助産師になるのは大変?
助産師とは厚生労働省大臣の免許によって助産行為の手助けをする専門職です。
助産師の役割
助産師の仕事は女性の出産行為だけにとどまりません。
妊娠から出産に至るまでの間のケアや、出産後の女性や新生児の保健指導なども手がけます。
国家資格を取得する
助産師になるためには、助産師養成学校などの課程で、保健師助産師看護師学校養成所指定規則に定められた教育を受ける必要があります。
その後、助産師国家資格を受け、助産師免許を取得しなければなりません。
助産師の試験科目
助産師養成学校などでは、出産に関する知識や技術を中心に、実務に即した知識を学びます。
出産に関わること以外にも、女性や新生児を保護するための権利や社会制度の知識など、学習内容は非常に広範です。
助産師国家資格試験の教科は、基礎助産学、助産診断・技術学、地域母子保健および助産管理の3項目です。
国家試験の合格率
試験は保健師助産師看護師法第18条の規定によって定められており、例年2月の木曜日が受験日になっています。
助産師国家資格の合格率を見てみると、2019年から過去5年のデータでは、いずれも90%以上です。
年度によっては99%をこえていることもあります。
それほど難易度の高い試験ではなく、取得しやすい資格であると言えるでしょう。
資格を取得しやすくなった
なお、助産師資格の取得は、キャリアチェンジを考える主婦や社会人から注目されています。
そのため、主婦向けに通学日数を少なくした養成学校や社会人向けの夜間学校も増え、資格取得のチャンスは大きくなりました。
また、高校生であれば、助産師要請課程がある大学へ進学するのも良いでしょう。
大学卒業資格と助産師資格の両方を同時に取得可能です。
最短で助産師になるには?
助産師になるには、看護師資格と助産師資格の両方が必要です。
看護師資格の取得方法
まず看護師資格を得るには、国家試験を合格しなければなりません。
そのためには、高校卒業後に看護専門学校や看護短期大学で3年間、または看護大学で4年間の学習が必要です。
定時制の場合は4年です。
なお、中学校卒業後、5年制の高等学校一貫校をへて看護師資格を目指すこともできます。
准看護師資格を持っている場合
准看護師資格を持つ者が看護師資格を取得するには、看護専門学校で2年間、定時制なら3年間、学習しなければなりません。
ただし、高校卒業資格がない者が看護専門学校へ入学するには、3年以上の実務歴が必要です。
実務経験が7年以上ある准看護師は通信制を選択できます。
助産師資格の取得方法
次に、助産師資格を得るには、助産師養成学校で学習し、国家試験に合格しなければなりません。
受験資格を得るには、助産師学校なら1年、短期大学の助産学専攻ならば2年の学習期間が必要です。
なお、助産学専攻科のある看護大学なら、4年で看護師資格と助産師資格の両方の取得も可能です。
近頃では助産学専攻のある大学院が登場しました。
大学院で助産学を学ぶ場合には、受験資格取得に2年以上の学習期間が必要です。
最短で助産師になる方法
最短で助産師になるためには、中学校を卒業後、5年制の高等学校一貫校を卒業し、看護師資格を取得してから「助産師学校」へと進学するコースを選ぶと良いでしょう。
中学生で助産師を目指す人は、このコースがおすすめです。
高校卒業しているなら、4年制の看護大学に入学して、看護師資格と助産師資格の同時取得を目指すのが最短コースと言えます。
▼看護師の資格についての記事はこちら
助産師になるためにかかる費用とは?
