言語聴覚士の仕事内容とは
言語聴覚士の主な仕事内容をわかりやすく言うと、話すことや聞くこと、食べることに障害を持っている人たちへのリハビリやサポートになります。
患者や障害のレベルや症状に合わせたサポートをする
障害に合わせたサポートが必要なる言語聴覚士のそれぞれの役割について紹介します。
言語障害を抱えている患者
言語障害を抱えている患者は発声に障害を抱えていることが多いのですが、個々によってどのような障害を抱えているのか症状が異なってきます。
そのため患者の言語障害のレベルや症状に合わせたリハビリ内容を検討、実践し、徐々に発声ができるようにサポートをしていきます。
聴覚障害を抱えている患者
同じように聴覚障害で聞き取れない患者に対しては、症状に合わせて補聴器のフィッティングや人工内耳設置後のリハビリなどを実践しており、大人よりも主に幼児期などの子供の患者のサポートが中心になっています。
摂食障害を抱えている患者
そして摂食障害で食べることや飲み込むことが難しい患者に対するリハビリやサポートとしては、嚥下機能を高めるための機能訓練を実施しています。
言語聴覚士1日の流れ
言語聴覚士は1日をどのように過ごしているのでしょうか。
1日の流れ
8:00 朝礼、ミーティング
9:30 言語訓練、聴覚訓練
12:00 嚥下状態の確認、昼食サポート
13:00 昼食、休憩
14:00 医師の回診同行
16:00 嚥下検査
17:00 カルテ記載、情報共有
そんな言語聴覚士の1日の流れとしては、出勤してすぐに理学療法士や作業療法士なども交えてミーティングを行い、仕事の準備をします。
その後は午前中に言語訓練や聴覚訓練を行い、患者の昼食時間に嚥下状態の確認やサポートを行っていくのです。
午後からは医師の回診に付き添ったり嚥下検査に回るなど目まぐるしく動き、勉強会がある時には参加するなど非常に忙しくて休む暇がないというのが言語聴覚士の仕事に対する本音だと言われています。
施設別の言語聴覚士役割とは
言語聴覚士は医療機関以外にも老健などの介護施設や福祉施設でも需要が高く、施設ごとに役割が異なっています。
小児科で働く言語聴覚士の役割
例えば医療機関の中でも小児科で働く言語聴覚士は、話すことや聞くことに障害を抱えている子供に対してのリハビリやサポートを行うことで、感覚やコミュニケーション能力を身につけさせるという役割があります。
そうすることで社会性を高め、障害を受け入れながら大人になっても自立して生活できる能力を養うことができるのです。
脳外科で働く言語聴覚士の役割
小児科以外には脳外科など脳に何らかの障害を受けてしまったために、言語障害や嚥下障害を起こしてしまう人も少なくありません。
そのような人たちに対する言語聴覚士の役割は、障害に対してのリハビリを行うことで日常生活への復帰の手助けとなることだと考えられています。
介護施設で働く言語聴覚士の役割
医療機関以外では老健などの介護施設で働く言語聴覚士も多いのですが、こちらの場合は施設によっては日常生活への復帰や自立支援が役割となることも多いです。
ただ介護施設に入所している高齢者に対しては、社会からの孤立を防ぐことや嚥下障害に関しては誤嚥などの二次的な被害を予防するという役割があります。
どの施設でも患者の心に寄り添うことが大切
そしていずれの施設や環境に置いても共通しているのが、障害というストレスに対してつらい思いを抱えている患者に寄り添うという役割です。
障害をサポートする立場だからこそ理解できるストレスやつらい気持ちに寄り添うことは、言語聴覚士だからこそ身につけておきたい心構えだと言えます。
言語聴覚士に必要な資格とは
言語聴覚士になるためには、国家資格である言語聴覚士が必要です。
言語聴覚士の合格率&資格取得方法
合格率がおよそ65%前後であることが多いので、難易度としては決して簡単ではないと言えます。
ただ非常に難易度が高いというわけではなく、きちんと必要な勉強をしていれば合格する確率を高くすることは可能です。
そんな言語聴覚士の国家資格を取得するためには、当然国家試験を突破する必要があります。
