夜勤は不眠になりやすい?
24時間、患者さんの命を預かる看護師は、日勤だけでなく夜勤もなくすことはできない大切な業務です。
急患や入院患者の対応を行うためには24時間の交代勤務をとる必要があります。
不眠になりやすい原因とは?
夜勤の多くは夕方から翌朝までの勤務になり、心身に負担がかかるため夜勤前や夜勤中にはしっかり仮眠をとって疲れをとらなくてはいけません。
不眠の原因
- 睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌
- 寝だめなどの生活サイクルの乱れ
- 身体的、精神的なストレス
体には体内時計があり朝日を浴びると14〜16時間後に睡眠ホルモンのメラトニンが分泌され眠りに導いています。
この体内時計の影響で夕方からの夜勤前に眠ろうとしてもなかなか眠ることができません。
逆に夜勤中は体内サイクル的には眠りやすくなっているはずですが、勤務中のため直前の患者さんの状態や仮眠明けにしないといけない手順などを考えて憂鬱になりスムーズに眠れないのです。
夜勤前や夜勤中の仮眠が不足すると睡眠時間が減ってしまいます。
夜勤明けに寝だめをすると生活サイクルがさらに乱れることになります。
寝だめは疲労が解消されにくいだけでなく、睡眠不足解消には役立たないともいわれています。
夜勤明けでもいつも通りの時間に眠って生活サイクルを整えるようにしましょう。
夜勤をしていない人でもストレスで睡眠不足になることがありますが、精神的にも身体的にもストレスがかかりやすい夜勤は睡眠障害になりやすいのです。
看護師の平均的な睡眠時間は?
健康のための理想的な睡眠時間は何時間なのでしょうか?
睡眠時間の基準値
理想的な睡眠時間の基準は7時間といわれていますが、看護師の平均睡眠時間は6時間の人が多いそうです。
理想的な睡眠時間 7時間
看護師平均睡眠時間 6時間
夜勤前の睡眠時間 6時間以下
これは勤務形態だけでなく、他の業種の女性と同じように家庭環境に影響されることもあります。
しかし、昼間に働いている人と異なっているのが看護師独特の勤務形態「夜勤」です。
夜勤前の睡眠時間については6時間以下という人が多いようです。
仮眠のタイミングとは
睡眠のタイミングも乱れるため仮眠をしっかりとって崩れた眠りのバランスを整える必要があります。
また、仮眠と一言でいっても重要なのが夜勤前の仮眠より夜勤中の仮眠です。
サーカディアンリズム(体内時計)
22時~6時が疲労回復効果が高い為、その間に仮眠をとる。
人の体はサーカディアンリズム(体内時計)によって22時~6時の間は、新陳代謝が活発になり疲労回復効果も高いといわれています。
短時間の仮眠であっても22時~6時の間に仮眠をとる方が勤務中の疲労回復には効果的なのです。
ある看護師を対象にした調査では、夜勤中の1時間の睡眠は夜勤前の2時間の睡眠と同等の疲労回復効果があるという結果になりました。
夜勤は2時間ほどの休憩があるので、夜勤前の仮眠は2時間くらいがおすすめだといえます。
(夜勤中の仮眠2時間) + (夜勤前の仮眠2時間) = 4時間
4時間 = 6時間の睡眠
上記のように、夜勤中の仮眠2時間(夜勤前の4時間分の疲労回復)+夜勤前の仮眠2時間、計4時間は、6時間の睡眠を取った時に近い疲労回復が期待できます。
夜勤前であっても寝だめは体のバランスを崩すだけでなく、眠りの質も悪くなってしまうので気をつけましょう。
夜勤を乗り越える睡眠方法とは?
