年の厚生労働省が行った賃金構造統計調査によると、大卒初任給は約23万円で、年収は約303万円となっており、手取りでも十分生活できるレベルでもらえています。
理学療法士の給料は、20代の年収としては決して低くはないでしょう。
また理学療法士の男女比は6:4で、女性が活躍しやすい仕事です。
女性の給料としてみても、平均よりも上であると言えます。
理学療法士の全体の平均年収
では、理学療法士の全体でみた場合はどうでしょう。
理学療法士の年収は、緩やかに年々上昇傾向にあります。
平均年齢が31.8歳、勤続年数が5.3年で、全体の平均年収は約408万5千円となっています。
サラリーマンの平均年収が約440万ですから、やや低い数値です。
理学療法士の中に、キャリアアップする40代以降の割合が圧倒的に少ないことや、転職を繰り返している場合が多いことが起因しています。
年収を上げていくには
同じ場所で最低でも1年以上は仕事をして、何らかの実績や技術を身につけることが必要でしょう。
また年に一度の昇給があるところが多いです。
確実に年収を上げていきたいならば、就職先の昇給制度について、よく調べておくと良いでしょう。
理学療法士になるには?
理学療法士になるためには、指定された養成校で3年以上学び、知識と技術を身につけ、国家試験に合格する必要があります。
理学療法士の養成校
養成校は、専門学校や短期大学、4年制大学など選ぶことができます。
カリキュラムには、下記の4種類があります。
・一般教養
・専門基礎
・専門科目
・臨床実習
専門科目は、実技やグループで取り組むところもあります。
養成校により、それぞれ特色が異なりますので、自分が将来どんなところで働きたいのかを考え、それに合ったカリキュラムや実習がある学校を選ぶと良いでしょう。
国家試験の難易度
養成校で履修したあとは、国家試験を受験します。
試験は毎年2月に行われます。
2019年に行われた「第55回理学療法士国家試験」の結果では、合格率86.4%と9割近い数値ですが、既卒者の合格率は18.5%と厳しい数値でした。
合格率は高い水準でキープしており、学校で勉強したことをしっかり理解し、身につけていれば、合格できる難易度だと言えるでしょう。
悔いのないように勉強する
国家試験は一発勝負です。
悔いのないように、日々勉強するしか道はありません。
今後は様々な分野で、理学療法士の活躍が期待されています。
将来のなりたい自分を具体的にイメージして、限られた時間を有効に使い、夢を実現してください。