訪問入浴看護師は医療行為できるの?
看護師は医師の業務をサポートするなど医療行為に従事する仕事です。
そのため、訪問入浴看護師も医療行為ができるイメージがあります。
本格的な医療行為はできない
実際は看護師であっても従事できる仕事は入浴の介助作業に限定されているので、医療行為に携わることはできません。
入浴時にカテーテルなどの医療器具を保護することは可能ですが、チューブを交換したり痰を吸引するなど本格的な医療行為はNGとされています。
厚生労働省が定めた取り決めでも、訪問入浴はあくまでも生活に関する介護サービスの一種であり、医療機関が手掛ける医療行為は実施できないとされているので注意が必要です。
訪問入浴看護師の仕事内容
看護師という名称ですが、仕事内容は介護士とほぼ変わらないと言えるでしょう。
訪問入浴の仕事は当日のスケジュール管理から始まります。
利用者の数に応じて用意するお湯の量や道具の数が変わるためです。
指定した時間に利用者の住宅を訪問し、適温まで温めたお湯を専用の浴槽に満たします。
利用者の体を支え、気持ち良くお湯に浸かってもらうのがもっとも重要なポイントと言えるでしょう。
体を酷使する仕事
体の支え方や温水がもたらす体への刺激などの知識が必要な他、自身の体に負担をかけない介助の方法も学ぶ必要があります。
体を酷使するきつい仕事なのは否定できない事実なうえ、住宅の構造によっては介助用の道具が使えないこともあります。
そのため、利用者の住宅に合わせた介助のスタイルを確立することも重要なポイントと言えるでしょう。
訪問入浴の急変に焦らないために
訪問入浴の仕事に従事する場合、利用者の体の具合には細心の注意を払わなければいけません。
特に高齢者の場合、温水に浸かったことで急激に体温が上昇し、体調不良に陥るおそれがあります。
不測の事態に遭わないためには、浴槽に用いるお湯の温度調整や設備の扱い方を熟知することが大切です。
お湯の温度管理に気を配る
訪問入浴のお湯はどこから調達するかで対処の方法が変わります。
利用者の住宅の水道からお湯を取る場合、温度管理には十分に気を配らなければいけません。
水道水を温める設備は住宅ごとに異なるので、扱い方を誤ると思わぬトラブルに見舞われます。
設備の指示書があれば内容を遵守し、仕組みを理解したうえで扱うのが正しい対処法でしょう。
介護施設からお湯を持ってくる場合は、予め適温に調節しておけば大きなトラブルに見舞われるリスクが少ないと言えます。
疲労がたまらないよう慎重に判断する
訪問入浴には週何回と明確な決まりは存在せず、利用者の都合や予算に応じて決めるのが普通です。
体を清潔に保つなら入浴の回数は多いほど良いと言えますが、その一方で入浴は疲れやすいのも事実です。
高齢者は疲労が溜まると体調不良に陥りやすくなるので、衛生管理と体の具合を照らし合わせたうえで慎重に判断するのが看護師の務めになります。
訪問入浴看護師メリット&デメリット
訪問入浴看護師として働くメリット・デメリットを紹介します。
メリット1 夜勤がほとんどない
訪問入浴看護師として働くメリットとして、夜勤がほとんど無い点が挙げられます。
医療機関で働く看護師はその多くが一定期間ごとに勤務時間帯を変更するシフト勤務です。
夜勤では昼夜逆転の生活になるので心身の疲労が溜まりやすく、体調不良に陥る可能性もあります。
メリット2 医療行為が存在しない
医療行為に従事することで緊張を強いられるのも医療機関で働く看護師ならではの悩みでしょう。
その点、訪問入浴の仕事はそのほとんどが日中である他、医療行為も存在しません。
訪問入浴の仕事は利用者の安全を最優先する仕事なので、常に利用者の状態に気を配る必要がありますが、その点についても医療機関における患者への介助作業とほぼ同じです。
訪問入浴の仕事に向いている人は看護師としての基本的な心得を持ち、気配りができる共通点があります。
デメリット1 自身の体への負担が大きい
前述のようなメリットがある一方で、自身の体への負担が大きい、きつい仕事と言う事実は否定できません。
利用者の衣類の着脱させることや、利用者を浴槽まで移動させることがあります。
中には体重が重い利用者や、身体が動かせない利用者もいます。
しかも、1日に数件こなさなければならないので、体力を使うきつい仕事と言えるでしょう。
デメリット2 直接クレームを受ける
また、入浴をサポートする際に支え方が悪いとクレームを入れられたり、時には暴力を振るわれるなどのトラブルを体験するケースもあります。
訪問入浴は利用者の体に直接触れることも多く、少しでも力加減を誤ると利用者に不快な思いをさせてしまうのも注意点の一つです。
仕事を辞めたいと悩む人は、利用者から直接クレームを受けたケースが少なくありません。
不満の声を直に聴いてしまうのが訪問入浴の仕事に従事するデメリットと言えるでしょう。
訪問入浴看護師の給料とは
一般的に看護師は高給取りの仕事と言われています。
専門職であり、夜勤や休日出勤が多いことが高収入の理由ですが、訪問入浴の仕事に従事する看護師の場合は雇用形態によって金額が大きく変わります。
医療機関で働く看護師よりやや低い
介護施設の正社員として働く場合、年収は平均すると約350万円です。
月収換算では月に約30万円ほどになります。
これは医療機関で働く看護師とは異なり、割増賃金が支払われる夜勤が非常に少ないためです。
長時間勤務もほぼ無いため、同じ看護師の名称でも訪問入浴の仕事に従事する場合は収入がやや低くなります。
勤務する介護施設によっても待遇が異なるので正社員として働く際は注意が必要です。
派遣で働くポイント
派遣の形態で働く場合、同じ仕事内容で時給に差が生じることがあります。
派遣会社によって時給の設定額が異なるので、できるだけ高額な金額を提示する所を選ぶのが稼ぐ秘訣と言えるでしょう。
しかし、高額な時給を提示している所は経験者を優先するなど条件を設けていることがあります。
また、時給単価は高いものの勤務日数が少ないケースもあるので単純に金額だけでは判断できません。
時給単価だけで即決せず、勤務日数や雇用期間などを確認したうえで慎重に判断することが長く働き続けるための秘訣です。
▼看護師の給料についての記事はこちら
訪問入浴看護師バイトに求められること
どのような仕事も正社員とバイトは求められる知識や技能に違いがあります。
訪問入浴の仕事も同様ですが、利用者の安全を第一に考えて働く姿勢は正社員もバイトも関係ありません。
利用者への配慮を忘れない
仕事上の役割の違いはありますが、利用者への配慮を持ち続けることが働く人に求められる姿勢と言えるでしょう。
派遣の人は使えないと酷評されることがありますが、派遣だから役に立たないのではなく訪問入浴の仕事に必要な知識や心得が不足していることが批判の理由です。
バイトだから責任のある仕事には関わらないという考えではなく、バイトであっても利用者への配慮を忘れず真摯に仕事へ取り組む姿勢を持つことが重要と言えるでしょう。
十分な休息を取る
バイトとして働く場合、非常に多忙な仕事のために今まで体験したことが無い疲労やストレスに見舞われることがあります。
入浴の介助作業の仕事は利用者の安全確保もさることながら、自身の体も労わらなければ長続きしません。
長く働くためには介助作業の正しい手順を熟知し、疲労を溜めないように十分な休息を取ることが何よりも重要です。
分からないことを放置しない
分からないことをそのまま放置すると重大なトラブルに発展するおそれがあります。
速やかに上司へ相談して解決することが仕事の質を向上させるための必須条件です。