栄養士と管理栄養士の違いとは?
栄養士と管理栄養士の違いはさまざまですが、まず挙げられるのが栄養士・管理栄養士と名乗るために必要な資格の違いです。
【違い1】必要な資格
どちらも条件無しでなれる職業というわけではなく、栄養士になるには高校卒業後、栄養士を養成する専門課程がある大学や短期大学、専門学校で課程を修得して卒業する必要があります。
管理栄養士の場合も同じく管理栄養士の養成課程がある学校に通うのですが、栄養士と違って課程を修得するだけではなく、国家試験に合格することが必要です。
たとえ管理栄養士養成施設を卒業したとしても、資格を有していなければ管理栄養士になることはできません。
【違い2】与えられた役割
必要な資格だけでなく、それぞれの職業に与えられる役割も少しだけ異なります。
管理栄養士とは、病気やケガの治療なども考慮した医学的な栄養管理を必要とされる職業です。
健康な人の栄養管理が主な役割の栄養士と比べると、管理栄養士の方がより専門的な役割になっていると言えるでしょう。
【違い3】給料
また、就職した際の給料についても違いがあります。
管理栄養士と栄養士は基本的に健康を維持するための栄養バランスを考える点では同じなのですが、管理栄養士は栄養士よりも知識が豊富で、経験がある人材になります。
そのため、栄養士よりも難易度の高い仕事をするようになる分、給料の水準も高くなっているようです。
▼栄養士の仕事内容についての記事はこちら
▼管理栄養士の仕事内容についての記事はこちら
管理栄養士の資格を取るメリットとは?
管理栄養士の資格を取るメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
メリット1 就職先の選択肢が増える
管理栄養士の資格を取るメリットは、就職先の選択肢が増えるというところです。
栄養士の就職先は、基本的に学校などの給食施設や、家庭科の先生などがあります。
管理栄養士の就職先も栄養士とそこまで違いはありませんが、栄養士が就職できるところ以外に、管理栄養士用の求人が用意されていることも珍しくありません。
メリット2 給料や賞与の金額が高い
また、同じ就職先でも管理栄養士の資格を持っていれば、給与や賞与の金額などが高く、就職した後の待遇も栄養士に比べて非常に良いです。
就職においては、資格を取るデメリットは特にないと言えるでしょう。
メリット3 栄養や健康に関する知識が得られえる
さらに、資格を取得する中で、栄養や健康に関するさまざまな知識を得ることができるのもメリットの一つです。
通常の栄養士とは違い、療養や治療を手助けするような栄養の存在だけでなく、食生活と健康の関係性についての知識も管理栄養士には必要となります。
管理栄養士を目指して試験勉強をする中で、生活に役立つ知識、人を助ける知識を身につけられるため、資格を取得する頃には豊富な知識で友人や家族の生活も支えることができる人材になれるというわけです。
もし管理栄養士の仕事に就かなくても、培った知識はさまざまな仕事において役立つことでしょう。
試験の受験資格とは?
管理栄養士国家試験は厚生労働省が実施する試験なので、誰でも受験できるわけではなく、受験するための条件などが細かく定められています。
受験を受ける方法には、大きく分けて二つあります。
方法1*栄養士としての実務経験を積んでから受ける
そのうちの一つは栄養士としての実務経験を積んでから受ける方法です。
栄養士は2年制から4年制までの栄養士養成学校を卒業すると同時になることができますが、卒業しているだけでは受験することができません。
栄養士養成学校(2年制)卒業 … 3年以上の実務経験が必要
栄養士養成学校(3年制)卒業 … 2年以上の実務経験が必要
栄養士養成学校(4年制)卒業 … 1年以上の実務経験が必要
2年制の場合は3年以上、3年制の場合は2年以上、4年制の場合は1年以上の実務経験が必要となります。
実務として認められるのは、学校や病院、食品の製造業などで勤務した場合です。
方法2*栄養士養成施設などの過程を習得する
管理栄養士養成施設で課程を修了している場合、特に実務経験を積まなくても受験することができます。
しかし、管理栄養士や栄養士を養成する学校は実習を重視した授業が多いため、通信制で通うことができず働きながら通うことは難しいでしょう。
受験する際には栄養士であることが前提なので、学歴が大卒でも、栄養士養成施設などの課程を修得していなければ受験できません。
年齢などの制限は特にないので、これらの条件を満たしていれば、国家試験を受けることが可能となります。
なお、受験料が6,800円かかるので、忘れないように注意しておきましょう。
管理栄養士の試験の難易度とは?
受験料を払って受検するわけですから、管理栄養士国家試験がどれほどの難易度なのか、試験内容は何かなど、気になる点は多いですよね。
「管理栄養士国家試験は難しい」という人もいますが、一方で簡単だと感じる方もいます。
感じ方が違う理由はさまざまですが、卒業した養成施設の偏差値の違いによって感じ方が違っている可能性が高いです。
管理栄養士養成課程を修得した新卒者の合格率は高い?
実務経験などを必要とする資格ですが、実際には受験対策の勉強をしていないと中々合格できないものです。
管理栄養士養成施設ではそれらの勉強を授業の中で行いますが「あそこは頭悪い生徒が多いよ」と言われるような養成施設の場合、レベルの高い試験範囲は対策しないこともあります。
ただし、管理栄養士養成課程を修得した新卒者の合格率は非常に高いので、偏差値の低い養成学校などに通っていても、あまり気にする必要はないでしょう。
管理栄養士の試験問題&対策
試験問題は、栄養に関する基礎的な知識が求められる基礎栄養学や応用栄養学だけでなく、臨床栄養学や公衆栄養学といった栄養学に関する問題が主に出題されます。
試験問題
- 基礎栄養学
- 応用栄養学
- 臨床栄養学
- 公衆栄養学
- 給食経営管理論
- 社会・環境と栄養
- 食べ物と健康 等
また、実務経験に関係する給食経営管理論も試験科目です。
学問だけでなく、社会・環境と健康、食べ物と健康といった応用性が試される問題も出題されるので、幅広く対策することが重要になります。
管理栄養士にできる仕事とは?
管理栄養士の就職先にはどのような場所があるのでしょうか。
病院
管理栄養士は栄養士と選べる就職先が少し違いますが、主に必要とされるのが病院での仕事です。
栄養士でも病院で働くことは可能ですが、管理栄養士の場合、治療中の患者を考慮した栄養管理が求められます。
病気やケガなど、さまざまな理由で入院している患者には、治療を手助けするような栄養を摂取させることが大切です。
健康な人々の栄養を管理する栄養士と違い、健康でない患者がどういった栄養を摂るべきなのかを判断するのも管理栄養士の仕事です。
しかし、病院に勤務しても看護師などと違って忙しく動き回るわけではないので「仕事ないから暇」と感じることがあるかもしれません。
保育園
そのような方の場合、保育園に就職するのが良いでしょう。
管理栄養士として勤務する場合、保育園で提供される給食の栄養管理が主な仕事ですが、病院と違うのは子供たちの食育に関わることができるというところです。
子供たちが食べ物を食べたり、食べ物に関する知識を勉強したりする大事な食育を担うことができるため「仕事をしていて楽しい」と人気がある就職先の一つとなっています。
また、自分の考えたメニューを子供たちが美味しそうに食べているところを見て、達成感ややりがいを感じる方も少なくありません。
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