医療ソーシャルワーカーの仕事内容&年収とは
医療ソーシャルワーカーとはどのような職業なのでしょうか?
医療ソーシャルワーカーの主な仕事内容
医療ソーシャルワーカーは福祉の専門家で、医療関係などと連携しながら患者やその家族が抱える問題を解決するのが主な仕事内容になります。
病気になった人の経済的な悩み、患者を支える家族の精神的な悩みなど、相談内容は多岐にわたります。
様々な相談にのり、病院を受診する時の援助や医療費や生活費などの調整、社会復帰するための援助などを行わなければなりません。
入院時に症状に合わせて病室を調整することや、退院時に各部門と連携して日時を決めることもしています。
また、退院後の支援の相談も行っています。
このように必要な手続き、在宅復帰や転院など様々な種類の相談に乗ってくれるのが医療ソーシャルワーカーです。
医療ソーシャルワーカーの職場
医療ソーシャルワーカーが勤務しているのは、医療機関にある「地域医療連携室」「医療福祉相談室」という場所です。
病院によって名称は異なる場合があります。
民間の医療機関で働くだけではなく、行政で公務員として働く医療ソーシャルワーカーも多くいます。
医療ソーシャルワーカーの平均年収とは
下記は医療ソーシャルワーカーの平均年収になります。
平均年収 … 約400万円
平均月収 … 約25万円
賃金構造基本統計調査調べでは、医療ソーシャルワーカーの平均年収は400万円程度です。
月給は25万円程度が平均で、ボーナスと合わせて年収が400万円程度になります。
働く職場によっても平均年収は変わり、公務員の医療ソーシャルワーカーのほうが給料は上がるケースが多いです。
年齢が上がるにつれて平均年収も高くなりますが、医療ソーシャルワーカーは離職率が高く40代を過ぎると医療ソーシャルワーカーの人口も少なくなります。
求人数は少ない
医療ソーシャルワーカーのように、医療や介護に関わる仕事は人材不足が問題となっているため、需要が高い職種ですが、求人数は非常に少ない職業のため就職する難易度は高く、狭き門と言えるでしょう。
しかし、高齢化の進展によって医療ソーシャルワーカーのニーズは高まっているため、求人は増えていくことが考えられます。
医療ソーシャルワーカーに必要な大学とは?
資格なしでも医療ソーシャルワーカーになることはできますが、医療ソーシャルワーカーとして活躍している人の多くが社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取得しています。
社会福祉士の資格は取っておいた方がいい?
また、社会福祉士の資格を持っていることを採用条件としているところも多いので、基本的には医療ソーシャルワーカーになるために国家資格の取得を目指すことになります。
大学、短大、専門学校(福祉学、介護福祉、社会福祉などを学ぶ)
社会福祉士の国家試験を受験するための道のりはいくつかありますが、メジャーなのは福祉系の大学や専門学校に通う方法です。
国公立や市立の大学の中には、社会福祉士になるための勉強を行う学科を設けているところがあります。
大学の偏差値は様々で、50以上の大学から35程度の大学まであります。
社会福祉士の受験資格を取得するには
福祉系大学等を卒業するほかにも、国家試験の受験資格が得られる条件は様々あり、12通りのルートがあります。
福祉系大学・短大等ルート
- 福祉系大学等(4年)で指定科目履修し、卒業する
- 福祉系短大等(3年)で指定科目履修し、卒業する。その後、相談援助実務を1年以上経験する。
- 福祉系短大等(2年)で指定科目履修し、卒業する。その後、相談援助実務を2年以上経験する。
短期養成施設等ルート
- 福祉系大学等(4年)で基礎科目履修し、卒業する。その後、短期養成施設等で6カ月以上必要な知識や技能を修得する。
- 福祉系短大等(3年)で基礎科目履修し、卒業する。その後、相談援助実務を1年以上経験し、短期養成施設等で6カ月以上必要な知識や技能を修得する。
- 福祉系短大等(2年)で基礎科目履修し、卒業する。その後、相談援助実務を2年以上経験し、短期養成施設等で6カ月以上必要な知識や技能を修得する。
- 社会福祉主事養成機関(2年以上)を修了する。その後、相談援助実務を2年以上経験し、短期養成施設等で6カ月以上必要な知識や技能を修得する。
- 指定資格の実務(児童福祉士司、身体障害者福祉司、査察指導員、知的障害者福祉司、老人福祉指導主事)の実務経験4年以上経験し、短期養成施設等で6カ月以上必要な知識や技能を修得する。
一般養成施設等ルート
- 一般大学等(4年)を卒業する。その後、一般養成施設等で1年以上必要な知識や技能を修得する。
- 一般短大等(3年)を卒業する。その後、相談援助実務を1年以上経験し、一般養成施設等で1年以上必要な知識や技能を修得する。
- 一般短大等(2年)を卒業する。その後、相談援助実務を2年以上経験し、一般養成施設等で1年以上必要な知識や技能を修得する。
- 相談援助実務を4年以上経験する。その後、一般養成施設等で1年以上必要な知識や技能を修得する。
社会人や主婦は通信がおすすめ?