夜勤を乗り切る方法として一番重要なのが睡眠です。良質な睡眠のために必要なものを紹介します。
入浴で体の温度を整える
良質な睡眠のためには、皮膚の温度が高く、体の中の体温が低い状態にすることが重要です。
体の奥の熱を発散するのにおすすめなのが入浴です。
睡眠の90分前にお風呂にはいることで皮膚の温度が高く、体の芯の温度が低い状態に体を整えることができるのです。
注意点 仮眠の前にはシャワー
昼に仮眠をしておくことは、疲労回復にはかかせないのですが、時間がない昼間にじっくり湯船につかっていると体温を下げる時間がとれないので逆に眠りにつきにくくなります。
仮眠の前にはシャワーですませることで体温の上昇を抑えて早く眠りにつくことができます。
部屋を落ち着いた空間にする
部屋の中を暗くしてカーテンや寝具は落ち着いたカラーのものを使うようにしましょう。
また、アロマなどリラックスできる香りを用意しておくなど、良質な睡眠をとれる自分なりの睡眠方法を見つけておくこともおすすめです。
夜勤前の過ごし方
- 生活リズムをいつもと変えない
- 目覚めたら炭水化物が多い食事をする
夜勤前の過ごし方としては、生活リズムをいつもとあまり変えないことが疲れを貯めない体にも繋がります。
今日は夜勤だからとお昼や夕方までだらだらとベッドで過ごしたりせずに、朝も一度いつも通りの時間に起きてから夜勤の前に昼寝時間として仮眠をとることがおすすめです。
仮眠から目覚めたら炭水化物が多い食事でエネルギーを蓄えておきましょう。
仮眠のコツとは?
睡眠には浅い眠りの「レム睡眠」と深い睡眠の「ノンレム睡眠」が繰り返す約2時間のサイクルがあります。
「ノンレム睡眠」中に目が覚めてしまうと起床時に体が重かったりするので、仮眠2時間ほどが最適時間だといえます。
仮眠のしやすい睡眠環境とは
夜勤中の仮眠は、場合によっては2時間連続で時間をとれないこともあるので、睡眠環境を整えて深い睡眠をとれるようにしておきましょう。
- 外の音が聞こえない静かな場所
- 寝返りがうてるスペース
仮眠の場所は部屋の外の音があまり聞こえないリラックスできる個室が理想的ですが仮眠専用のスペースがない病院もあります。
無理な姿勢で寝てしまうと疲れをとることができません。
仮眠をとるときには寝返りがうてるスペースをしっかり確保しましょう。
仮眠の注意点ポイントとは
- スッキリする目覚ましを用意する
- 寝る前はブルーライトを見ないようにする
- 最適な仮眠時間を守る
仮眠の時に起きる方法としておすすめなのがスマホのアラームですが、スマホの音では起きられない人はいつも家で使っている目覚まし時計を持ち込むなど、スッキリ起きられる方法をみつけておきましょう。
また寝る前についついスマホで動画をみたりしてしまうと、ブルーライトの影響で眠りにつきにくくなるので気をつけてください。
家で仮眠をとっている時に困るのがついつい油断して寝すぎることです。
仮眠はとりすぎても生活リズムが乱れてしまうので最適な仮眠時間を守りましょう。
おすすめ睡眠グッズとは?
快眠グッズを利用して快適な睡眠が取れるようにしましょう。ここではおすすめの快眠グッズを紹介します。
枕
特に枕は眠った時にも自然に立っている時と同じように脊柱のS字カーブが保たれるものを選ぶ必要があります。
仰向けで寝ていても横向きになっても体に無理がかからない枕を選ぶようにしましょう。
横向きに寝る方が楽な人は体圧を分散させる抱き枕などもおすすめです。
目元用のマッサージ器
安眠効果のあるグッズとして人気なのが目元用のマッサージ器です。
適度なマッサージで目元の血行を促してリラックスできます。
ホットマスク
ホットマスクも人気が高いアイテムです。
ホットマスクには便利な使い捨てタイプもあるので、夜勤中の仮眠にも使いやすいとの声があります。
プロジェクター/音楽
また、リラックス効果のある音楽をかけて眠るのもおすすめですが、音楽といっしょに天井や壁に星や自然などの映像を映し出してくれるプロジェクターなら癒し効果もあります。
プロジェクターは、おしゃれなものだけでなく、保育園や赤ちゃんの寝室などでも使えるかわいいデザインのものもあります。
光のメトロノーム
ほかにも、慢性的な不眠症に悩んでいた人が開発した光のメトロノームは、光に合わせて呼吸を繰り返していくうちに眠ってしまうそうです。
深呼吸はヨガと同じように自律神経を整える効果があるのでおすすめです。
アイマスク/耳栓
もし、音や光が苦手ならアイマスクや耳栓がおすすめです。
睡眠用のアイマスクには動物の目がついたおもしろいものもいっぱいあるので楽しく眠れそうなアイマスクを見つけましょう。