言語聴覚士辞めたい理由とは
言語聴覚士の仕事の本音について詳しく紹介していきたいと思います。
言語聴覚士とはどんな仕事?
言語聴覚士は、聴覚・音声・摂食などの障害原因の特定と訓練などを行う仕事です。
その特性上、さまざま障害を持つ患者と接しなくてはなりません。
活躍の場は広がっている?
総合病院やクリニック等の医療施設だけではなく、介護施設、放課後デイサービス等、福祉や教育機関にも活躍の場は広がっています。
また高齢化社会に伴い、在宅でのリハビリの必要性も高まっているようです。
辞めたいと思う理由とは
そんな言語聴覚士が辞めたいと思う理由にはどんなことがあるのでしょうか。
理由① 共感性が高くストレスを感じやすい
病気や怪我などにより障害が生じたばかりの患者や家族は、精神的にも不安定になりやすいため、共感性の高い言語聴覚士ほどストレスが大きくなってしまいます。
しかし、言語聴覚士は患者の伝えたいことを理解し、優しく接する必要があります。
そのため『共感性がない人は言語聴覚士には向かない人』とも言えるでしょう。
理由② 患者との信頼関係を築くのが難しい
摂食嚥下機能に問題がある患者の中には、検査に不快感がある人も多く、検査や訓練を拒否されることもあります。
そのため、『患者との信頼関係を築くことが難しい』と悩む人も多くなっています。
理由③ 職場の人間関係が上手くいかない
言語聴覚士の仕事は同僚だけではなく、他の医療関係者などとも協力して患者をサポートしていく必要があります。
性格が悪いと感じたり、自分とは合わないと感じる人がいるなど『人間関係が円滑でない職場は、他部署との連携が取れない』と、つらい経験をすることが多いようです。
国家資格を取得しても給料が安い
せっかく国家資格を取得しても、他のリハビリ職より給料が安く軽んじられることがあり、言語聴覚士になったことを後悔している人もいるようです。
1年目はきつい?
特に1年目は、業務スキルが不足しているのは当たり前なので、他の言語聴覚士と同様の仕事が求められても上手くいかないことが多くあります。
給料は年齢や経験で昇給されていきますが、努力が結果に結びつきにくい1年目できついと感じてしまうと、仕事を続けることが難しくなります。
そのためストレスが大きくなり、辞める人が増えてしまっているようです。
新卒言語聴覚士はつらい?
初めて言語聴覚士として仕事をする新卒言語聴覚士は、仕事に慣れるまで精神的にも肉体的にもストレスが大きく、患者と円滑にコミュニケーションをとれるようになるまで時間がかかります。
理不尽な思いも多い?
新人の頃は、事務的な仕事や上司、指導担当者からの教育的な指導がつらく、理不尽な思いをすることもあるようです。
掲示板や口コミサイトでも「言語聴覚士はやめたほうがいい」「言語聴覚士になって後悔した」というコメントが多く寄せられています。
新卒言語聴覚士の辛い体験談
ここでは新卒言語聴覚士の辛かった体験談を紹介していきます。
患者以外の人と接する機会が多い
ある体験談では、コミュ障の人が実際に言語聴覚士になったものの『患者だけでなく、院内のカンファレンスやイベントなど人と接する機会が多いこと』に耐えられなかったというケースもありました。
多職種との連携が必要な言語聴覚士は様々なコミュニケーションが求められるようです。
相談できる同僚がいない
人と接する機会が多いこととは反対に『相談できる同僚もいなくて、他の医療関係との連携の仕方も分からない環境』に置かれる新卒言語聴覚士のケースもあります。
就職した病院や施設の規模によっては、言語聴覚士が一人しか雇用されていないこともあります。
信頼できる人や相談できる人がいないことで、不安やストレスを抱えてしまうのは仕事を辞める理由として少なくありません。
プライベートの時間がなくなる
また、事務処理に慣れず早朝出勤や残業が多くなったり、患者の嚥下チェックなどで自分の昼休みがなくなってしまうことがあります。
特に一年目の仕事に慣れていない新人は、効率よく仕事をこなすことは難しいでしょう。
プライベートの時間も取れず、日々職場に行くことが精いっぱいで、新卒言語聴覚士は「つらい」「辞めたい」と思ってしまうようです。
言語聴覚士に向く人&向かない人とは
言語聴覚士の仕事に向いている人と向いていない人がいると言われていますが、基本的には知識や技術ではなく性格的なものが大きく関係します。
向いている人とは
まず初めに、言語聴覚士に向いている人の性格について紹介します。
