介護福祉士の試験内容とは?
介護福祉士はいくつかある介護系資格の中で唯一の国家資格です。
介護福祉士国家試験は筆記試験と実技試験で構成されています。
筆記試験
筆記試験は全125問のマークシート形式で行われ、午前と午後に分けて実施されます。
筆記試験の試験時間は午前と午後それぞれ110分です。
実技試験
実技試験は筆記試験を合格した人のみ受験することができ、ベッドでの体勢変更や身体に麻痺がある人の移乗などを行います。
実務者研修の修了者などの場合、実技試験は免除されることもあります。
実技試験の試験時間は受験者一人につき5分です。
試験日
介護福祉士国家試験は年に一度、1月の後半頃に実施されます。
2020年の試験日は、筆記試験が1月26日、実技試験が3月1日に行われました。
ちなみに、合格発表は2020年3月25日に行われました。
試験会場
筆記試験の試験会場は全国の主要な都道府県34カ所で、実技試験の試験会場は東京と大阪のみで行われます。
受験資格
介護福祉士国家試験を受験するには、実務経験や福祉系高校などの修了が条件です。
受験者の中で多数派なのは、介護施設などで3年以上かつ540日以上の実務経験を持っていて、実務者研修や介護職員基礎研修を受けている人です。
このような人以外にも、福祉系高校の介護福祉士受験を想定したカリキュラムを履修して卒業した人や、介護福祉士養成施設を卒業した人も受験できます。
介護福祉士試験の難易度とは?
介護福祉士国家試験の合格率は、他の国家資格の合格率と比較すると高い傾向があります。
第1回の合格率は高くなかった
介護福祉士国家試験は比較的合格率が高いため、「誰でも受かる」とか「実務経験が3年以上ある人には簡単すぎる」などと評されることもあります。
しかし、1989年に行われた第1回の介護福祉士国家試験の合格率はわずか23.2%でした。
つまり、受かった人よりも落ちた人のほうが圧倒的に多かったのです。
現在は高い合格率
その後、介護福祉士国家試験の合格率は1991年に行われた第3回の試験以降、2011年頃までは50%前後で落ち着いていました。
それ以降の合格率は60%前後となっていましたが、2017年以降は70%前後という高い合格率になっています。
ちなみに、2020年に行われた第32回の試験の合格率は69.9%で、受験者数が84,000人程度であったのに対し、合格者数は58,700人程度でした。
合格率とその推移を見ると、介護福祉士国家試験は比較的合格しやすい資格であり、2017年以降はその傾向がより強まっています。
したがって、介護福祉士資格は、正しい努力を重ねれば手の届く資格と言えるでしょう。
油断せず勉強すること
筆記試験においては、十分な実務経験を重ねている人であれば、すんなり答えを導き出せる問題も少なくありません。
また、問題文を読み込むことで自ずと正解が見えてくるような問題もあります。
さらに言えば、筆記試験は5つの選択肢から正しいものを選ぶマークシート方式であるため、消去法を用いればある程度正解に近づくことも可能です。
しかし、過去の合格率が100%でない以上、残念ながら不合格になる人もいるので、油断せずに勉強を進めることが肝心です。
介護福祉士試験は何点で合格なの?
筆記試験も実技試験も実施した年の問題の難易度によって補正がかかるため、一概には言えませんが、介護福祉士国家試験の合格ラインは、どちらの試験も満点中60%程度と言われています。
筆記試験の合格ライン
全部で125問が出題される筆記試験に関して、2017年から2020年の合格のボーダーラインは75~77点となっています。
そのため、確実に合格を狙うのであれば、安定して80点以上の合格点を獲得できるように勉強すると良いでしょう。
全ての科目で正解しなければならない
筆記試験においては、出題されるすべての科目で最低1問は正解していなければ不合格になります。
すなわち、いくら全体でボーダーラインを優に超える高得点を獲得したとしても、1問も正解を出せない科目があった場合には不合格になるということです。
筆記試験の出題科目
筆記試験の科目は下記のようになっていて、幅広く出題されるのが特徴です。
「生活支援技術」
「社会の理解」
「介護過程」
「発達と老化の理解」
「認知症の理解」
「障がいの理解」
実技試験のボーダーライン
そして、筆記試験に合格した人のみが受験できる実技試験に関しては、2017年から2020年の合格のボーダーラインは46点台後半~60点となっています。
例年の介護福祉士国家試験では、実技試験の時間は5分と設定されています。
この制限時間内に課題となっている介護内容を行わないと、いくら中身が充実した実技を披露したとしても得点にはなりません。
介護福祉士試験に受かるコツとは?
