薬剤師の仕事内容とは
薬剤師が、実際どんな仕事をしているのかご存知でしょうか。
薬剤師は主に「調剤」と「服薬指導」の仕事を行っています。
調剤の仕事内容とは
「調剤」の仕事では、医師が出した処方箋に基づきながら、患者一人一人に合わせた内容に薬を調合していきます。
基本的には医師の指示に従って調剤を行っていきますが、その薬が患者に適しているか、他の薬との飲み合わせなどはどうなのかなど、様々な面で確認を行っていかなければなりません。
妊娠中や授乳中、アレルギーを持っている場合は薬を摂取することで副作用のリスクを上げてしまいかねないからです。
それらのことを、医師と薬剤師が重ねて確認を取ることで、医療ミスを防げるようになるのです。
服薬指導の仕事内容とは
また、薬を患者へ渡す際には「服薬指導」を行います。
「どのタイミングでどの薬をどのくらい飲めばよいのか」を患者に説明する仕事です。
訪れる患者の中には体調が悪かったり、高齢で耳が聞こえづらくなっている人も多くいます。
そのため、適切に薬を飲めるようにわかりやすく説明しなければなりません。
そして他に飲んでいる薬はないか、アレルギーはないかなどの確認もしっかり行い、患者の状況に応じた飲み方をアドバイスしていきます。
つまり、薬のスペシャリストとして仕事を行っていくことが求められているのです。
薬剤師になる最短の方法
薬剤師になるには、薬剤師国家試験に合格し、資格を取得しなければなりません。
薬剤師の合格率とは
毎年2月下旬ごろに試験が開催され、3月末頃に合格発表という流れになっています。
試験は二日間に渡り、薬理や薬剤に関する内容だけでなく、法規や制度などとても幅広い範囲から出題されます。
この試験の合格率は70パーセント前後となっており、一見高いようにも見えますがこの資格を受験するためには厳しい条件が定められています。
そのため、受験者のレベル自体がとても高いと言えるでしょう。
受験資格の注意点
受験資格は、高校を卒業後大学の薬学部で6年間勉強し、卒業することで得られるようになっています。
4年生の大学の場合は受験資格が得られないため、注意するようにしましょう。
また、大学を卒業していても他の学部だった場合や、一度社会人や主婦となってから新たに薬剤師を目指す場合は、一から薬学部に入り6年間学ばなければなりません。
最短で薬剤師になるには、高校の間に進路を決め、薬学部へ進学することが欠かせません。
薬剤師国家試験に合格した後は、厚生労働省が定める薬剤師名簿に登録するための申請を行います。
登録が完了し、免許証が交付されて、ようやく薬剤師として仕事ができるようになります。
職場によって薬剤師の仕事は違う?
薬剤師が活躍できる職場には、いくつかの種類があります。
当然ながら、どの職場を選ぶかで仕事の内容にも違いが出てきます。
【調剤薬局】で働く
調剤薬局で働く場合は、医師の処方箋に基づいて薬を調査調剤し、患者へ服薬指導などを行っていきます。
主な仕事内容
- 調剤
- 服薬指導
- 医療機関との連携
- 薬歴管理
処方内容に不明点や疑問が生じた場合は、医師に直接確認を取る義務も持たされています。
医師と患者との間に立ち、薬剤師という専門的な立場からサポートを行っていく仕事です。
【病院】で働く
病院の薬剤部で働く場合は、チーム医療を進めているという背景もあって、より高度な知識が求められます。
救急で、重症な患者が搬送されてくることもあります。
薬剤師としてのスキルを活かし、連携を取りながら適切に対処していくことが大切です。
主な仕事内容
- 調剤
- 薬の在庫管理
- 副作用のチェック
- 救急患者、入院患者の投薬サポート
基本的には入院患者の投薬をサポートしていくことが主な仕事となります。
医師の処方箋に基づいた薬の調剤や、薬の在庫管理、副作用などのチェックなどを行っていきます。
【ドラッグストア】で働く
その他には、ドラッグストアで働くケースもあります。
主な仕事内容