コミュニケーションが好きな人
前述でも紹介していますが、言語聴覚士は患者や利用者だけでなく、その家族や医療関係者と関わる仕事です。
そのため、人と話すのが好き・コミュニケーションをとるのが好きな人に向いている仕事となります。
根気強く寄り添うことができる人
また障害がある患者の機能訓練などは、時間をかけて行うものなので、毎日やりがいや達成感を得ることはできません。
したがって、患者の障害や言葉に出せない気持ちをしっかり観察して、根気強く寄り添うことができる人は向いていると言えるでしょう。
新しい知識を得るために勉強を続けられる人
他にも、新しい知識を得るために勉強を続けることができる向上心のある人は、言語聴覚士としての需要があります。
医療系の仕事全般に言えることですが、資格を取得すれば一人前というわけではありません。
むしろ、大学や専門学校などより現場で学ぶことの方が多いでしょう。
モチベーションを上げることが大切
「給料がもらえればいい」「努力したくない」という人には残念ながら向いていません。
働きながら勉強し続けていくのは大変なことですが、患者のためになることなので、モチベーションを上げて日々学んでいきましょう。
向いていない人とは
続いて、言語聴覚士に向いていない人とはどんな人でしょうか。
コミュニケーションが苦手な人
コミュニケーションが苦手な人にとってはつらい場面となりますが、言語聴覚士は病院や施設で勤務することになるので、自分の担当患者以外とも接する機会も多くあります。
同僚の医療関係者とは業務上だけでなく、懇親会やイベントなどで繋がりを作っていかなくてはなりません。
そのため、コミュニケーションをとるのが苦手な人や、毎日多くの人と接するのが苦手な人は言語聴覚士として働くことが難しくなります。
すぐに達成感が欲しい人
言語聴覚士は、患者が時間をかけて少しずつ改善していくことに向き合う仕事です。
障害や不安を抱えている患者と接する時は、本音でぶつかれば良いというものでもないので、すぐに成果や達成感が欲しい人には向いていないでしょう。
くよくよ悩んだり後ろ向きになる人
くよくよ悩んだり後ろ向きになったりすることが多い、という人は言語聴覚士には向いていないかもしれません。
前向きな性格であれば、不安定な患者を明るく元気づけることができるでしょう。
▼言語聴覚士の仕事内容についてもっと詳しく知りたい人はこちら!
言語聴覚士ストレス対策とは
ここでは、おすすめのストレス解消方法を紹介します。
リハビリ職はストレスが溜まりやすい?
言語聴覚士は患者の心に寄り添い、小さな変化も見落とさないように観察しながら、根気強く訓練をサポートしていく必要があります。
そのため、緊張状態でいる時間が長く、真面目な人ほどストレスが大きくなります。
言語聴覚士だけでなく、『理学療法士』や『作業療法士』など、担当業務が違ってもリハビリに関わる仕事のストレスは共有しているものです。
自分の性格に合ったストレスの解消法や心の予防法を見つけることで、仕事中の負担が軽くなるでしょう。
ストレス解消法
言語聴覚士としての仕事を嫌いにならないためにも、ストレスは解消していきましょう。
血行を良くする
例えば、ストレスが頭痛やつらい肩こりなど、体の不調として現れるタイプの人は、昼休みに目元や肩を温めたり、自宅後は半身浴をしたりして血行を良くしてください。
自律神経や自分の体調が整うことで心も健康を取り戻していくでしょう。
好きなことに没頭する時間をつくる
患者の悩みや不安に共感しすぎて気鬱になる人は、精神的に不安定になったり自分に自信がなくなったりしやすいでしょう。
その場合には、好きなことや趣味に没頭する時間をつくりましょう。
残業が多く休日が少ない職場も多くありますが、少ない自分の時間を上手に使わないとストレスに耐えられなくなってしまいます。
ストレスから離れる時間をつくる
「今日頑張れたらケーキを食べよう」など小さなご褒美用意して、ストレスから離れる時間をつくることもストレス解消には効果的です。
給料をもらって働いているので、仕事を頑張るための費用と考えて少しだけ贅沢することも必要です。
日にちや値段の上限を決めて行うことが、楽しみな時間を作るコツです。
気持ちを切り替えるスイッチを持つ
特に仕事が上手くいかない時、人間関係のトラブルが起きた時などは心に余裕がなくなってしまいます。
そんな時は軽い運動やドライブ、好きな音楽を聴くなど、自分なりの気持ちを切り替えるスイッチを持つことがおすすめです。