社会人や主婦で医療ソーシャルワーカーへの転職を考えているという方もいるでしょう。
その場合、一般大学や短大を卒業した方は、一般養成施設で指定科目を履修し、卒業することで国家試験の受験資格が得られます。
また、社会福祉士は通信大学でも目指すことが可能です。
通信教育部がある大学、もしくはオンライン講座などを利用すれば、自宅に居ながら社会福祉士の資格取得を目指し、医療ソーシャルワーカーになることができます。
仕事をしながら社会福祉士を目指したい、主婦業の合間に手軽に勉強したい、そういう方は通信大学や通信講座を利用して学習を進めてみることをおすすめします。
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医療ソーシャルワーカーの仕事はきつい?
医療ソーシャルワーカーは患者やその家族、医療機関で働く医師や看護師など様々な人達と関わる仕事です。
きつい理由1 人間関係の悩み
人間関係のことで悩みを抱え、つらい思いをしている人は多くいます。
仕事上で関わる全ての人が、話の分かるよい人とは限りません。
場合によっては、性格悪いと感じる人とコミュニケーションを取らなければならないケースもあるでしょう。
患者からの厳しい言葉
相談にのっている患者から無理難題を押し付けられることもあります。
その場合にも丁寧な対応ができないと、「いい加減な仕事をしている」などと厳しい言葉で文句を言われてしまいます。
その結果、精神的に参ってしまいうつ病になる人もいるようです。
きつい理由2 自分の努力が報われないことも多い
自分の力だけではどうしても解決できない問題も出てきます。
患者のために何とかしてあげたいけれど、予算や人材不足の問題、制度や法律の問題で医療ソーシャルワーカーの力だけではどうにもできないケースも多いです。
自分の努力が報われないことも多く、やりがいを感じられなくなり辞めたいと思ってしまう人もいるでしょう。
きつい理由3 深い知識・経験が必要
医療ソーシャルワーカーは様々な問題を抱えた人を相手にします。
そのため、様々な問題や利用者に対応できるようになる必要があります。
先ほどは医療ソーシャルワーカーの力ではどうにもならないことがあると説明しましたが、知識がないことで思い通りにいかないこともあります。
複雑な問題を解決するには、専門知識を日々勉強することと、向上心を持って業務を行い、経験を重ねていくことが重要になります。
きつい理由4 人材不足のため残業が多く、プライベートとの両立が難しい
医療ソーシャルワーカーは人材不足ということで、職場によっては残業も多くなります。
プライベートとの両立ができず、結婚するタイミングで離職してしまう人も多いです。
職場によっては残業なしのところもあるので、結婚をしても仕事を続けたいなら、職場選びには慎重になる必要があるでしょう。
医療ソーシャルワーカーのやりがい
そんな医療ソーシャルワーカーのやりがいとはどんなことなのでしょうか。
やりがい1 自分が誰か役に立っていると実感しやすい
自分が誰かの役に立っていると実感しやすいのが、医療ソーシャルワーカーのやりがいの1つです。
様々な悩みを抱えた人達が、医療ソーシャルワーカーを頼ってきます。
病気になり治療をしたいけれど経済的に問題を抱えている、病気は治ったけれど社会復帰がうまくできない、そういった人達の相談にのり、問題を解決するために努力するのが医療ソーシャルワーカーの役割です。
自分のアドバイスや支援によって問題が解決し、相談者に笑顔が戻った、泣きながら感謝をされた、そういう体験をすれば大きなやりがいを感じられるでしょう。
