検疫官とは?
検疫官とは、厚生労働省が管轄している検疫所に勤務する国家公務員のことを言います。
そもそも検疫所がどのようなところなのかというと、人や物に対して検疫業務を行う場所のことです。
そこで外部(海外)から感染源が持ち込まれることを防いだり感染経路を遮断するという重要な役目を担っています。
検疫官に必要な免許
そのような検疫所で検疫業務を行う検疫官の特徴は、医師または看護師の資格を持っていることが必須とされているところです。
これは検疫官の業務の中に採血などの医療的な行為が含まれているためで、検疫所の中でそのような医療行為ができるのは医師や看護師の資格を持っている検疫官のみとなります。
このような特徴を持っていることから、検疫官は医療機関以外の医師や看護師の転職先の一つとして挙げられています。
検疫官の正式名称
ちなみに正式名称は厚生労働省技官 検疫官で、医師免許を持っている検疫官は検疫官(医師)、看護師免許を持っている検疫官は検疫官(看護師)と称されることもあるようです。
検疫官の勤務地
勤務地としては仕事の特性から全国に設置されている検疫所がメインになっています。
また、各地にある空港や海港など人や荷物の往来が多く検疫業務が必要となる場所に配属されることも少なくありません。
検疫官の仕事内容は?
検疫官の仕事内容としては大きく分けて5つあり、下記のようなことがあります
・検疫業務
・港湾衛生業務
・動物の輸入届出の審査業務
・輸入食品監視業務
・試験検査業務
感染症にかかっていないか判断する
検疫業務は主に人に対して行う検疫で、健康相談や予防接種、身体検査などを行ってその人が何らかの感染症にかかっていないかどうかを判断するものです。
港湾衛生業務と動物の輸入届出の審査業務は人ではなく輸出入される動物に対して行われる検疫で、輸入食品監視業務と試験検査業務は食品に対して行われる検疫を指します。
いずれの場合も感染のリスクや有無を調べるための業務であり、医師や看護師の検疫官だけではなく臨床検査技師の検疫官と連携して行われることも多いです。
このように検疫官の仕事内容は多岐にわたっており、取り扱う対象によって行うべき検査や問診も異なってきます。
隔離・感染拡大の予防
また感染が確認されなかった場合は問題ないものの、感染が確認された場合は対象をすぐに隔離するのはもちろん、感染拡大を予防するための業務も入ってきます。
このため検疫官の仕事はどのような勤務先でも激務であることが多く、特に感染症が蔓延している地域や期間は慎重に対応しなければならないことから責任が大きい仕事だと言えます。
空港看護師の給料は?
検疫官として働く看護師の職種の一つとして、空港看護師と呼ばれるものがあります。
空港看護師とは名前の通り、空港の医務室で活躍する検疫官(看護師)のことです。
日本の空港看護師は成田空港をはじめとした全国の空港が対象となっていて、基本的に全国勤務なので配属先が変わる場合もあります。
空港看護師の給与
そんな空港看護師の給与は、国家公務員であることから国によって定められています。
初任給はおよそ19万円程度で、そこから勤続年数や最終学歴、そして様々な手当の有無や手当をもらえる回数によって異なってくるようです。
例えば4年制大学を卒業している場合、経験年数5年で基本給がおよそ25万円、扶養手当や住居手当などの手当てを含めると平均的な給与はおよそ28万円ほどになります。
ちなみに、一般的な看護師の給与の平均額は33万円となっています。
検疫官には夜勤もある
検疫官は夜勤があり、空港看護師も3交代制で夜勤に入るところがほとんどです。
夜勤手当はおよそ1回につき2千円から7千円程度とされていて、どの程度夜勤に入ったかによって給与に反映されます。
ほかにも昇給は年に1回、そして賞与は年2回と設定されています。
国家公務員として勤務しているからこそ安定した給与をもらうことができるところが空港看護師などの検疫官のメリットだと言われています。
検疫官になるには?
検疫官(看護師)になるためには、特定の条件や必須となる資格を取得しなければいけません。
条件としては4つあり、下記のことが挙げられます。
・日本国籍を持っていること
・看護師免許を取得していること
・3年以上の臨床経験を持っているこ
・普通自動車免許を取得していること
このような条件があるため、看護師免許を取得することは必須ですよね。
そのため検疫官になるためには、まずは看護師資格を取得する必要があります。
看護師の資格を取得するには
看護師免許を取得するには、一般的に看護科のある高校や大学の看護部、看護師の専門学校を卒業し、国家試験の受験資格を得る必要があります。
その後、国家試験を合格するとことで、看護師免許を取得することができます。
その他にも、学校に入らなくても、看護助手として医療現場で経験を重ね、国家試験を受験し、看護師になることも可能です。
看護助手として実務経験を積み、国家試験を受験するルートであれば、費用も少なく、短い期間で看護師免許を取得することができます。
ただ看護師資格を取得しただけでは、検疫官になる条件を満たすことができないので、資格取得後に3年間の臨床経験を積むことになります。
看護師以外のルート
このような点から看護師から転職するルートが最短となります。
しかし、看護師だけではなく、下記のような職業などから転職することも可能です。
・医師
・薬剤師
・臨床検査技師
・獣医
資格取得後の条件
医師の場合は医師免許を取得後、卒後臨床研修修了程度の臨床経験を得ていることや検疫所の業務・感染症に対する理解を持っていることが条件になります。
同じように薬剤師、臨床検査技師、獣医も資格取得後に一定期間の臨床経験を有していることが必須条件となっているほか、感染症に対する知識や理解が必要です。
そしてどの職種も、厚生労働省の公式ホームページから検疫官に応募し、面接や試験を受けることでなることができます。
▼看護師の資格取得についての記事はこちら
検疫官になれる人数や倍率は?
検疫官は採用された後、全国の検疫所もしくは空港・海港に配属されることになります。
転勤や派遣されることも多い
医師や看護師の場合は主に検疫所や空港がメインとされています。
薬剤師や獣医の場合は人間よりも食品や動物を対象とした業務がメインとなることから、検疫所や空港だけではなく海港に配属されることも多いようです。
ただ配属された場所でずっと仕事ができるというわけではなく、全国勤務であることから転勤を命じられることもあります。
特に感染症が流行している時期などは人手が足りないなどの理由で、最寄りの検疫所に転勤や助っ人として派遣されることも少なくないと言います。
倍率は高く厳しい
このような状況の検疫官ですが、毎年厚生労働省が応募している人数は30人から50人程度と決してなれる人数が多いわけではありません。
また採用のための試験内容が書類選考と面接選考の2つなのですが、特に面接選考が厳しい傾向がみられているようです。
そのため採用人数の少なさも相まって狭き門と言われており、倍率に関しては明確な数字は出ていませんが高い倍率だと考えられています。
特に植物検疫所など人以外の検疫所では募集人数が5名程度としている時期も多く、薬剤師や獣医から検疫官になれる人数はかなり制限されています。