臨床工学技士とはどんな仕事?
臨床工学技士とは、医師をサポートするためにさまざまな生命維持装置の管理・操作を行う仕事です。
たとえば、人工呼吸器や人工透析などを操作しています。
また、AEDや除細動器などをメンテナンスして、必要な時にはいつでも使えるように管理しています。
いわば医療機器のスペシャリストなのです。
直接患者の治療をする仕事ではありませんが、臨床工学技士がいなければ適切な治療を施すことはできないため、なくてはならない仕事だといえるでしょう。
向いている人1 縁の下の力持ちとして働きたい人
臨床工学技士は、患者を救う医師や看護師などを支える存在になっています。
間接的に患者の命を救うことができるので、縁の下の力持ち的な仕事をしたい人に向いているでしょう。
向いている人2 チームで働くことが好きな人
さらに、チームで働くことが好きな方にも向いているといえます。
治療にあたる時には医師や看護師と連携することが何よりも大切なので、チームで力を合わせて患者の命を救えた時には非常に大きな達成感を味わえます。
やりがい1 患者が回復したり感謝されたりすること
また、場合によっては臨床工学技士も患者と直接コミュニケーションを取ることもあります。
その中で感謝されたり患者が回復したりすると、大きなやりがいを感じられるのです。
やりがい2 知識をつけて自分自身を成長させること
それから、最先端の医療機器を扱うためには常に勉強を続けることが必要です。
知識をつけて自分自身を成長させることにやりがいを感じる人も多くいるようです。
臨床工学技士の年収は?
臨床工学技士として働くことを目指す場合、給料について気になる方は多いですよね。
臨床工学士の年収
下記は臨床工学士の年収相場になります。
臨床工学技士年収 … 約450万円
臨床工学技士の年収は400~600万円程度で、平均年収は450万円くらいです。
日本人の平均年収よりもやや高いといえますが、女性の場合はこれより低いことも多いです。
また、現実的には勤務場所によって給料に大きな差があります。
たとえば大規模な病院や国立病院であれば安定していますし、年収も比較的高いです。
しかし小規模な病院やクリニックの場合は、それほど高くないケースもあります。
もっと年収を高くするためには
さらに、手当の有無などによっても異なります。
夜勤がある病院や透析クリニックなどの場合は、夜勤手当や透析勤務手当がつく可能性が高いので、その分給料も上がるのです。
また、一般的には専門学校卒よりも大卒のほうが初任給が高いことが多いでしょう。
それから、病院ではなく医療機器メーカーに勤務する場合はさらに高い年収も目指せます。
特に外資系の場合は給料が高い傾向にあり、場合によっては700~800万円ほどの年収を得ている人もいます。
英語が得意な場合や病院で経験を積んだ場合は、外資系の医療機器メーカーへの転職を考えてみてもいいでしょう。
さまざまな方法でキャリアアップすることができます。
臨床工学技士になるには?
臨床工学技士になる方法はいくつかあります。
資格取得方法1 専門学校へ進学する
1つ目は、専門学校に進学する方法。
3年制の専門学校に通うことで短期間で知識を身に付けることができるので、若いころから現場で活躍することが目指せます。
ただし短期間で学ばないといけないため忙しく、スケジュール管理は少し難しいでしょう。
場合によっては自分で復習や予習をする必要もあり、バイトや遊びなどにあてる時間が少なくなりがちです。
資格取得方法2 短大へ進学する
2つ目は、短大に進学する方法。
専門学校と同じく3年かけて学び、短期間なので忙しいことが多いです。
また、そもそも臨床工学技士を目指せる短大は少ないため、短大への進学を選ぶ人は多くありません。
資格取得方法3 国立大学や私立大学へ進学する
3つ目は、国立大学や私立大学に進学する方法です。
4年間かけて余裕を持って学ぶことができますし、就職する時に有利になる可能性もあります。
ただし、専門学校や短大よりも働き始める年齢が高くなり、学費も高い傾向にあります。
臨床工学士の国家試験合格率とは
そして臨床工学技士になるためには、国家試験に合格して免許を取得する必要があるのです。
なお、試験の合格率はだいたい80%前後であり、難易度はそれほど高くないでしょう。
もちろん学校にきちんと通って勉強することは必要ですが、他の国家試験と比べても特別難しいわけではありません。
臨床工学技士の仕事はきつい?
臨床工学士の仕事がきついと感じている人の理由について紹介したいと思います。
理由1 人手不足をカバーするため休みが少ない
臨床工学技士の人数はそれほど多くはなく、病院によっては人手不足の状況が続いているのが現実です。
そのため人手不足をカバーするために残業が多いケースや休みが少ないケースもあり、場合によっては離職率が高くなることも考えられます。
医療職はあまり連休が取れない仕事だといわれていますが、臨床工学技士も例外ではありません。
よって、仕事がきついと感じる人もいるのです。
理由2 他のスタッフとのコミュニケーションを上手く取らなくてはいけない
さらに臨床工学技士は他のスタッフとの連携も必要な仕事なので、人間関係がよくない現場では働きにくいといえます。
医師や看護師とうまくコミュニケーションが取れなければ、きついと感じることもあるでしょう。
理由3 責任が重く常に緊張感がある
また、臨床工学技士はとても責任が重い仕事です。
医療機器の操作を失敗してしまうと患者の命を危険にさらしてしまうかもしれませんよね。
それゆえ常に緊張感を持つ必要があり、この仕事が向いていないと感じる人もいます。
理由3 将来性の不安がある
さらに、将来性がないと言われることもある仕事です。
医療機器は技術の進歩によってどんどん進化しており、機械が自ら判断したり学習したりするようになっています。
よって、人間が操作する必要がなくなる日が来るかもしれません。
その結果、今のうちに転職しておこうと考える人もいるのです。
臨床工学技士はいらない!?
臨床工学技士の仕事は、医療機器の進化によって将来的に無くなるかもしれません。
一般的なロボットと同じく、医療機器においても人の手が要らなくなる可能性があるからです。
ただし、医療機器は直接人間の命に関わるものです。
従って、すぐに臨床工学技士の仕事が無くなるとは言い難いのではないでしょうか。
やはりどこかで人間の手が必要とされることはあるでしょう。
臨床工学士の知識や技術は転職先の選択肢がある?
ただし、仕事内容がきつい場合や就職難になるのが怖い場合は、転職することも考えてみてください。
病院で働いたことがある経験や医療機器を操作することができる能力を活かして、治験コーディネーターや医療機器メーカーなどで働くという選択肢が考えられます。
さらに、病院の中で医療機器を操作するだけでなく、今後は医療機器そのものの開発や研究に関わることができるチャンスがあるかもしれません。
そうすれば活躍の幅を広げることができますし、将来性もあるでしょう。
DMAT(災害派遣医療チーム)の臨床工学士として活躍の可能性
また、DMAT(災害派遣医療チーム)の臨床工学技士として活動するという選択肢もあります。
災害の被害を受けた地域に派遣されたら、限られた機材などを使って医療を提供しなければいけません。
そんな時、臨床工学技士が持っている知識や技術は大きく役立つといえます。