- 薬の説明
- 相談
- 発注
- レジ
2009年に改正された薬事法によって、ドラッグストアで第1類医薬品を販売する場合は、薬剤師がいないとできないようになりました。
仕事内容としては、薬の説明をしたり、相談に乗ったりする他、発注やレジなど、薬剤師以外の業務も増える傾向があります。
【製薬会社の研究職】で働く
また、薬剤師は製薬会社でも活躍することができます。
主な仕事内容
- 薬の臨床実験
- データ収集
- 学会
研究職に就いた場合は、薬の臨床実験やデータ収集を行っていきます。
病院に対して自社製品の情報提供を行っていくMRの場合は、薬学に関するとても広くて深い知識が求められるようになります。
薬剤師のやりがいとは
薬剤師の仕事は、とても専門性が高く社会的な評価や報酬も高いことから、それらをメリットとして挙げられることが多いですが、薬剤師の魅力はそれだけではありません。
たくさんのやりがいを感じられる仕事でもあるのです。
患者の健康被害を未然に防ぐことが出来る
調剤薬局や病院で働く場合は、直接患者と接する機会があります。
患者の置かれている状況を把握し、副作用などの健康被害を未然に防ぐことができた際などにはやりがいを感じることができるでしょう。
お薬手帳などでも情報を確認できますが、患者一人一人に寄り添って丁寧なヒアリングを行うことで、他に飲んでいる薬があることや、授乳中であること、アレルギーを持っていることなどに気付ける場合もあります。
薬の中には注意すべき組み合わせがあるものや、母乳を通して乳児に影響を及ぼしてしまうものなどがあります。
薬剤師は、それらを最終確認し適切な対応をとる、いわば最後の砦としての役割も担っています。
患者の疑問を解決し、感謝されること
また服薬指導の際に、わかりやすい説明や疑問への丁寧な回答をしたことによって、患者から感謝されることもあります。
そのような場合にも、やりがいを感じられるようになるでしょう。
薬剤師に向いている人とは
薬剤師には、どんな人が向いてるのでしょうか。
特徴
- 専門的な知識が豊富に身についている人
- 几帳面な人
- コミュニケーション能力が高い人
- 情報収集などの勉強を学び続けられる人
その仕事の内容からも専門的な知識が豊富なことはもちろんですが、正確に薬を調剤できる几帳面さを持っている人や、患者に対するコミュニケーション能力に長けている人などが向いていると言えるでしょう。
また新薬の勉強や副作用などに関する情報収集など、ずっと勉強をし続けないといけない職業でもあります。
それを苦労と感じず、学び続けられる人が向いているでしょう。
薬剤師の将来性とは
薬剤師は人手不足で、比較的仕事に就きやすい職業となっています。
勤務時間が規則的で産休や育休の後に職場復帰しやすいことなどから、男性だけでなく、女性からも人気の仕事となっているのです。
しかしながら近年、薬剤師の数自体は増加していっており、AIの導入も進んでいっているため将来的に薬剤師として働くのは狭き門となってくる可能性があります。
AI化が加速していく中、薬剤師にはどのような将来性が残されているのでしょうか。
AIではできないものとは?
特に、AIは様々な業界で活用されており、薬剤師の業界も例外ではありません。
そのため、将来像としてAIが薬剤師の仕事をとってかわり、調剤や飲み合わせチェック、服薬指導などを行っている姿をイメージする人も多くいるのではないでしょうか。
もちろん、薬剤師の必要性自体が問われ「薬剤師には未来がない」と言われることもあります。
しかしながら、薬剤師の仕事は単に機械的に作業をこなしていくだけではありません。
患者の置かれている状況や気持ちに寄り添い、不安を払拭し、精神的なサポートを行っていくことも求められています。
それらの仕事はAIでは難しく、人間だからこそできる部分でもあります。
そのため、コミュニケーション能力の高さなどは今後ますます求められるようになるでしょう。