介護福祉士国家試験の合格を目標に勉強するときは、過去問を中心に取り組むのが鉄板です。
過去問に挑戦する
これは介護福祉士試験に限ったことではありませんが、過去問に積極的に挑戦することで、その試験の出題傾向がだんだんと見えてきます。
そうなれば、試験合格のために「今の自分に足りないもの」が自ずとわかってくるでしょう。
このような状態になれば、その足りないものを埋めるための勉強ができるようになり、学習がより効率的になるのです。
間違った問題をまとめ復習する
また、過去問や問題集で間違った問題をノートにまとめ、定期的に復習するのもおすすめです。
人は、学習したことを定期的に復習しないとどんどん忘れていく生き物である、と言われています。
間違ってしまった問題はもともと正しい知識をインプットできていないので、しっかりと頭に入っている知識以上に復習が必要になります。
知識を定着させるには、インプットした1日後、1週間後、2週間後、1カ月後、2カ月後と定期的に復習する機会を作ることが重要です。
このような取り組みを実践すれば、特別な暗記法を用いなくても試験の合格に必要な知識を習得できます。
介護動作を繰り返し練習する
実技試験に関しては、家族や友人に協力してもらい、介護動作を繰り返し練習することが大切です。
練習するときのポイントは、被介護者役の人とコミュニケーションを取りながら行うこと。
なぜなら、試験では被介護者への接し方やコミュニケーションの取り方もチェックされるからです。
笑顔や声掛けを忘れずに練習することで、試験本番でも試験官に好印象を与える実技ができるようになります。
介護福祉士の試験に落ちた場合は?
介護福祉士国家試験の合格率が他の国家資格とくらべて高いとはいっても、合格率は100%ではありません。
したがって、どうしても試験に受からない人は出てきてしまいます。
落ちた原因を分析する
諦めずに来年も試験にチャレンジするのであれば、まず試験に落ちてしまった原因を分析するのが大切です。
よくある不合格の原因の一つに、勉強時間を十分に確保できなかったというものがあります。
介護福祉士試験を受ける人の多くは、現場で働いている介護職員です。
このような人は仕事と勉強を両立する必要があり、十分な勉強時間の確保が受験勉強の最大の課題になります。
勉強時間を確保する
勉強は工夫次第で効率を上げることも可能です。
しかし、いくら効率を上げたとしても、勉強時間を捻出できないようであれば、試験の合格に必要な知識を身につけるのは難しいでしょう。
忙しい毎日の中に試験勉強をねじ込むのは大変ですが、少しでも多くの時間を勉強に当てられるように工夫するのが大切です。
勉強の効率を上げる
また、勉強時間を確保できてもその勉強が非効率であれば、介護福祉士試験に受かるのは難しいかもしれません。
例えば、知識のインプットに偏った勉強は効率が悪い勉強法と言えるでしょう。
なぜなら、インプットだけを行うよりもアウトプットを並行して行ったほうが、より多くの知識を頭に定着させられるからです。
試験勉強をする際は、暗記だけでなく定期的に問題を解くなどのアウトプットも行いましょう。
緊張しすぎない
そして、実技試験に関しては、試験本番のときに緊張してしまって実力が発揮できず、不合格になってしまうという人もいるでしょう。
なかなか試験本番での緊張をゼロにするのは難しいものです。
しかし、繰り返し介護動作の練習をすることで、ある程度緊張を和らげることができます。
あとは「試験なのだから緊張して当たり前」と腹をくくって本番に挑みましょう。