看護師と介護福祉士の違いとは?
看護師と介護福祉士は、簡単に言うと担当する業務内容が異なります。
看護師と介護士の業務は、一部共通している部分もあります。
ただし、両者の仕事内容はまったく同じではありません。
実際、看護師にできて介護福祉士にできないこと、介護士にできて看護師にできないことは多々あります。
看護師は医療の専門職
看護師は、医師や理学療法士といった職種と同じく医療の専門職です。
看護師の仕事の特徴として、医師を補助する役割を持っていることや、患者の採血なども看護師が担当できることなどがあります。
そのため、資格取得をするときには解剖学などもひと通り勉強することが必要です。
介護福祉士は介護に特化している
介護福祉士の場合は、介護に特化した領域を主に習得します。
介護の技術や生活支援のアプローチ、コミュニケーションといった実際の介護の現場で求められる内容を勉強して、国家試験を受けるのがこの職種に就くときの一般的なルートです。
介護福祉士は医療行為を担当できない
介護福祉士も高齢者に多い認知症などの一部の病気や障害、老化については医学的な領域にも踏み込んで勉強をします。
ただ、習得する医学的な知識は一部に限られます。
そのため、介護福祉士は医療行為を担当することはできません。
現実の業務では、看護師が注射や胃ろうのカテーテルの調整などの医療行為を担当し、介護福祉士は食事や排せつの介助、機能訓練のサポートなどをおこなうケースが多いようです。
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看護師は介護士を見下している?
介護福祉士には、看護師に対して「嫌い」や「偉そう」などのネガティブな感情をもっている人も少なからず存在します。
このような感情が生じてしまう背景には、現実の職場における看護師と介護福祉士の対立関係があります。
看護師がリーダーとなるケース
実のところ、「看護師から見下されている」と介護福祉士が感じるかどうかは、職場の人事やお互いの人間関係によっても変わるようです。
看護師が介護福祉士を見下す理由として多いのが、職場での立場の違いです。
職場によっては、医療知識がある看護師がリーダーになってチームで介護をおこなうケースがあります。
この場合、一般的にはリーダーである看護師が介護福祉士に指示をして仕事をする形になります。
介護福祉士の扱い方によるトラブル
看護師によっては、指示をだす介護福祉士をつい部下として扱ってしまうこともあるようです。
老人介護施設などでは、下記のような理由で、介護福祉士が看護師に反感を抱くトラブル事例が少なくありません。
「看護師から雑用を押し付けられた」
「リーダーからパワハラを受けた」
看護師は、機能訓練などを行う際にも中心的な役割を担います。
こういったケースでも、看護師から指示を受けて訓練をおこなう介護福祉士が、相手の言動から格差を感じてしまう場合があります。
給与や待遇面で見下す
また、看護師の方が給与や待遇の面で上回っていることが多く、その点から介護福祉士を見下す態度をとってしまう場合があります。
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看護師から介護福祉士になるには?
看護師には、新たに介護福祉士の資格取得を目指す人もいます。
なぜ介護福祉士の資格取得を目指すのか
このような転身の理由で多いのが、「仕事の領域を広げたい」や「高齢者の介護にもっと携われる仕事をしたい」などです。
看護師、介護福祉士の両方の資格をもっていると、医療的な処置、介護サポートの業務がスムーズにこなせるようになります。
実際、移乗介助などの介護のテクニックを学べば、高齢者のケアが楽にできるようになるかもしれません。
職場や働き方を選ぶことができる
「職場の選択肢が増える」や「いろいろな働き方ができる」なども、看護師が介護福祉士の資格をとる理由のひとつです。
専門資格を取得して介護福祉士のポストに就けるようになれば、看護師を置かない介護施設やデイケアセンターなどで短時間のパートの仕事もできるようになります。
ワークライフバランスを意識して仕事をしたい看護師は、働きやすい環境を求めて介護福祉士への転身を考えるケースもあるようです。
研修が一部免除される
看護師が介護福祉士の資格をとるときには、介護職員初任者研修が免除されます。
また、介護職員実務者研修についても、看護師は一部の科目が免除となります。
比較的短い時間で介護福祉士の国家試験合格が目指せることは、働きながら転職をしたい看護師にとって大きなメリットになるでしょう。
介護士から看護師になる志望動機とは?
介護福祉士から看護師を目指す場合には、下記のような明確な志望理由をもっている人が多いです。
「高齢者に医療的なケアをしてあげたい」
「健康管理まで徹底してできるスキルを身に付けたい」
また、看護師の給与に惹かれたという理由で、転身を考えるようになった介護福祉士もいます。
転身を考え始めたきっかけはさまざま
介護士から看護師になった人は、働きながら専門学校に通うなどの努力を自分自身でおこなっているケースが少なくありません。
ちなみに、「看護師になりたい」と考え始めたきっかけはその人によってさまざまです。
以前から看護の仕事に興味をもっていた人もいれば、介護福祉士として働くなかで「看護師になりたい」という夢をもつようになった人もいます。
介護福祉士から看護師になれるルートとは?
介護福祉士から看護師を目指すときには、看護師養成学校や文部科学省認定の大学などを利用する方法があります。
また、准看護師の資格を取得して看護の実務経験を積むのも、介護福祉士から看護師になる際のひとつのルートです。
共通基礎課程の導入の検討について
2020年現在、厚生労働省では医療、介護の専門資格の共通基礎課程の導入を検討しています。
共通基礎課程が導入されると、看護師の国家試験の受験資格が得られるまでの期間が1年前後短縮される見込みがあります。
介護福祉士から看護師を目指す人は、厚生労働省の発表をこまめに見ておくと必要な対策がたてられるでしょう。
▼看護師の資格取得についての記事はこちら
ダブルライセンスのメリットとは?
看護師と介護福祉士のダブルライセンスをもっていると、いろいろなメリットが期待できます。
たとえば、職場で重宝される人材になれることです。
多様な仕事ができる人材として重宝される
看護師と介護福祉士の資格は、医療の現場で一目置かれることが多いです。
このような組み合わせのダブルライセンスがある人は、1人で医療と介護の両方の仕事がこなせる可能性がありますよね。
人手不足に悩む施設や病院では、多様な仕事ができる人材が必要とされています。
就職希望者が思うように集まらないときでも、ダブルライセンスをもつ人材がいれば支障なく業務が進められるでしょう。
資格手当がでる職場では、取得している資格の分だけ給与が上がるかもしれません。
それぞれの視点をもって仕事ができる
ダブルライセンスは、仕事をするうえでもメリットが期待できます。
2つの資格をもっていると、看護、介護の視点から状況が判断できます。
多様な視点がもてると、看護師と介護福祉士の意見が食い違って職場で対立が生まれてしまったときも、適切な対応ができるようになるでしょう。
立場や職種の違うスタッフに配慮しながら両者が納得できるような提案ができれば、職場を上手にまとめていくことが可能です。
このような実績が認められた場合は、職場での昇進も期待できるかもしれません。