その国家試験を受けるための条件は、言語聴覚士の養成課程のある学校に通って所定の課程を修了することです。
そのため言語聴覚士向けの専門学校や大学に通うか、一般の大学を卒業してから専門の養成所に通うコースが一般的だとされています。
言語聴覚士になるための費用とは
学校に通う場合に気になる学費ですが、どれくらいかかるのでしょうか。
専門学校(3年) … 約420万円
専門学校(4年) … 約500万円
大学 … 約600万円
3年生の専門学校でおよそ420万円、4年制の専門学校でおよそ500万円程度です。
大学に通う場合はおよそ600万円ほどの学費がかかるので、費用を抑えたい場合は専門学校の利用がおすすめだと言われています。
ちなみに通信教育のみで言語聴覚士の資格を取得することはできないため、社会人になってから資格取得を目指すのであれば夜間家庭の学校を利用するという方法もあります。
その場合でも実習は昼間に行われることが多いところが注意点です。
言語聴覚士の給料&年収
言語聴覚士の給料や年収は、ほかのリハビリテーション関連の職種と比較するとやや安い傾向が見受けられます。
言語聴覚士の平均年収
下記は平均的な年収となっています。
平均年収 … 約400万円~500万
手取り … 約21万円~22万円
初任給 … 約18万円~20万円
年収に関しては平均して400万円前後、高くても年収500万程度となっています。
このため手取りに関しても21万円~22万円程度が平均とされているため、決して高い給料ではないことがうかがえます。
初任給に関しても平均で18万円~20万円ほどが相場となっているので、給料や年収に関しては福利厚生などを含めて条件に合うところを探すことが大切です。
そもそもこのように言語聴覚士の給料が安い理由としては、看護師と違って夜勤や土日勤務がないという点が挙げられるようです。
職場によっては高い給料が期待できることも
ただどのような環境でも安いというわけではなく、病院勤務なのか介護施設勤務なのかなど、勤務している職場によって大きく変動しやすいという特徴を持っています。
特に福利厚生に関しては福祉施設だと医療職手当などほかの職場ではつかない手当がつく可能性があることから、高い給料が期待できるようです。
さらに訪問看護やデイサービス、リラクゼーション院などの形で独立することができれば年収1000万稼ぐことも決して難しくないと考えられています。
そのため言語聴覚士として高い年収を稼ぎたい場合は、最終的に独立することが推奨されています。
言語聴覚士本音あるある
ここでは、言語聴覚士が体験している本音あるあるや、向いている人&向かない人について紹介していきたいと思います。
言語聴覚士あるある
実際に働いている言語聴覚士の本音あるあるとして下記のようなものが挙げられます。
- ストレスが多い
- 需要のわりに供給が少なく仕事が忙しすぎる
実は言語聴覚士は求められている職場が広がっているにもかかわらず、求人が少ない傾向が続いています。
そのため働きたいと思っている環境で仕事を見つけられなかったり、職場の言語聴覚士が1人だけで全ての患者を抱えなければいけないということも少なくありません。
このため常に膨大な仕事を抱えることになってしまい、ストレスで体調を崩したり後悔してしまう人もいるようです。
言語聴覚士に向いている人&向いていない人
それでもやりがいはありますし、今後も需要が高まっていくと予想されているため社会的意義のある職種です。
向いている人
- 心と体のバランスが安定している人
- 相手に対する共感力のある人
向かない人
- コミュニケーションが苦手な人
- 活舌・発音が得意ではない人
そんな言語聴覚士に向いている人の傾向としては、心と体のバランスが安定している人や相手に対する共感力のある人だとされています。
逆に向かない人の傾向としては、コミュニケーションが苦手な人や活舌・発音が得意ではない人が挙げられます。
特に活舌や発音は、障害のある人に対してお手本になることができないので意識して改善していかなければいけません。