健康診断は義務?
健康診断は労働安全衛生法で定められた事業者の義務として、社員の健康管理を行う目的で実施されています。
健康診断は正規雇用された社員、実務労働を行っている役員、正規労働時間の3/4以上勤務しているパート・アルバイトを対象者として、会社負担で行われている福利厚生の一つです。
事業者の義務
事業者は下記のように健康診断を行う義務があります。
・雇い入れ時の健康診断や1年以内ごとに1回の定期健康診断
・有機溶剤業務・鉛業務などの特定業務従事者は半年に1回の定期健康診断
・海外に6カ月以上派遣する労働者は派遣前後に健康診断
・給食従業員には雇い入れ時、配置変え時に検便
健康診断を実施してない企業は労働安全衛生法違反として、50万円以下の罰金刑が課せられるルールになっているため、健康診断を拒否することはできません。
健康診断の内容
健康診断の検査内容は雇い入れ時や年1回行う定期健康診断と、特定業務従事者を対象とした特殊健康診断で異なっています。
定期健康診断は胸部エックス線・尿検査・心電図検査などの11項目、特定業務従事者は従事している業務により尿検査・肝機能検査・眼底検査など検査項目が定められています。
二次健康診断給付
また、2001年からBMI・血圧・血中脂質・血糖値に異常がある社員に対して、二次健康診断給付というサービスが始まっています。
二次健康診断給付により、労災病院・各都道府県の労働基準監督署の局長が指定した病院で無料の二次健康診断を受けることができます。
看護師は自分の病院で健康診断を受ける?
企業で働いている人が定期健康診断を受けるように、病院・クリニックで勤務している看護師も労働安全衛生法により健康診断が行われています。
夜勤は特殊健康診断の対象
医療事務など病院職員の健康診断は1年以内ごとに1回行われています。
しかし、午後10時から午前5時までの「深夜業を含む業務」を行っている従業員は特殊健康診断の対象となるため、夜勤を行う看護師は半年に1回健康診断を受けなくてはいけません。
看護師の健康診断
看護師の健康診断の多くは自分が働いている病院で行われていますが、検査結果を同僚などに知られてしまうためプライバシーの面から他の病院で受診したいと思っている人も多いようです。
最近では提携している健診センターで健康診断を行ったり、病院からの紹介状を自分が選んだ病院に持参して検査結果だけ働いている病院に送ってもらう方法もあります。
こうした独自の健康診断のスタイルを導入している所もありますが、基本的には働いている病院の方針に従うことになります。
自分で選んだ病院で健康診断を受けたい場合
どうしても働いている病院以外で健康診断を行いたい時は自費で健診を受けて結果だけ病院に渡す方法もあります。
しかし、検査項目によっては数万円必要になり費用面の負担が大きくなってしまいます。
病院側に健診センターなどで定期健康診断を行えるように、相談してみるのもおすすめです。
健診センターでの看護師の役割は?
健診センター(健康管理センター)は体調不良や病気の検査・治療のためにかかる病院と異なり、基本的には健康な人が年に1~2回の定期健康診断を受けるために訪れる検査専門の施設です。
健診センターの看護師の仕事内容
健診センターで看護師が行う仕事内容は、健診がスムーズに行えるように診察や医師や検査技師が行う検査の介助などを行っていきます。
また、検査項目に則して採血や心電図、聴覚・視力検査、身長・体重・胸囲・腹囲・血圧の測定、胃透視・胃カメラ検査の前処置なども担当することになります。
健診センターに向いている看護師
健康診断は多くの人が受診しているため正確かつスピーディーに仕事を行える対応力が求められます。
しかし、単調な作業となるので疾病を抱えている患者のサポートにやりがいを感じるタイプの看護師は向いていないかもしれません。
一方、こつこつと正確に作業をこなすことにやりがいを感じるタイプの看護師は健診センターでの仕事に適しています。
健診センターへの転職の際の注意点
健診センターは外来だけで対応している施設や1泊2日や2泊3日の人間ドックを行っている病院もあり、日勤だけ・病棟勤務あり・夜勤ありなどセンターによって勤務条件が異なります。
健診バスがあるセンターでは会社や学校などに赴き検査をすることになるので、健診バスの担当になると毎回働く場所が変わることがあります。
そのため、健診センターへの就職・転職を考えている時には希望条件にあうセンターを選ばなくてはなりません。
健診センターはきついのか?
健診センターで健診看護師として働く時に一番大変なのは、さばかなくてはならない健診を受ける人の数です。
予約対応のため忙しい
1日に100人以上訪れるセンターや健診時間が決まっている健診車での健康診断など、効率よくスピーディーに進行していかなくてはなりません。
通常の外来などの病院勤務であれば忙しいピークの時間が決まっています。
しかし、予約対応で行っている健診センターは常時忙しい時間が続くため心身への負担が大きく、新人の頃は毎日のように辞めたいと思っていた看護師も多くいます。
サービス面が求められる
また、病気で受診する病院と異なり自費診療として健常者が利用する健診センターはサービス面を求める人も少なくありません。
検査の段取りが悪かったり時間がかかったりした時に、不満を訴えてくる人からの圧力でつらい思いをすることもあるでしょう。
健診事務を兼任することもある
人手が足りない職場であれば健診センターの受付を行う健診事務を兼任することになり、本来の看護師としての仕事と合わて業務が圧迫してしまい気持ちの余裕がなくなってしまいます。
業務を押し付けあったり引継ぎや情報共有が上手くいかなくなったりと人間関係に亀裂が入りやすくなります。
そのため、健診看護師と働くためには忙しい環境の中でも同僚や健診を受ける人と適切なコミュニケーションが取れるスキルも必要です。
健診センター看護師の志望動機おすすめ
健診センターで働く看護師は、さまざまな検査を早く正確に行える処理能力や健診を受ける人への対応力、同僚との連携力などコミュニケーションも大切になります。
そのため、面接の際には、面接官に採用後どのような貢献ができるかをイメージしてもらうための自己PRが大切です。
おすすめの志望動機
おすすめの志望動機としては下記のようなものが挙げられます。
「家族が健診センターで病気を早期発見できたので、自分も予防医療に携わりたい」
「病棟勤務を続ける中で健診センターの重要性を実感し、病気の早期発見に貢献したい」
このように、健康診断の仕事に対しての想いをアピールしましょう。
長く働くことを伝える
また、面接では早期離職せずに長く働くことができる人かどうかもチェックされています。
外来だけの健診センターなら「既婚者の看護師が多い職場で、自分も子育てをしながら長く働きたい」など健診センターで働くことへの利点をどう考えているかを話してみるのもおすすめです。
職務経歴書に書くこと
職務経歴書には、それまで検査対応が多い病院で勤務していたのであれば、対応してきた人数や検査スキルを記入します。
また、内科外来での生活指導や病棟での退院オリエンテーションを行った経験があれば、どのような指導ができるのかもきちんと書いておきましょう。
面接の最後の質問
面接では最後に質問があるかどうかを聞かれることが多いでしょう。
その場合は、健診を行う時に気を付けるべきことや事前に学んでおくべきことがあるかなど、意欲的に健診看護師として取り組もうとしていることが伝わるような質問をするのがおすすめです。