やりがい2 社会に貢献できている
社会に貢献できていることに、やりがいを感じる医療ソーシャルワーカーも多いです。
年配の方だけではなく、子供まで幅広い世代の人達に福祉サービスを提供するのは、社会的な貢献度もかなり高いです。
患者が自分のサポートで社会復帰ができ、社会に貢献できたと実感できるやりがいのある仕事です。
やりがい3 国家資格によって活躍の場が広がる
医療ソーシャルワーカーとして活躍する人の多くは、国家資格の社会福祉士の資格を持っています。
国家資格を持っているというのは、大きなステータスにもあります。
医療ソーシャルワーカーになることで、自分のステータスが上がり活躍の場が広がるというは大きなやりがいになるでしょう。
医療ソーシャルワーカーに向いている人とは
医療ソーシャルワーカーに向いている人の特性について紹介していきます。
人の話を上手く聞き出すスキルがある人
相手の立場になって話を聞くことができる、聞き上手な人は医療ソーシャルワーカーの適正があるでしょう。
医療ソーシャルワーカーが相手をする患者やその家族は、多くの悩みを抱えている人達です。
その人達の話を聞き、不安を取り除いてあげるのも医療ソーシャルワーカーの役割になります。
問題を解決することも大切ですが、まずは親身になって話を聞いて、「自分には信頼できる味方がいる」と思ってもらえるのが大切なことです。
聞き上手になるには
人の話を上手く聞き出すスキルを傾聴力といいます。
傾聴力を磨くには下記のようなことを意識してみると良いでしょう。
- 相手の目を見て話す。
- 相手の話を最後まで聞く
- 返事や相槌をする
- オウム返し
相手が話している途中で遮ってしまうと、話を聞く気がないどころか、きつい印象を与えたり性格が悪いと思われ嫌われてしまう可能性もあります。
話を最後まで聞くことや相槌などに加え、相手の言ったことをそのまま繰り返すことで、話に興味があり、理解していると伝えることができます。
このようなことを日常的に意識して、傾聴力を高めていくと良いでしょう。
相手の思いや伝えたいことを見抜ける観察眼のある人
医療ソーシャルワーカーを頼ってくる人の中には、感情表現が苦手でなかなか悩みを上手く言葉にできない人もいます。
そういう人を相手にした時に、その人の本心を見抜ける観察眼も必要になります。
普段人と話している時に、相手の思いや伝えたいことを見抜ける観察眼のある人は、医療ソーシャルワーカーとしても活躍できるでしょう。
観察力を高めるには
コミュニケーションを取るうえで、相手を観察することは非常に大切なこととなります。
観察力が高くなれば、表情や声、ジェスチャーから相手の気持ちを考えられるというメリットがあります。
下記のようなことを意識することで観察力は鍛えられるでしょう。
- 周りをよく見る
- 固定観念を持たない
- 様々な人と話す
- 人と話す際に、表情や声のトーン、姿勢などを観察する
このようなことを意識することで、周りの変化に気づくことができるようになります。
変化に気づくことで相手の状況を理解することができるため、相手の本心がわかるようになったり、細かい気配りができるようになります。
誰かの役に立ちたいという気持ちが強い人、面倒見のよい人
誰かの役に立ちたいという気持ちが強い人、面倒見がよい人も医療ソーシャルワーカーに向いています。
医療ソーシャルワーカーは、不安や悩みを抱えている人達のサポートを行う仕事で、多くの人たちに頼りにされます。
誰かに頼りにされている、自分の仕事で多くの人が笑顔になる、そういうことにやりがいを感じられる人は楽しく仕事ができるでしょう。