やったことのないことにチャレンジし、気持ちがリフレッシュできるようなことを探してみるのも良いでしょう。
言語聴覚士やめてよかった体験談
言語聴覚士の仕事をやめて転職や就職をした人には、それぞれにやめたいと思った理由があります。
言語聴覚士をやめた理由
言語聴覚士をやめた理由の例としては、下記のようなことが多く挙げられます。
言語聴覚士をやめた理由
・言語聴覚士が一人しかいない職場にもかかわらず、理学療法士や作業療法士より給料が安く不満に感じた。
・同僚や他のリハビリを行っている療法士の人間関係が悪かった。
・残業が多く言語聴覚士の仕事だけでなく介護の仕事の手伝いをさせられていた。
・やりがいを感じられず、言語聴覚士になって後悔した。
やめてよかった理由とは
では、やめてよかったと感じた人の理由や気を付けるポイントについて紹介します。
給料アップに繋がった
退職した原因はそれぞれですが、下記のように転職することで給料アップに繋がった例は多くあります。
- 医療業界の仕事から離れて一般企業に転職した
- 公務員になった
- 資格を活かして医療施設ではなく教育施設に転職した
以前の職場で賞与がなかった場合、賞与有りの会社に転職して年収を上げることもできます。
また、キャリアよって業務手当が発生する職場もあります。
就職活動の際に募集している求人情報はしっかりと確認しましょう。
人間関係の良い職場を見つけた
人間関係が原因でやめたいと感じていた場合、我慢や話し合いで解決するのは難しいことです。
言語聴覚士の仕事は続けたいけれど、同僚の人間関係のストレスから解放されたかった人は、訪問言語聴覚士として患者の自宅や施設に出張サービスを始めていました。
このように、同僚と過ごす時間の少ない働き方を考えるという手段もあります。
様々なチャレンジの道がある
言語聴覚士という職業をやめ、思い切って興味のある異業種の仕事にチャレンジしたり、経験や資格を活かして自分に合う方法で言語聴覚士の仕事を続けることもできます。
また、下記のような別の職種として医療業界に携わることも可能です。
- 介護士
- 看護師
- 医療事務
言語聴覚士の仕事自体が合っていなかったのか、職場の環境が合っていなかったのかなどを見極め、転職先の探し方に活かしていきましょう。
頭悪い人でも言語聴覚士になれる?
ここでは言聴覚士になる方法や、試験について解説していきます。
言語聴覚士になるには
言語聴覚士になるには、国家試験に合格する必要があります。
国家試験の受験資格を得るには、文部科学大臣が指定する学校、または都道府県知事が指定する言語聴覚士養成所を卒業することが条件となります。
高校卒業者の場合は指定された3~4年制の学校、一般の4年制の大学を卒業していれば2年制の学校を卒業することで受験資格が得られます。
通信教育・夜間課程について
通信教育のみで言語聴覚士になることはできません。
社会人で仕事が忙しく、学校に通うことが難しい人は夜間課程のある学校を探すと良いでしょう。
実習は昼間に行われるため、注意して確認しておく必要があります。
国家試験の合格率
言語聴覚士の国家試験は毎年3月に行われています。
合格率は50~60%台で推移しています。
2020年の国家試験合格率は65.4%でした。
言語聴覚士の難易度は高め?
国家試験の合格率は作業療法士や理学療法士と比較すると低くなっているため、リハビリ職の中では難易度は高めといえるでしょう。
しかし、言語聴覚士の合格率がなぜ低いかというと、新卒者も既卒者も合わせた合格率となっているからです。
養成所新卒者の合格率は高い!
なんと養成所新卒者の合格率は80%を超えています。
簡単に取得できるわけではありませんが、養成所での授業を理解し、しっかりと勉強すれば合格することは可能です。
落ちた場合は次の試験は来年となってしまうため、もっと勉強しておけばと後悔するでしょう。
そのため一度で合格できるよう効率的に勉強していきましょう。
国家試験の試験内容
言語聴覚士国家試験の出題科目は下記のようになっています。
・基礎医学
・臨床医学
・臨床歯科医学
・音声・言語・聴覚医学
・心理学
・音声・言語学
・社会福祉・教育
・言語聴覚障害学総論
・失語・高次脳機能障害学
・言語発達障害学
・発声発語・嚥下障害学
・聴覚障害学
配点は1問あたり1点となっており、満点で199点となります。
合格ラインは120点以上となっています。
合格を目指して計画的に勉強をしていきましょう。