助産師になるためにかかる費用は進学先に応じて異なります。
助産師学校の学費
私立の助産師学校では1年コースの学費が150万円です。
国公立の学費は1年で60万円かかります。
看護専門学校の学費
看護専門学校に進学した場合の学費は、私立に3年間通うと250万円、国公立なら60万円かかります。
看護短期大学の学費
看護短期大学の場合の学費は、私立に3年間通うと400万円、国公立なら250万円かかります。
さらに、助産学専攻を短期大学で学ぶ場合には、私立だと2年間で270万円、国公立なら160万円必要です。
看護大学の学費
看護大学の場合の学費は、私立に4年間通うと450万円、国公立では250万円の学費が求められます。
助産学専攻のある大学院で学ぶ場合には、私立だと2年間で200万円、国公立では135万円必要です。
これらの額には入学金や実習費なども含まれています。
高等学校一貫校の学費
5年制の高等学校一貫校の私立学校では、3年間の本科が約360万円、2年間の専攻科が約220万円です。
国公立では3年間の本科で43万2000円、専攻科が2年で23万4600円かかります。
奨学金制度や免除制度を利用する
これらの学費が高いと思った人も多いのではないでしょうか。
金銭的に困難な人は、奨学金制度や学費の免除制度が看護系の学校には充実しているので、それらを利用することも考慮してみましょう。
ただし、奨学金は家庭の収入環境や本人の成績によって支給が決定されるため、誰にでも利用できるとは限りません。
また、学費が安い学校ほど生徒が集まりやすいため、入学倍率が高くなるので注意が必要です。
男性でも助産師になれるの?
助産師は2002年に施行された「保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律」によって名前が助産婦から助産師に改められました。
これは、いわゆる「男女雇用機会均等法」に基づいて、就業における男女差別をなくすことを目的に行われた法改正です。
男女がともに就業できる仕事であると周囲に示せるようにしました。
助産師の資格要件は変更されなかった
看護婦や保健婦などもそれぞれ名称が変更しています。
しかし、助産師の資格要件は変更されませんでした。
現在も男性は助産師になれません。
助産師は女性のみが就ける仕事とされています。
女性のみがなれる理由
なぜ、助産師を女性のみの仕事としたのでしょうか。
それは、女性の抵抗感が大きいからという意見が多いからと言われています。
たしかに、出産は女性のみが行いうる特別な行為です。
その特別な現場に、医師以外の男性が参加することが気持ち悪いと捉える女性も少なくないでしょう。
実際、出産の現場では、男性医師よりも女性医師による診察の方が信頼できるという女性の声は多いです。
日本助産師師会の意見
日本助産師会も、男性の助産師には消極的な意見を示しています。
今後も議論されるべき重要な課題であるとしながらも、女性の気持ちが大切にされるべきであると考え、男性助産師の導入に反対しました。
しかし、産科医師ならば男性であっても助産行為が行えるのに、男性は助産師になりたいと思っても仕事に就くことすらできないことについて、矛盾を感じる声も少なくありません。
海外では男性も助産師になれる
海外では助産師に男性を採用している国もあります。
例えば、アメリカ・イギリス・オーストラリアです。
ですが、必ずしもそのニーズは高いとは言えないようです。
助産師に向いてる人とは?
助産師の仕事は、生命の誕生を見守れる素晴らしい仕事です。
しかし、その業務は肉体的にも心理的にもきついため、やりがいだけで仕事を続けるのは難しいと言えます。
そのため、助産師を目指すのであれば、自分にその適性があるのかを先に確かめておくことは大切です。
きつい業務に耐えられる体力
助産師の主な仕事は出産の手助けです。
しかし、妊婦がいつ出産に至るかは、なかなか推測がつきません。
そのため、助産師は出産時期の女性を担当する場合には、24時間いつでも対応ができるようにしておかなければなりません。
このような業務に耐えられるだけの体力持った人が、助産師に向いていると言えるでしょう。
相談に乗ることができる知識
女性や新生児の健康を守り、不安を解消する手助けも、助産師に求められることです。
時には、思春期の性の悩みや、加齢とともに起きる体調の崩れなどの相談にものらなければなりません。
それには、助産の知識だけでなく、心理や医学の広い知識も必要です。
コミュニケーション能力
相手が安心して話ができるだけのコミュニケーション能力が欠かせません。
それだけでなく、相手の心情をくみ取れる共感力と、不安に寄り添える忍耐力も不可欠です。
これらを持っていなければ、助産師の仕事は難しいと言えるでしょう。
冷静な性格
出産の現場は、楽しいことばかりではありません。
時には目を覆いたくなるような悲しい出来事も起こります。
その中で、助産師は常に冷静に仕事をこなさなければなりません。
冷静沈着な性格で、パニックに陥らない心理的な強さを持っていることも、助産師に求められる要素と言えます。
▼助産師のきつい理由についての記事はこちら